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曲:あの夏が飽和する。
ニュースキャスター
ニュースキャスター
亜乃君(あの)
玄関前にクラスの友達が立っていた。
夏君(なつ)
亜乃君(あの)
そう君は言っていた
亜乃君(あの)
梅雨どきずぶ濡れのまんま部屋の前で泣いていた
夏が始まったばかりというのに
亜乃君(あの)
君は酷く震えていた
そんな話で始まるあの夏の日の記憶だ
隣の席の男の子
殺したのは隣の席のいつも虐めてくるあいつ
夏君(なつ)
もう嫌になって肩を突き飛ばして
ドンッ
隣の席の男の子
バタッ
夏君(なつ)
クラスメイト女
打ち所が悪かったんだ
夏君(なつ)
亜乃君(あの)
そんな君に僕は言った
亜乃君(あの)
財布を持って ナイフを持って
携帯ゲームもカバンに詰めて
亜乃君(あの)
いらないものは全部
夏君(なつ)
壊していこう
あの写真も あの日記も
亜乃君(あの)
夏君(なつ)
今となっちゃもういらないさ
人殺しと
ダメ人間の
君と僕の旅だ
そして僕らは逃げ出した
この狭い狭いこの世界から
夏君(なつ)
亜乃君(あの)
全部捨てて君と2人で
亜乃君(あの)
夏君(なつ)
夏君(なつ)
亜乃君(あの)
そこら中湧いてるじゃんか
亜乃君(あの)
君は何も悪くないよ
結局僕ら誰にも愛されたことなど無かったんだ
嫌な共通点で僕らは簡単に信じあってきた
君の手を握った時微かな震えも
既に無くなっていて
誰にも縛られないで2人線路の上を歩いた
男の人
亜乃君(あの)
夏君(なつ)
金を盗んで2人で逃げて
どこにも行ける気がしたんだ
今更怖いものは僕らには
無かったんだ
額の汗も落ちた眼鏡も
今となっちゃどうでもいいさ
あぶれ者の小さな逃避行の旅だ
亜乃君(あの)
夏君(なつ)
夏君(なつ)
夏君(なつ)
夏君(なつ)
亜乃君(あの)
亜乃君(あの)
宛ても無く彷徨う蜂の群れに
水も無くなり揺れだす視界に
迫り狂う鬼達の怒号に
馬鹿みたいにはしゃぎ合い
ふと君は
ナイフをとった
夏君(なつ)
夏君(なつ)
夏君(なつ)
亜乃君(あの)
夏君(なつ)
そして君は首を切った
まるで何かの映画のワンシーンだ
白昼夢を見ている気がした
警察
警察
亜乃君(あの)
気づけば僕も捕まって
亜乃君(あの)
君がどこにも見つからなくって
君だけがどこにもいなくって
そして時は過ぎていった
ただ暑い暑い夏が過ぎていった
お母さん
クラスメイト
亜乃君(あの)
何故か君だけがどこにもいない
亜乃君(あの)
僕は今の今でも歌ってる
亜乃君(あの)
亜乃君(あの)
9月の終わりにくしゃみして
6月の匂いを繰り返す
亜乃君(あの)
亜乃君(あの)
頭の中を飽和している
亜乃君(あの)
亜乃君(あの)
亜乃君(あの)
亜乃君(あの)
亜乃君(あの)
― Finish ―
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