優奈
月の女王はそう言い残し、月に帰る。
少年は絶望に打ちひしがれ、泣き叫ぶ。するとそこに突然、巨大な隕石が現れ そのまま月に衝突してしまった。
少年はその衝撃に巻き込まれ、月と共に粉々になるはずだった。
しかし奇跡的に助かった少年はあることを思い出す。それは彼がまだ子供の頃の事だ。
その頃、彼が住んでいた町の近くでとある事件が起こった。
なんとその事件で死んだはずの人が生き返ったのだ。しかもその時、少年はなぜか その人の魂のようなものが見えていた。つまりそれが愛の力だったわけである。
少年はそれを思い出し、「愛があれば不可能はない!」と叫びながら 隕石を破壊し、地球に戻っていく。
そして地球に戻ってくるとそこには一人の少女の姿があった。
彼女は地球の姫であり、実は月から来た人間であった。
そして彼女の話によると、どうやらこの世界では時間の流れが非常に遅いらしい。
それに気付いた少年は「このままじゃいけない」と思い、彼女に頼み込んで 時間を早めてもらうように頼む。そして彼女からもらった愛の力を込め、 もう一度月へ行く事にした。再び月へ行き、今度はちゃんとした準備を整えた後、 今度こそ扉を開く事ができるかもしれないという淡い期待を抱きながら。
しかし少年は再び失敗してしまった。
しかも今回は前よりも酷かった。彼はまた扉の前に倒れていたのだ。
そこにいた少女は彼を介抱してくれた。どうやらここは彼女の家らしい。
彼女は少年に色々教えてくれる。彼女がこの家の主人であること、 彼女は実は死んでいること、自分は人間ではなく、ゾンビだということ、 今は亡き夫の帰りを待ち続けていること……。
少年は彼女を元気づけようと、彼女とダンスをする。すると急に雨が降り始めた。
少年は急いで帰ろうとするが、彼女は引き止める。少年は仕方なく屋根のある場所に泊まることにし、 翌朝目覚めると、外では昨日の大雨が嘘のように晴れ渡っていた。
外に出てみると、そこには笑顔の少女の姿があった。
少年はその日からずっと、少女と一緒に暮らし続けることになった。
だが、いつまでもここにいるわけにもいかない。
少年は勇気を出して旅に出ようとする。
しかし、それを察した少女に引き止められてしまう。
少女はとても泣きそうな顔をしていた。
でも少年は行かなければならない。だからこう言った。
「僕は必ず帰ってくるよ!」と…………
目が覚めるとそこは病院だった。少年は意識不明の重体になっていた。
医者の話によると少年は車に轢かれそうになっている子供を助けようとして、 代わりに車にはねられてしまったのだという。幸い命は助かったものの、 後遺症が残る可能性が非常に高いそうだ。
少年
