主
主
主
↓自己紹介
ユリウス
リセル
主
主
始まり
──魔法が全てを決める世界
生まれた時に刻まれる魔力線の数がその人の価値を決める
そんな残酷な現実を、僕らはまだ知らなかった
リセル(幼少期)
僕─リセルは泥だらけの手で空を指さす
夕焼けの空に金色の鳥がふわりと舞っていた
その羽根は本物の光でできていて、柔らかく揺れている
ユリウス(幼少期)
笑いながら振り返る兄─ユリウスの瞳は夕日の光を反射してまるで空そのものみたいにきらめいている
リセル(幼少期)
ユリウス(幼少期)
ユリウスは少し照れくさそうに笑っていた
僕は、胸がどくんと高鳴るのを感じた
(やっぱり…兄さんはすごいな)
僕もやってみたくて必死に真似をした
手を広げて、空に願う
─鳥よ、飛べ。光よ、集まれ。
でも、僕の手からは何も出なかった
風の音だけが静かに頬を撫でた
リセル(幼少期)
焦った僕の手を、ユリウスが包む
ユリウス(幼少期)
その声は暖かくて、優しくて
なのにどうしてだろう、
胸の奥がズキリと痛んだ
僕は小さく笑って言った
リセル(幼少期)
ユリウス(幼少期)
ユリウスはそう言って僕の頭をくしゃくしゃと撫でた
その瞬間、僕の中の小さな影が
ほんの少しだけ芽を出した気がした
夜、家の中。
両親が話している声がドア隙間から聞こえてくる
両親
両親
笑い混じりのその声が、胸に刺さる
僕はドアの影から覗く
兄さんが笑いながら両親に褒められている
僕のことには、誰も触れない
リセル(幼少期)
でも…なんで僕ばっかり、置いてかれるんだろ
その夜、ベッドでこっそり泣いた。
泣きながら小さく呟いた
リセル(幼少期)
隣の部屋から聞こえる兄さんの寝息が微かに聞こえた
あの穏やかな音がどうしようもなく遠くに感じられた
翌朝、兄さんは外に連れ出した
ユリウス(幼少期)
連れていかれたのは丘の上、空が1番近くで見える場所
ユリウスは杖を振って、夜明けの空に魔法を放った。
光の粒が弧を描いて、やがて星座のような形を作る
ユリウス(幼少期)
リセル(幼少期)
ユリウス(幼少期)
僕は息を呑んだ。
綺麗だった
悔しいほど兄の魔法は優しかった
リセル(幼少期)
ユリウス(幼少期)
二人並んで座って、同じ空を見上げた
その空の色を、僕は一生忘れなかった
あの時の僕はまだ知らなかった
あの空が
兄さんと見た最後の同じ色
になるなんて
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えぇえなんか前と書き方が!!好き!!愛してるが??