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紹介状を書いてもらって通い始めた 病院は駅を挟んで家とは反対側にある

 病院にはhrくんが休みで ついてきてくれる

検診の後、ランチを食べようと 病院近くのカフェに入った

hr

あ、いけない。もうこんな時間だ

時計を確認したhrくんが声を上げる

今日は調子が良かったので つい話し込んでしまった

hr

ごめん。帰り、1人で大丈夫?

et

大丈夫!久しぶりの休みでしょ?ゆっくりしてきて

最近部活で忙しかったhrくんは 休みで友達と遊ぶ約束をしていた

hrくんを送り出して私は帰路についた

誰かと過ごした時間が楽しい時は 1人になると寂しくなる時がある

とぼとぼとした足取りで駅前に行くと

et

あ.........

道の向こうにあるファミレスの中に クラスメイトの姿を見つけた

親睦会が今日だった事も すっかり忘れていた

店内にいる彼らはみんな 楽しそうで心がちくりと痛む

私はそんな痛みに気づかない ふりをして再び歩き出した

et

......行かなくて良かったんだよ(ボソッ

今日の診察で先生は わずかに顔を曇らせた

それは病気が確実に 進行しているということだ

道を曲がると一気に住宅街になる

人通りのまばらな道を歩き進め、 交差点を二つ過ぎれば家

というところで背後に気配を感じた

なんだか嫌な予感がして 歩くスピードを上げる

けど、重なるもう一つの足音も 同じように速度を上げた

怖くなって駆け足になりかけたそのとき

yan

etさん

聞き覚えのある声に名前を呼ばれた

びっくりして振り返るとオレンジ色の 空を背にしたyanくんが立っていた

et

な....なんで、yanくんがここにいるの......

強めに言ったつもりが 出た声は弱々しかった

そんな私の様子に気づくそぶりもなく 私との距離を縮めるyanくん

yan

なんでって、ファミレスからetさんっぽい人が見えたから

et

だ、だったらもう少し早く声かけてよ......!

講義すると驚かせたことに気がついて yanくんは素直に謝ってくれた

yan

こんなところで何してるの?

バツが悪そうな顔のまま、 yanくんが聞いてくる

et

出かけてて、今から帰るとこ

yan

まだ時間早いじゃん

親睦会に来れるでしょと、 yanくんの表情が言っている

時間あったらきてよ、というurの 優しい切り上げ方がここにきて痛い

et

親が厳しいんだって

yan

じゃあ俺が説得してあげるよ

et

は、はぁぁぁ!?

家こっち?と言って歩き出す yanくんの背中を慌てて追いかける

et

ちょっと、勝手に話進めないでよ!

yan

親が原因なんでしょ?クラス行事なんですって説明して納得してもらえたら参加できるじゃん

et

なんでそこまでしようとするの......!?

yanくんの服の裾を力一杯引っ張って yanくんを引き止める

yan

話してよ

et

やだよ。話したら勝手に言っちゃうでしょ

yan

よくわかってるじゃん

et

褒められても1ミリも嬉しくないんだけど

ジロリと睨むとyanくんがふっと笑った

眩しい笑顔に、思わず息をのむ

yan

etさんさ、もっと他の人たちと絡みなよ。

yan

etさんなら絶対すぐに打ち解けられるし、楽しいよ

いつになく優しい声が柔らかく響く

やめてよそんなこと言うの

心にかけた鍵を、壊しに来ないでよ

et

.......余計なお世話だよ

ぐっと唇を噛んで、声を絞り出す

et

私は打ち解けたいなんて思ってない!

 掴んでいた手を乱暴に離し、 すぐそこに見えていた家まで走る

走ることは禁止されているけど、 そんなことを考える余裕はなかった

yan

etさん!?

驚いたように名前を呼ぶ yanくんの声がして、

彼から逃げてばかり いることに気付かされる

家の中に入ると、yanくんの 声は聞こえなくなった

そのことにホッとして、 でも、ちょっとがっかりした

et

.......バカだなぁ、私

友達なんて作らないって 私自身が決めたのに

"etさんなら絶対にすぐ     打ち解けられるし、楽しいよ"

穏やかに紡がれた言葉が

オレンジ色に染まる広い背中が

頭に焼き付いて離れない

et

.......っ

目の奥が熱くなって、 漏れそうになる声を噛み殺しながら

それらをかき消す方法を 必死に探したんだ

余命半年の私が最後に紡いだ物語

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コメント

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ユーザー
ユーザー

やばいなんか感動‪🥲‎ めちゃ神作ですね!!🫶🏻‎💗 続き楽しみです!!!!✨

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