いつだろうか…
この恋が嘘だと気づいたのは。
夏服から冬服に変わる頃。
葉が鮮やかに色づく頃。
私の偽りの恋は始まる。
拓斗
告白された時は正直…
断る理由なんてないと思っていた。
佐奈
彼の手をとったとき…
気づいたんだ。
あれ……。
なにもキュンとしない。
その日の帰りはとても寒かった。
夏がすっかり消えた秋。
私と彼は手を繋いでいた。
拓斗
なんて聞かれて戸惑った。
わからなかった。
佐奈
取り繕って言葉を探した。
なんでだろう…
ずっと彼氏が欲しかったのに…
秋になったせいか…
心の中がひやりと冷たい。
私は嘘つきだ。
気づいてしまったんだ。
この恋は嘘だと。
付き合ってと言われた時…
彼を私は裏切った。
だって好きじゃないのだから…
断れなかったのだから……
その全てが重い。
彼の存在が…私を縛った。
佐奈
あれ…
いつの間にか笑えなくなっていた。
佐奈
佐奈
なんて言葉にしても…
落ちるのは涙ばかりだった。
秋の風は悲しい香りがする。
嘘のにおいがする。
秋は嘘だらけ……
たとえばそう…
佐奈
美しい中には影がある。
私はいつから毒を口にしたのだろう
あぁ…きっとあのときだ。
きっと告白をOKした時。
その時しかない……。
拓斗
佐奈
佐奈
佐奈
偽りの秋。
好きじゃないのなら…
彼を好きになればいいのかな…
秋は嫌いだ。
嘘だらけだ。
私は…
冬をずっと待っている。
コメント
6件
空間開けての作品大好きです^^* あ、オススメから来ました()
主様、天才だと思います! メダル獲得決定ですねっ!
🌸さき🌸 みかげちゃん! ななななんと…続編考えてます✨