奇跡を

一応俺でも学校に行く。今の所、将来の夢は消防士かゲーマーだ。もし消防士の資格を取るなら、勉強もしっかりしなくては。

にしても、窓際の目立たない場所は楽だ。

友達がいない訳では無いが、いちいちその友達に逢いに行くほどでは無い。だって大体陽キャに囲まれてるし。まぁ人気だから仕方ないけど。

まぁ、つまりはこんな陰キャ丸出しのやつに近づくやつなんざいないって訳だ。

え、なんで俺……？

ちぇーじゃねーよお前。 ちなみにあれが友人。陽キャだ。

ここでは話せないのだろうか。移動したくないのだが…なんて考えつつも、田野さんはまぁ俺よりかはマシな、二軍くらいの女子。そんな女子に逆らえるほど陰キャは強くない。

やだなぁ、なんて思いながら、仕方なくついて行った。

ブレイブ。それは、俺の活動名のはず。そんなの、センパイ以外教えたことは無い。

なぜ、田野さんは俺の名前を知ってるんだ。

…突然言われましても、というのが正直な感想。やっぱり、俺みたいに巻き込まれている人は、多いんだ。

話を聞けば、この人もセンパイさんと同じく、仲間が居ないらしい。まぁ、多分原因はちょっと前に聞いた組織とかなんとか。

この人も、組織に苦しんでいるのかな、なんて考えれば、俺のチームに入れるしか無かった。

もしこれ以上俺達と同じような人達がいたら…考えるだけで恐ろしい、気がする。その中に組織に入っている人がいる可能性なんていくらでもある。

……俺が噂に広がってるのなら、学校も安全じゃない。まぁその辺歩いてるよりかはマシだが… 気を引き締めないとな。

後ろから気絶させられたから、なんかの攻撃かと思った。まさか田野さんだったとは…

案の定、叫び声が響いた。

ホラーゲームを最後までしてしまったら、もう既に夜だ。今日は友達の家に泊まる、と言ったから、なんの問題もないが…

夜中は少し大きく音を立てれば、誰かにバレてしまう可能性が高い。銃等の音は聞こえない。でも、物が壊された時の音は別だ。

慎重に攻撃しなきゃ行けないな。 もしくは、覚悟の上、結界内に入るか…

…ちなみに、結界内はなんの問題もない。 言えば結界は化け物の体内みたいな物。だから周りに影響はない。

……と、センパイさんに教えてもらった。

慎重な行動とはいえ、物を壊さなければ良い、ということ。壊されそうになれば、俺が銃弾で怯ませればいい。

センパイさんは援護の方が向いてる。なら俺は、敵に接近してセンパイさんを守ることが目的だ。

俺は化け物の近くまで行って、銃を構える。まだあまり慣れていない銃は、感情のまま弾を放つ。

相手に攻撃は効いているみたいだが、流石にこんなものでは倒れないよう。

ファニーさんは、自分の持つ剣を相手に振りかざす。ゲームで言えば、効果バツグン…と言えるような、強い一撃が入る。

しかも、何かに対して苦しんでいる。毒……か？

……いや、今はどうでもいい。後で聞く。 あとはもう一撃入ればいい…！

俺は銃をまた構えて、トリガーを引く。しかし、それと同時に、化け物の手がセンパイさんの方向に飛んでいく。俺はそれに気付いて、全速力でセンパイさんの元へ行く。

流石に撃って攻撃を止める時間はない。くそ…でも、仕方ないんだ。

センパイさんの前に居て、腕を広げる。結構怖いが、知ったことか。

俺は立ち上がる。敵が倒れるまでは、絶対俺は倒れない。父さんだってそうだったはずだ。

ｶﾞﾝｯｯ

ファニーさんの言葉は、どういう意味なのか、さっぱり分からない。 あ、また前と同じだ。小さく心でため息をつきながら、俺はまた気を失った。

センパイさんも苦笑いするほどのこと。俺何かした？なんて、1日経ったあとでも考えている。

ファニーさんはニコッと微笑む。 …あまり田野さんとは関わってこなかったから、こんな笑顔は初めて見る。

結構怖い、だなんて噂を聞いた事があるが…嘘だったのかな、なんてほっとする。

流石の想定外。自由人だなぁ…()

まぁ、楽しそうにしてるし、実際俺自身も遊んでる訳だから楽しいけど。

そう言って満面の笑みで見せてきたのは、やる気のなさそうな顔をした猫。可愛いでしょ！と見せてきても、俺には分からない。

ほら、ファニーも愛想笑いじゃん…

なんという俺達の使い方。 …まぁ、なんだか、センパイさんらしくて落ち着く。 まぁ、センパイさん奢りでクレーンゲームやらせて貰ってんなら、なんにも文句はないんだけど。

女性一人きりにさせる訳には行かないだろ。

あ、名言みたいに言ったけど違うからな？

俺も御手洗に行くのに1人になるのは流石に怖い。でも我慢するのは何となく嫌。多分昔お父さんに言われたからだろう。

なんとなく想像する。輩に囲まれて金取られる。先に言っておくね。

はは(泣)

ｻﾞｼｭｯ