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これは、ある国の幹部の物語。

いつでも冷静、冷徹で 「鮮血のスパイ」と呼ばれた彼女が。

■■■■■を取り戻す、 そんな物語。

ライ・カムラッド

暖かい、何かが。

ライ・カムラッド

私の全身を伝っていき、
私の体を満たしていく。

ライ・カムラッド

それは愛と呼べる物なのか。
はたまた狂気というものなのか。

ビトレイ・コルト

私には…もう。

ビトレイ・コルト

わからない。

a国の総統(レイダー)

…という事で、
w国潜入計画の話は以上だ。
皆、各自の部屋へ戻ってくれ。

幹部の一人(アック)

えー、もう終わりっすか!?
俺の担当は!

a国の総統(レイダー)

うるさいぞ、アック。
終わりと言ったら終わりだ。
それに今回は『潜入作戦』だ。
決して『宣戦布告』では無い。
第1暗殺部隊隊長のビトレイと
情報部隊の数人しかいらん。
お前は近接部隊だろ?

幹部の一人(アック)

で、でもぉー…

ここはa国会議室。 此処では毎日会議が繰り広げられ、 作戦が練られている。

ビトレイ・コルト

承知致しました、レイダー様。
…あと、アック様はもう少し
口を慎んだ方が宜しいかと。

a国の総統(レイダー)

ビトレイは聞き分けが良くて助かるよ。
アックとはまるで大違いだ。

幹部の一人(アック)

ちょっ、なんで
俺とコイツなんかを
比べるんっすか!?
コイツ幹部に入ったの3年前っすよ!?
俺の方が先輩なはずっす!

a国の総統(レイダー)

…あのなぁアック。
先輩だとか後輩だとかも大事だが、
1番は私に忠誠心があるかだ。
さ、全員各々の部屋に帰れ。

幹部の一人(アック)

はぁ…わかりましたよー…

次にする私の任務は『w国への潜入』。 最近国力をぐんと伸ばしていると 聞いたが、 その実力は一体どれ程か。

ビトレイ・コルト

久々に、興味が湧く話だ。

コツコツと一定のリズムを取りながら 部屋に辿りつき、 ドアを静かに閉める。

ビトレイ・コルト

はぁ…。

部屋の中は極端に家具が少なく、 質素で何処か寂しい。 だが私にとってはそれが良い。

ビトレイ・コルト

私の仕事は『スパイ』
ただそれだけですので。

部屋は質素であればあるほど良いのだ。 これまでの情が映らないように。 思い出が残らないように。

ビトレイ・コルト

さぁ…準備をしましょうか。

荷物は逃げてきた者、 という設定なので少なめで良い。 衣装もわざと服を破った物を使用。 髪の毛も…降ろして。

ビトレイ・コルト

こんな感じでいいでしょうか。

ビトレイ・コルト

後は…誰かを殺すのみ、ですね。

私の能力…というか特技は、 『殺した人になりきる事』である。 そのせい故に今まで 大量虐殺をしてきたのも事実。

ビトレイ・コルト

まぁ、仕事なので仕方がないのですけれど。

ビトレイ・コルト

さぁ、準備も整った事ですし、
始めましょうか。

ビトレイ・コルト

裏切りという名の演劇を。

部屋を出たビトレイの冷酷な足音が、 コツコツとまた城の廊下へ響き渡った。

私が今立つのはw国の城壁。 その先には、今回の潜入先。 w国の城。

情報部隊 隊員

ビトレイ様、
此方がw国の城壁となります。
私が今回手伝えるのはここまでです。

ビトレイ・コルト

情報部隊の皆様、
道案内ありがとうございました。

ビトレイ・コルト

ここからは私一人で
情報室と通信を繋げながら潜入致します。

情報部隊 隊員

承知致しました。
幸運を祈ります、ビトレイ様。

ビトレイ・コルト

お任せ下さい。

ビトレイ・コルト

a国幹部ビトレイ・コルト。
本日22:36分、w国に潜入致します。

ビトレイ・コルト

必ずや、総統様へ革命を。

その言葉を掛け声にするように、 私は城壁の壁から落ちていった。

スパイですが、敵国の幹部に溺愛されています

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