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死は美しい
いや、正確に言うと、私だけが、死を美しくできる
人は生きている限り老いていく
若いうちはまだよい。それは成長と呼べるから
しかし、それさえも
幼く純真だった心を忘れ、醜く、賤しくなっていく過程でもある
私は時を止められる
人は私をネクロマンサー、死霊術師と呼ぶ
だが、私は芸術家なのだ
私は、死を永遠にするものだ
私が作るものは死者の美しさであり
永遠の美しさだ
私はもっと、たくさんの作品を作ろう
御上玲司
死霊術師
こいつは、私の作品のひとつ、加藤拓海を破壊した男!
私のアトリエ(学校)に土足で侵入してきたがゆえ、殺してただのゾンビにでもしようと思ったが、返り討ちにされた
まあ加藤拓海は厳選して作品に選んだわけではないので、壊された事自体はそこまで腹は立たないが、それはともかくこいつはおそらくは私に差し向けられた刺客
御上玲司
御上玲司
御上玲司
男がポッケトから取りだしたのは――
鍵だった
御上玲司
御上玲司
御上玲司
佐々木絵美
佐々木絵美
?
先生はついて来るなと言ったけれど、どうしても、僕は確かめたかった
拓海を殺し、生きる屍に変えた、黒魔術師の正体を
物陰に隠れて様子を見ていたけれど、佐々木絵美がついた嘘に、思わず反応してしまった
光
佐々木絵美
光
御上玲司
佐々木絵美
光
光
御上玲司
御上玲司
御上玲司
御上玲司
御上玲司
御上玲司
御上玲司
御上玲司
御上玲司
死霊術師
そういうと佐々木絵美は……いや、かつて佐々木絵美だったそいつは、着ていた制服を脱ぎ捨てた
制服の下は下着一枚身にまとっていない、全裸だった
死霊術師
死霊術師
死霊術師
死霊術師
御上玲司
御上玲司
御上玲司
そういうと先生は剣を抜いた
以前見た、十字架を大きくしたような剣ではない
同じように十字架をかたどっているが、はるかに大きい
前のがショートソードとするなら、こちらはロングソードといった感じだ
先生は前の剣は護身用だといっていた。だとしたらこちらが戦闘用なのだろう
死霊術師
御上玲司
死霊術師
先生はためらいなく間合いをつめると、剣を振り下ろした
だが、佐々木の姿をしたそいつは、その剣を片手で平然と受け止めた
ゾンビ相手のときは、もっと小さな剣で腕の半分まで切り込んでいたのに、今度は刃が表面で完全に止まっている
死霊術師
御上玲司
しかし先生は無言のまま、今度は体当たりをくらわせるように、全身の体重を乗せて突きを放った
「突き」は殺傷力が高いと聞いたことがある。しかし、先生の剣は、わずかに刃先が食い込んだだけだった
死霊術師
傷は浅かったけれど、敵は傷つけられたことに激怒し、蹴りを繰り出した
とっさに剣で体をかばった先生だったが、その体は数メートルほど吹き飛んだ
光
御上玲司
死霊術師
御上玲司
圧倒的不利に見えるが、先生は相手を冷静に分析している
死霊術師
死霊術師
そう言いながら、そいつは突進してきた
そして、目にもとまらぬ速さで拳を放つ
先生はそれをかろうじてかわしたが、かすめただけで頬や首筋に裂傷を負ってしまった
さらに体勢を崩した先生に回し蹴りを放ってきた
御上玲司
死霊術師
御上玲司
先生はそういうと、剣を構え、そしてそれを投げつけた
だが佐々木の姿をしたそいつは、それを簡単に払ってしまう
死霊術師
そいつの注意が剣に向かった一瞬の間に、先生は銃を抜いていた
詳しくは知らないが、世界中の軍や警察で採用されている対テロリズム用マシンピストルらしい
死霊術師
御上玲司
先生は何も言わず、引き金を引いた。乾いた音が響くと同時に、銃弾が発射される
死霊術師
3発立て続けに発射された銃弾は、驚いたことにそいつの体に穴をあけていた
死霊術師
御上玲司
御上玲司
死霊術師
死霊術師
御上玲司
御上玲司
先生はそういうと、胸ポケットから十字架を取り出し、高らかに聖句を唱えた
御上玲司
御上玲司
死霊術師
先生の祈りの言葉が終わると同時に、そいつは悲鳴を上げた。まるで体の内側から炎で焼かれているかのように、全身が激しく燃え上がったのだ
これはたしか、邪悪な魔力を燃やす神の炎、ウリエル
拓海のときは魔力だけを燃やし、後に体が残ったが……
佐々木絵美
倒れた彼女は、先ほどまでの苦悶の表情とは打って変って、穏やかな表情をしていた。きっとこの顔が佐々木絵美本来のものなのだろう
御上玲司
光
戦いが終わると、先生はその場に膝をついた
光
御上玲司
光
御上玲司
御上玲司
光
御上玲司
御上玲司
光
御上玲司
御上玲司
御上玲司
光
御上玲司
そういうと先生は手を広げて見せた。でもそこには何もなく……
いや、青白い炎が揺らめいている
その炎を見ていると、なんだか頭がくらくらして……
御上玲司
遠くで先生の声が聞こえた気がして、僕は意識が遠くなった
光
光
光
と思わず口をついて出た自分の言葉に驚いた
……先生って、誰のことだ?
僕はショックによる記憶障害と診断され、数日間学校を休んだ
その間に何があったかを聞かされたが、にわかには信じられなかった
友達の加藤拓海が事故で死んだ?
本当に? とても信じられない
それから、拓海の彼女だった佐々木絵美が行方不明になったそうだ
それに、学校で行われた避難訓練で、手違いから一酸化炭素が発生し、多くの生徒が意識を失うという大きな事故があったという
実はその避難訓練には僕も参加していたらしいが、全く思い出せない
この学校では呪われているとしか思えない出来事が次々と起こった
だけど、不思議なことに全ては終わったという、安心感のようなものがあった
なぜだろう?
光
佐藤里香
光
佐藤里香
光
佐藤里香
光
光
ロバート・ホフマン
外国人講師のロバート・ホフマンだ。あきらかに女子にばかり話しかけるというので、あまり評判はよくない
だけどなんでだろう
英語の先生、というと、心がざわつくのだ
この感情は何だろう?
それはまるで、胸の内に青い炎が灯ったような
あたたかくも、同時に何か得体のしれないものに触れてしまったような怖さも蘇ってくるのだ……
終り