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LINE1428

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LINE1428

1 - あ

♥

22

2023年12月19日

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イチコ

ナミエさん、

イチコ

昨日の夕方、あなた家にいた?

ナミエ

昨日の夕方は、まだ仕事だった思います

ナミエ

また、うちの子がなんかしましたか?

イチコ

なんか、どこらじゃないわよ

イチコ

昨日ね、うちの家の前でサッカーし始めたのよ

イチコ

ほんと、迷惑ったらありゃしないんだから

ナミエ

それは、すみませんでした

ナミエ

今度から、そんなことしないように言っておきますので

イチコ

あのね、それ聞くの何回目だと思ってるの?

イチコ

あなたが隣に超してきてから、私毎日!

イチコ

迷惑してるの!

ナミエ

そんなこと言われましても...

ナミエ

私は息子にちゃんと注意しているつもりですし、

イチコ

そしたら、もっと厳しく言った方がいいんじゃないの?

イチコ

あなたが言えないなら、私から注意してもいいんだけど?

ナミエ

私の方から、もう一度話してみます

イチコ

ほんと、しっかりしてよね

イチコ

ほんと、この地域は甘い大人が多いのよ

イチコ

あなたの家の前のサブロウさんも、本当に子供にべったりで甘いんだから

イチコ

困っちゃうわ

ナミエ

サブロウさんのこと、そんな悪く言わないでください

ナミエ

私の子のこともそうですけど、本当にお世話になっているので

イチコ

お世話になってる、って...

イチコ

甘やかしてるだけじゃない、あんなおじさん

イチコ

もう、年老いて孫が側にいないから、寂しくなってあなたの子にべったりなだけでしょ

イチコ

あのおじさんの暇つぶし道具にされてんのよ、きっと

ナミエ

そんなんじゃないです!

ナミエ

サブロウさんは、そんな人じゃないですよ

ナミエ

私が保証できます

イチコ

でも、もうサブロウさんもご高齢だし?

イチコ

そのうち、ボケが来て、あなたのお子さんが何か危険なことしてても、

イチコ

すぐに助けに行けないでしょ

イチコ

そういう時に、守れないんだから、そこは預ける上でデメリットなんじゃないの?

ナミエ

どうして、そんなマイナスなことばかり言うんですか?

ナミエ

今までそんな危険なことなんて起きてないですし、

ナミエ

責任もって見てくださっていますよ

ナミエ

だから、大丈夫です

イチコ

ま、いいけどね

イチコ

そのうち、何か大きなことが起きたって知らないんだから

ナミエ

私はサブロウさんのこと、信じてますから

ナミエ

あと、うちの子のことも

イチコ

私はね、私の生活に支障がでなければいいの

イチコ

私が迷惑、って思ったら迷惑なのよ

イチコ

だから、しっかり1人息子の面倒くらい見てちょうだい

ナミエ

再度、近所で遊ぶときは公園に行くように注意します

ナミエ

すみませんでした

イチコ

しっかり、叱っておいてよ

~2日後~

イチコ

ナミエさん!

ナミエ

はい、何でしょうか?

イチコ

あのね、また昨日、あなたの子が道路でサッカーしてたのよ

イチコ

しっかり言っておいたんじゃないの?

ナミエ

え?

ナミエ

昨日は、公園でサッカーした、って言ってましたよ?

イチコ

嘘言わないでよ!

イチコ

昨日、家の窓から見えたのよ

イチコ

私の家の近くの木をめがけて、サッカーボール蹴っているところをね

ナミエ

え?

ナミエ

そうなんですか?

イチコ

私がウソついてるとでも?

イチコ

しっかり、この目で見たんだからね

イチコ

写真だって取ったんだから、見せてもいいのよ?

ナミエ

証拠もある、ということでしたら、

ナミエ

息子に真実を確かめるまでもない、ということは分かりました

ナミエ

本当に、申し訳ございませんでした

イチコ

あのね、謝れば済む、ってものじゃないでしょ?

イチコ

あなた、息子が問題起こすたびに、こうやって謝るつもり?

イチコ

問題児を持った母親は大変ね

ナミエ

そんな、大変じゃないです

ナミエ

確かに、周りの子供たちよりも元気ではあるかもしれないですが、

ナミエ

これでも私のことを気遣ってくれる、優しい息子なんですよ

イチコ

へ~そう

イチコ

良かったわね

イチコ

そんな良い息子に恵まれて

イチコ

最近は、ご近所に迷惑かけてばっかりなみたいだけど?

ナミエ

今度、何かありましたらその時は、

ナミエ

私も対応を考えます

イチコ

それ相応の、対応はしてくれるのね?

ナミエ

はい、約束します

イチコ

そっ

イチコ

じゃあ、くれぐれも気を付けてね

~翌日~

イチコ

ナミエさん

イチコ

あなた、とうとうやってくれたわね

ナミエ

え?

ナミエ

何をですか?

イチコ

とぼけても無駄よ

イチコ

今日、家の花壇に水やりをしようとしたら、

イチコ

サブロウさんの家の前の花壇が倒れて、

イチコ

割れているのを見つけちゃったの

ナミエ

え?

ナミエ

それ、本当ですか?

イチコ

信じれないなら、実際に自分の目で見てみたら?

イチコ

あれ、サブロウさんのお気に入りの花壇だったのにね~

イチコ

特に、模様が気に入っていたみたいだけど、

イチコ

それがぱっくり縦線にひびが入ってるわ

イチコ

あれ、どうやって弁償するつもり?

イチコ

特注品みたいだから、かなり高価になると思うんだけど

ナミエ

それ相応の金額を、お支払いしようと思います

イチコ

数万円するでしょうね~

イチコ

お金だけじゃなくて、サブロウさんからの信頼も失うかしら

イチコ

そうなったら、あなたのご家庭、この地域に住みづらくなるんじゃない?

ナミエ

え?

イチコ

まあ、前々から私は迷惑していたんだから、

イチコ

引っ越す、ってなっても全然かまわないんだけどね

イチコ

むしろ、そうしてほしいくらい

ナミエ

引っ越すなんて...

ナミエ

そんな簡単にできないです

イチコ

でも、サブロウさんも今回のことはそう簡単に許せないでしょ~

イチコ

かなり、怒るんじゃないかしら?

イチコ

大切なものが壊れたんですもの

イチコ

あっ!そういえば...

イチコ

前にも、近所の子供たちが野球で遊んでた時に、

イチコ

野球ボールが花瓶に当たって、落とされちゃったことがあるらしいのよ

イチコ

その時は、かな~り怒ってたわね

ナミエ

そうなんですか...?

イチコ

まあ、あの人怒ると人格変わりそうな感じがするものね

イチコ

これで、あなたの息子さんも泣いて反省するんじゃないかしら?

イチコ

何?ビビってるの?

ナミエ

いえ...

ナミエ

とにかく、サブロウさんにお話しして、謝ってきます

イチコ

謝って済むといいわね

~翌日の朝~

サブロウ

ちょっと、イチコさん

イチコ

あら?サブロウさん

イチコ

聞きました?

イチコ

家の前の花壇のこと

イチコ

ナミエさんの息子さん、割っちゃったみたいですよ?

サブロウ

そのことで、僕も話がありましてね

サブロウ

あの花壇、イチコさん

サブロウ

あなたが割ったんでしょ?

イチコ

はい?

イチコ

ちょっと...何を言ってるんですか?

イチコ

私がそんなこと、するわけないじゃないですか

サブロウ

あのね、僕最近、車にドライブレコーダーを取り付けたんですよ

イチコ

えっ!?

サブロウ

まあ、あんな高価なもの、買えなかったし、

サブロウ

買う必要もないかな、ってイチコさんには前に話してたけど

サブロウ

今は、当て逃げも多いから、証拠を残すために妻と相談して買ったんだ

サブロウ

そしたら、イチコさん

サブロウ

あなたが、自転車で間違って家の花壇に突っ込んだところを、

サブロウ

カメラが撮っていたんですよ

サブロウ

これ、どう説明するんですか?

イチコ

それは、その...

イチコ

まさか、あんなことになるなんて、思ってなかったんです

イチコ

バランスを崩してしまって、それで謝ってサブロウさんの花壇に...

イチコ

本当に、すみませんでした

サブロウ

僕が、前にも同じようなことをされたこと、覚えてますか?

サブロウ

子供たちに、野球ボールをぶつけられて花瓶を壊されたこと

イチコ

あっ、はい...

サブロウ

僕があの時、すごく怒ったのはイチコさん、あなた知ってるでしょ?

サブロウ

子供たちがウソついて、言い逃れしようとしたからなんですよ

サブロウ

あなた、子供たちと同じようなことをしよう、っていうんですか?

イチコ

いえ...そういうつもりじゃ...

サブロウ

じゃあ、どうして子供に罪を擦り付けようとしたんですか?

サブロウ

そんなの、良い年した大人がしていいようなことじゃないですよね?

イチコ

あとで、言おうと思っていたんですよ!

イチコ

そしたら、タイミングを見失ってしまって...

イチコ

いつ言おうかな、って思っていたところなんです

サブロウ

何言ってるんですか

サブロウ

僕、知ってるんですよ

サブロウ

ナミエさんに、息子さんが割った、って言ってたんですよね?

サブロウ

あの子が昨日、道路でサッカーをしていたころ理由にして割った、

サブロウ

って言えば、僕が信じるとでも思いましたか?

サブロウ

僕はおじいちゃんだけど、そこまでボケてはいないんだけどね

イチコ

サッカーは、していたんですよ!

イチコ

私、最近注意したばかりなのに!

サブロウ

昨日、あの子は道路でサッカーをしていたわけじゃないんですよ

イチコ

え?

イチコ

じゃあ、何でですか?

サブロウ

イチコさんの家の木に、あなたのハンカチが引っ掛かってたんです

サブロウ

それを、サッカーボールを当てれば落ちてくると思ったみたいでね

イチコ

えっ?そうだったんですか...

サブロウ

そうだよ

サブロウ

それで、その光景を見たイチコさんが、

サブロウ

サッカーをして遊んでいる、と勘違いした、ってわけだ

イチコ

そんな...

イチコ

知らなかったです...

サブロウ

まあ、あの子は結局引っかかっていたハンカチを取れた後、

サブロウ

僕に渡してきて、って頼んできたからね

イチコ

えっ?

イチコ

サブロウさんに?

サブロウ

どうしてあなたに直接渡さないのか...

サブロウ

気になったから聞いてみたんです

サブロウ

そしたら、いつも怒ってくるから怖くて渡せない、って

サブロウ

怖がってましたね

イチコ

えっ...そんな

サブロウ

あんな6歳の男の子に怖がられるなんて、

サブロウ

イチコさんも随分と、子供に厳しくしているんですね

イチコ

サブロウさんが甘やかしすぎるんです

イチコ

そんな、甘やかしたって...

イチコ

良いことないんですから

サブロウ

僕は、甘やかしていないですよ

サブロウ

僕は、良いことをしている子には、褒めますよ

サブロウ

イチコさんが甘やかしてる、って思うということは、

サブロウ

あの子が良い子だ、っていうことじゃないですかね?

イチコ

良い子?あの子が?

イチコ

道路でサッカーとかするような子ですよ!?

イチコ

非常識じゃないですか!

サブロウ

それに関しては、注意したらやめるようになったでしょ?

サブロウ

近くに公園がなくて、先に誰かが使っている時は

サブロウ

道路でやることもあったけど...

サブロウ

でも、あの子は良い子です

サブロウ

だって、花壇を壊したことも、最初はあの子がやった、

サブロウ

って言ったんですよ?

イチコ

え?そうなんですか?

サブロウ

あの子はあの花壇を、僕がどれだけ大事にしていたか、知っていたんです

サブロウ

でも、サッカーボールが当たっただけではあんな大きなヒビは、入るはずない

サブロウ

だから、僕からドライブレコーダーを確認してみたんです

イチコ

そう、だったんですね...

サブロウ

僕が、イチコさんがやったことを知っていたのか聞いてみたら、

サブロウ

あの子は知っていましたよ?

サブロウ

きっと、見ていたんでしょうね

イチコ

あっ、見られていたんですね...

イチコ

でも、そしたらどうして、なおさらあんなこと...

サブロウ

仲良くしている僕が正直に謝れば、許してくれるから、

サブロウ

と思ったから、らしいですよ

サブロウ

イチコさん、

サブロウ

あなた6歳の子供にかばわれたんですよ?

イチコ

えっ...嘘...

サブロウ

本当に、見習ってくださいよ

サブロウ

僕の花壇のことは、もういいです

サブロウ

あとは本人に直接謝罪、してくださいね

~後日談~

ナミエ

それから、イチコさんはうちの子にすごく優しく接してくれるようになり、

ナミエ

たまに近所の子供たちにお菓子を分けてくれるほど、親切になりました

ナミエ

うちの子にも、道路でサッカーをするのはしっかり禁止するように言い、

ナミエ

それでも公園が使えない時は、車で近くの河川敷に連れて行ってくれるまで面倒を見てくれています

ナミエ

私が人に親切に接しなさい、という教えがプラスで返ってきたようで、今は嬉しさでいっぱいです

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