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それが最初に起こったのは

僕が幼稚園児だった頃

いつもの公園で

いつもの友達と

いつも通り遊ぶはずだった

**

ゆーまくん!

**

おはよ!

悠真

おはよー!

**

きょうはなにする?

悠真

んー

あれ?

悠真

**

ゆーまくん?

**

どしたの?

きみは

悠真

悠真

だれ…?

少し考えれば分かる

あの時の会話内容から

あいつは確かに友達だったはずだ

でも、その記憶はなくなった

突然消えた

あいつのことが

分からなくなった

あのとき僕は

“知らないやつと話している”

その状況が

すごく

怖くて

それから大喧嘩になって

そいつとは全く話さなくなった

不気味がられて

他の友達も離れていった

それ以降も何度か同じようなことがあった

病院に行っても原因は分からないままだったが

成長するにつれて起こらなくなり

次第にその現象のことすら

忘れていった

そんなある日のことだった

あのっ…!

悠真

悠真

はい?

ハンカチ、落としましたよ

それが

君との出会いだった

それから少し話をして

同じ歌手が好きだと知って

連絡先を交換した

そこから交際に発展するまで

さほど時間はかからなかった

君と過ごす時間は

楽しくて

あっという間で

幸せだった

とある日

晴れた空の下

いつも通りの道を歩く

隣には

微笑む君

君…?

君は

誰?

悠真

っ…

そこで、目が覚めた

もう長いこと忘れていた感覚

それは

夢の中だというのに

怖いほどリアルで

かつて何度も感じた

“誰かを忘れる恐怖”を

思い出した

嫌だ

怖い

君を

忘れたくない

どうすればいい?

どうすれば

忘れない…?

それから

思いついたことは全てやった

何度も言葉を交わして

手を繋いで

抱きしめた

たくさんの写真を撮って

アルバムのページを埋めた

それでも

不安は拭えなかった

もっと

もっと

記憶に残るような

頭から

永遠に消えないような

“何か”をしないといけない

・・・あぁ

そうか

横で眠る君の首に

そっと手をかける

悠真

悠真

ごめんね

写真を撮るだけじゃ

“君がいる日常”を切り取るだけじゃ

ダメなんだ

それなら

君自身を

動かなくなった君を

そっとガラスケースに入れる

ガラスケースの中で静かに横たわる君は

人形のように美しかった

気づけば僕は捕まっていた

隣人が通報したらしい

彼女は警察によって回収されたが

その姿はしっかりと

脳裏に焼き付いていた

僕はやっと

安心できた

これできっと

君のことを忘れない

自分がしたことに後悔はない

けれど

僕は今日も

暗い牢獄で

考える

忘れてしまうかもしれなくても

君と一緒に過ごす日常

忘れることはないけれど

君が存在しない日常

悠真

どっちの方が

悠真

幸せだったんだろうな

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