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〜冬真 side〜

ここ1週間、一ノ瀬先輩が 学校に来ていない

先輩が生徒会室に呼び出された 次の日から、全く姿を 現さなくなってしまった

毎日2年華組に行っても、 新條先輩に「今日は来ていない」と 言われるばかり

瑞樹

彼方、最近どうしちゃったんだろうね……

冬真

はい……連絡も取れないし、ちょっと心配です……

華組の教室の前で、 新條先輩とそう言い合う

連絡は取れないし、家も知るはず ないから、会いにも行けないし

体調不良で休んでて、電話の 折り返しやメッセージの返事が出来て ないだけだったらいいんだけど……

瑞樹

そういえば今日って、全校集会だったよね?

冬真

あ、全校集会……

全校集会は、月に一度行う、生徒会や 委員会などの現状報告をする場

集会って言っても、学園内の 色んな箇所に設置されてるモニターで 観れるから、わざわざ全校生徒が 集まったりしなくてもいいんだけどね

逆に、この何百人が集まれる場所は、 この学園には流石にないと思うけど

瑞樹

時間って、もうすぐだったよね。せっかくだし、一緒に行こうか

冬真

はい。……あ、天ちゃんも呼んでいいですか?

瑞樹

うん、いいよ

一応新條先輩に許可を取ってから、 天ちゃんに電話をして、2年華組の 近くまで来てもらうよう連絡を入れる

2人で付近のモニターまで移動して しばらくすると、いつもの赤色が 廊下の人の隙間から見えた

瑞樹

天宮君、こっちこっち

翔太

あ、いたいた!

ボクらに気づいたらしく、 ここまで駆け寄ってきた天ちゃん

翔太

一ノ瀬先輩……は、今日も?

瑞樹

うん……また休みだって

翔太

そうですか……

天ちゃんも、一ノ瀬先輩のことを 心配してる

冬真

(お願いだから、ただの体調不良であってほしい……)

『あー、あー、みんな聞こえるー?』

モニターの近くで待っていると、 女子生徒の声が聞こえてきた

映っている体育館のステージには、 マイクを持っている人も

たしかあれは、 生徒会のメンバーの人だったような

この集会は生徒会が進行するから、 準備も生徒会で行うんだよね

人手が足りなければ、他の委員会の 人も手伝ったりしてるけど

じゃ、早速初めて行くよー。司会は私、生徒会会計3年の舞野紫ね。

じゃあまずはー……

舞野先輩が司会で、 どんどん報告が進んでいく

今月はこんな活動をした、だとか、 これからこうしていくつもりだ、 とか、大体はそんなこと

全ての委員会の報告が終わって、 最後は生徒会

これは、生徒会長直々に 報告をしてもらう

舞台の上に、空喰生徒会長が映る

こうやって全校集会ではよく 見るけど、相変わらずの整った顔と、 綺麗な髪色に眼色だ

冬真

……あれ?

その後ろから、見慣れない人が現れる

生徒会長と同じ空色の髪に 黄色い目だけど、髪が短くて、 制服も男子のものを着てる

冬真

(なんだろう、あの人……?)

生徒

ねぇ、生徒会にあんな人いたっけ?

生徒

さぁ……まず男子がいること自体初耳なんだけど……

周りからも、そんな声が聞こえる

愛華凛

生徒会長、空喰愛華凛です。

愛華凛

それと彼は、生徒会副会長の空喰カナタ。

愛華凛

今まで彼には裏で動いてもらっていたから、知っている人はいないと思うけど、腕はたしかだから。よろしくね

空喰、カナタ……?

瑞樹

あれ……?

瑞樹

ねぇ2人とも……あの人、なんか彼方に似てない……?

冬真

え?

新條先輩に言われて、 よく目を凝らしてみる

冬真

あっ、ほんとだ、顔がそっくり……!

目の色も髪色も違うけど、 顔だけなら、一ノ瀬先輩そのものだ

けど、もし本人だったとしても、 なんであんなところに…… しかもなんであんな格好で……?

翔太

でも、似てたとしても名前が違うし……

天ちゃんの言う通り、 たしかにそれは、変えようのない事実

瑞樹

でも俺、簡単に子供が大金を賭けられる様な富豪の中で、『一ノ瀬』なんて企業は知らないよ……?

新條先輩の言っていることは、 ボクも思ったことがある

初めてやったブラックジャックは 稼いだ元手があったらしいけど、その 前の、木之下先輩との時に賭けていた お金の出所が、ずっと気になっていた

翔太

そ、それってつまり、『一ノ瀬彼方』は偽名って言いたいんですか……?

怪訝な顔をしながら、天ちゃんが聞く

ボクだって、先輩を疑いたくない

冬真

(でも……)

……実は前から、いつも見ているあの 笑顔の奥に、時折何もない、虚無の ようなものを感じる時があった

無限の闇のような、底なし沼の ような……大きな穴みたいに、 何か大事なものが欠けている

そんな風に見えてしまうことが、 度々あったんだ

しかもそれが……画面の奥にいる、 『空喰カナタ』って人にそっくり

目に光がない、あの無表情

あれが、普段の一ノ瀬先輩の 奥にある“何か”を表している様な、 そんな気がしてならない

冬真

……ボク、あの人に直接会ってみたい

気づけば、そんなことを口にしていた

瑞樹

え、あの人にって……空喰カナタさんに?

冬真

はい。違ったならそれでいいけど、もし本当に一ノ瀬先輩なんだとしたら……。

冬真

……ボクには、与えられた使命があるので

代々受け継がれてきた、相川家の使命

きっとボクが果たすことになると、 この学園に来た時から、 薄々そう感じていた

翔太

……あっ、『空の隱れ雲』……!!

天ちゃんも気づいたのか、 はっとしてそう言った

ボクらが探している、 『空の隱れ雲』の特徴

藍色と目が特徴的なこと、 自我がないこと

そして、百喰一族に 関しているかもしれないこと

百喰の中でも、 ボクは『空喰家』だと思った

理由は、名前に『空』が入っている からってだけだけど

一ノ瀬先輩が言っていた通り、 確かにこの学園には空喰の人間がいた

けど、空喰愛華凛会長は、 他の特徴には当てはまらない

そんなところに、突然影から 『空喰カナタ』が現れた

こんなの、ボクからしたら、 疑わずにはいられないよ

冬真

(今日の放課後にでも、どうにかして会えたら……)

この作品はいかがでしたか?

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