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rara🎼
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第44話『囁く影』
朝。
カーテン越しに差し込む光に目を細めながら、らんはゆっくりと上体を起こした。
昨夜はほとんど眠れなかった。
浅い眠りに落ちても、すぐに夢とノイズに引きずり戻される。
らん
こめかみを押さえ、冷たい空気を吸い込む。
頭痛は消えないまま、ただ鈍く響き続けていた。
リビングに向かうと、ちょうどみことが来ていた。
みこと
みこと
みこと
らん
心配そうに覗き込む視線から逃げるように、らんは曖昧に笑ってみせる。
昼。
三人で軽い食事をとり、しばらく雑談が続いた。
いるまが冗談を飛ばし、みことがそれに突っ込む。
普段なら心地よいはずのやり取りが、今日はどこか遠くで響いているように感じられた。
らん
そんな考えがよぎった瞬間――頭の奥でまた「音」が鳴った。
リズム。
掛け声。
机の表面をトントンと指で叩く感覚。
視界がにじむ。
目の前のテーブルと重なるように、スタジオの床が現れた。
仲間たちが円になってステップを踏み、声を合わせている。
らん
らんはスプーンを握る手を止めた。
らん
らん
すぐそばで、こさめが笑っている。
こさめ
はっきりと声が聞こえた。
――その瞬間、ノイズが走った。
「ガリッ」と耳を裂く音とともに、映像が歪む。
床に映る鏡の中、こちらを見ている「自分」がいた。
笑っていない。
真っ黒な瞳で、じっとこちらを凝視している。
らん
らん
椅子を引く音に、みことといるまが驚いてらんを見る。
いるま
らん
震える声で答え、台所に逃げ込む。
冷水を一気に口に含みながら、喉の奥を必死に押さえた。
らん
らん
夕方。
みことが帰ったあと、らんはベッドに横になった。
瞼を閉じるとすぐに暗闇がノイズで裂け、断片的な映像が流れ込んでくる。
――レンズ越しの視界。
――汗だくで笑う仲間たち。
――こさめが振り付けを確認している横顔。
すべてが「本物」だと直感する。
けれど、それを掴もうとすると必ず「奴」が現れる。
らん?
低い声が耳の奥を抉った。
らん?
らん?
闇の中に、もう一人の自分が立っている。
輪郭は同じ。
声もおなじ。
けれど、その表情には血の気がなく、黒い影のようだった。
らん
らんが問いかけると、影は嗤った。
らん?
らん?
らん?
らん?
ノイズが頭の中で爆ぜ、激しい痛みが襲う。
額を押さえ、らんはうめき声を漏らした。
らん
叫んだ瞬間、影の表情が歪んだ。
そして耳元で囁く。
らん?
視界が真っ赤に染まった。
夜。
汗びっしょりで飛び起きたらんの耳に、心配そうな声が届く。
いるま
いるま
いるまがドアを開けて飛び込んできた。
荒い呼吸のまま、らんは無理に笑ってみせた。
らん
らん
いるま
いるまは苛立ち混じりに言いながらも、冷たいタオルを手に戻ってくる。
額にそれを当てられると、ようやく少し呼吸が整った。
らん
いるま
いるま
視線を合わせられず、らんはうつむく。
胸の奥では、あの「影」の言葉がまだ反響していた。
――壊れる覚悟をしろ。
拳を握りしめながら、らんは布団の中で静かに目を閉じた。
本当の記憶を取り戻すために、もう後戻りはできないと悟りながら。
第44話・了
rara🎼
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𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝♡450
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