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君と視線が合うまでは

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君と視線が合うまでは

1 - 君と視線が合うまでは

♥

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2020年06月08日

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最期に覚えているのは

公園の時計台

そして、お腹に伝わる鈍い痛み

塔子

塔子

(身体が…軽い…)

フワフワと宙を浮く身体

そしてベッドに眠る自分の姿

塔子

(私、死んだんだ…)

確か、彼を待ってたんだ

大切な恋人を

塔子

(そしたら…っ)

???

???

辛いよなぁ?

???

まさか通り魔に刺されちまうなんて

塔子

…っ!?

塔子

貴方は誰!?

気づくと横に男が立っていた

手には鎌を持っていて物騒だ

???

???

俺は死神だ

塔子

…は?

死神

だから、死神

気だるげに頭をかく彼

…私は夢を見ているのだろうか?

死神

オメーの魂を取りに来たんだよ

塔子

…っ

塔子

やっぱり死んだのね

死神

厳密に言えばまだ、だよ

塔子

え?

死神

いいか?お前は幽体離脱してる状態だ

塔子

幽体離脱…

死神

そう

塔子

…!

塔子

じゃあ生き返る可能性もあるの!?

死神

ああ

死神

残念ながら

塔子

どうすればいいの?

死神

お前を愛してる人に

死神

存在を気づいてもらえたら

死神

魂が身体に戻る、かもな

塔子

存在を気づいてもらえたら…

死神

ただし、一ヶ月以内だ

死神

それ以上、幽体離脱の状態でいたら危険だ

死神

だから一ヶ月経ったら魂を取らせてもらうぜ

塔子

わかったわ!

死神

随分自信有りげだな?

塔子

当たり前よ

塔子

連は絶対に私に気づいてくれるわ!

死神

ほお?

死神

どーだかな

死神

で?

塔子

死神

誰だっけ?

死神

直ぐに気付くって言ってたのは

塔子

あれから3日たったが

連はいっこうに気づいてはくれない

塔子

連!れーん!

なんだ?寒…

塔子

ちょっと!

塔子

連!

塔子

こっち見てよ…お願いだから

一週間が経つ

でも、彼は見てくれそうにない

死神

必死だな

死神

当たり前か

死神

誰しも生きていたいもんな

塔子

塔子

違うの

死神

は?

塔子

一度は死んだと思った命だもん

塔子

生きてようが死んでようが関係ないわ

死神

じゃあなんでそんなに必死なんだよ

塔子

塔子

だって辛いじゃない…

塔子

愛する人の側にいるのに気づいてもらえないのは

死神

死神

…ふーん

死神

人間はよくわかんねえや…

死神がどんな顔で私を見てたのか

連の背中を追うのに必死で

私は気づかなかった

死神

死神

なんだよあの女!

泣きそうなくせに

一丁前な事言いやがって

死神

ホント、わかんねえ…

愛する人に気づいてもらえる?

そんなおとぎ話あるわけねえだろ

死神

死神

今まで誰も気づいてもらえなかったんだから

これまで何人か幽体離脱した奴がいた

そして同じように必死になったが

途中で絶望し、自ら魂を差し出してきた

死神

死神

(アイツもきっと…)

同じだ

死神

死神

お、アイツがいるな

死神

モテる男はいいね…って

死神

うそ、だろ…

塔子

今日も連の所に行くわよ!

塔子

今日こそ気づいてもらうんだから!

死神

死神

今日は…やめとけよ

塔子

なんでよ?

死神

それより駄菓子屋の婆さん見に行こうぜ

死神

きっとまた変な歌歌ってる…

塔子

あ、連!

塔子

塔子

連…?

死神

…っ

でさー

えー?

女性が側にいた

手を繋ぎながら通り過ぎる

死神

行こうぜ…

塔子

塔子

連!気付いてよ

塔子

おーい!

死神

…っ!

死神

もうやめろ…

塔子

連…連!!

死神

死神

塔子!

塔子

…っ

塔子

呼んだら…気づいてくれる…

塔子

だって私は、恋人だから…

涙が止まらない

あんな光景見たくなかった

塔子

気付いてたんだね

死神

…昨日見たんだよ

塔子

馬鹿だなあ

塔子

そんなことで私は諦めないよ

死神

…なんで

死神

傷ついてでもか

塔子

ええ

塔子

あと二週間もあるんだもん

塔子

あんなよくわかんない女よりきっと愛されてるわ!

死神

強いんだな

死神

お前

塔子

強くないよ

塔子

こういうのつよがり、っていうんだよ

死神

死神

塔子、か…

名前を呼んだ瞬間胸が暖かくなった

彼女に愛されるアイツが羨ましいとさえ思った

死神

バカだな俺

愛を与えられるのは俺じゃない

だから、早く存在に気付いてやってくれよ

死神

俺は、アイツを殺したくねえよ…

死神、失格だ

次の日、悲劇は起きた

死神

お目当ての相手だぞ

塔子

れ…

名前を呼ぼうとした声が止まる

警察

警察

戸塚 連

…!

警察

飯田 塔子殺害未遂の容疑で逮捕する

塔子

…嘘、でしょ

死神

まじかよ…

手錠をかけられる彼

今まで見たこともないくらい暴れている

アイツが…

アイツが悪いんだ!

志保と付き合うには邪魔だったんだ!

塔子

…っ…

塔子

連…

どうりで見えないわけだ

だって私を愛してなんかいなかったんだもん

塔子

言ってくれれば別れたのに…

塔子

そんなに邪魔だったのかな…?

嗚咽でうまく話せない

死神

お前は悪くねえよ

彼は頭を撫でようとしたのか

手を伸ばすが触れられない

塔子

もう、私を愛してる人なんかいない…

塔子

魂とっちゃってもいいかな?

死神

バーカ

死神

後二週間、頑張るんだろ?

塔子

…フフッ

塔子

最初と立場逆転だね

死神

だな…

塔子

…おはよ

死神

ああ

昨日は沢山泣いたから

ちょっと気まずい

死神

お前他になんかいねえのかよ

塔子

うーん

塔子

愛ねえ…連しかわからないや

死神

…探しに行くぞ

塔子

あ、ちょっと!

一週間が経ち、心情に変化があった

私が、死神…彼に惹かれ始めたのだ

決して交わることのない

一方通行な想い

塔子

塔子

(彼の側にいられるのならもう、魂とられてもいいのかも)

そんな事言えるはずない

だって彼は私の為に必死だから

塔子

綺麗、だね

死神

ああ

塔子

まさか魂でクリスマス迎えるなんて

残り一日となった

今世最後の日はなんとクリスマスだった

でも、良かった

思わぬ形で好きな人とクリスマスを、迎えられたのだから

塔子

ねえ

死神

あ?

塔子

もういいよ

死神

塔子

あと一日で私を愛してる人なんか見つけられないわ

この二週間、たくさん悩んだ

この気持ちを隠したままなら彼女のずっとそばにいられる

死神

(でももう…)

この気持ちを抑えられない

突然身体が眩い光に包まれた

塔子

塔子

…っ!

塔子

なにこれ…!?

死神

おめでとう

死神

人間に戻れんだよ

塔子

なんで…!

私に気付いて愛してくれる人なんて…

死神

死神

俺だよ

塔子

え?

死神

不覚にも愛しちまったんだよ

死神

お前を

塔子

…っ!

塔子

私も…

死神

んなに泣きそうな顔すんなよ

死神

人間に戻れんだぞ?

塔子

やだよ…好きだよ…!

塔子

アンタのこと!

死神

馬鹿だなあお前

死神

犯罪者の次に惚れたのは死神だあ?

死神

やめとけよ

塔子

でも…!

死神

次は、ちゃんとしたオトコ見つけろよ

塔子

…っ!

塔子

ここは…

長い夢を見ていた様な気がする

看護師

…っ!!

先生呼んできます!

さっき雨の雫が顔に当たった

…まるで誰かが涙を流したような…

昔、変わり者の女がいた

生涯独身で

そのことでからかわれると

恋人は死神だと周りに話していた

その女が最期を迎えた

塔子

塔子

塔子

きてくれる、よね

こんなヨボヨボじゃ気づかないかしら

死神

死神

よお?

死神

二度目の死だな

塔子

…フフッ

塔子

今度は魂、とってよね?

死神

もちろんだ

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