ガシャン!...ガシャン!
作業員
チッ毎日毎日うるせーなぁ...。
ジミン
ほんとー。でも、そーゆー病気だから。
ここは実験・研究センター。
今、狂犬病の変異型と言われる『狂狼病』が流行している。
と言われる、と言うのも、 まだこの病気については、ほとんど何も分かっていないからだ。
分かっていることと言えば、 狂狼病にかかった狼に噛まれると、狂狼病にかかってしまうことと、 狂狼病にかかると、1時間位で狼になること。 それと、狂犬病と同じような症状が現れることぐらい。
そしてここには、約30頭の狂狼病にかかった狼が生活している。
ここにいる狼たちは、全部実験用で、研究に用いられる。
主な実験内容は、 どんなウイルスであるかの研究と、 狂犬病との違いや、同じ治療薬で効果はあるかだ。
研究者
12番~!つれてきて~!
作業員
はーい!ぇっと、12番は...こいつか。
グルルルー!ヴーッ‼
作業員
あー...はいはい。
まだ、狼の扱いに慣れていない僕らは、台車に檻ごと乗せて、運んでいく。
ジョングク
グルルルルッ
ガシャン!
ジミン
あ、27番。
この子は、他の狂狼病の狼よりとても人間味がある。 檻に身体をぶつけて、ここから逃げ出そうとするのは一緒なのだが、 その瞳は、いつもどこか悲しげで。
ジミン
あの人に会いたいのかなぁ...?
この狼に出会ったあの日。 この子が必死に守り抜いた、1人の男が脳裏に浮かんだ。