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兵士

2471、2472。出ろ

金属の扉が開き、冷たい声が響いた

互いに目を合わせ、小さくうなずき合う

繋いだ手をそっと離して、二人で立ち上がった

兵士

歩け

背中を電気棒で小突かれながら、列に並ばされる

同じように番号を呼ばれた者たちが、どこか焦点の合わない目で前を向いていた

彼らと共に、朔弥と奏多も“労働場”へと連れて行かれる

今日が、最初の“仕事”だった

目の前にあったのは、大きな廃ビルのような場所だった

崩れかけた階層を鉄材で無理やり補強し、そこに資材や廃材を運び込んでいる

老朽化した建物を強引に修復させているらしい

仕事は、鉄材の運搬・ガレキの選別・崩れた壁の修復作業の手伝い――

どれも、体に重くのしかかるものばかりだった

最初に渡された小さな鉄製の台車を引きながら、歯を食いしばる

柊 朔弥

(重い、、、)

柊 朔弥

(でも、俺が止まったら)

兵士

はやく行け

背中を打たれて、呻き声を漏らす

遠くで、まだ小さな手で木片を運んでいる奏多の姿が見えた

柊 朔弥

、、、っ

よろめく足を必死に動かしながら 前を向き続けた

奏多もまた、小さな体で、木くずや軽い鉄片を拾っていた

指の先は赤く腫れ、足元には擦り傷が絶えない

奏多

ふぅ、、、んしょっ

彼は泣かなかった

誰かに怒鳴られないように

息を切らして働く朔弥と、震える手で石を運ぶ奏多

お互いが見える場所で、命を削るような労働が続いていく

ー夜ー

帰ってきた牢で、食事も喉を通らないほど疲弊しながら、朔弥は奏多の手を握る

柊 朔弥

よく頑張ったな

柊 朔弥

偉いぞ

奏多

んへへ

奏多

でも、さくやのほうがいっぱいはこんでた

柊 朔弥

奏多より大きいからな

奏多

さくやもえらいっ!

柊 朔弥

ありがとうな、、、

言葉は乾いていたけれど、奏多の頬にはうっすらと笑みが浮かんだ

この場所がどれだけ地獄でも

何もかも奪われても

“生きてる”ことだけは、まだ誰にも奪わせない

鎖の中で咲いた花

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