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ゲキジョウ

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ゲキジョウ

2 - 演目1、開演

♥

40

2023年05月28日

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ブーブー、とけたたましくブザーが鳴り響く。

観客席に座るのは相変わらずたった1人。

 

観客のヒトは今か今かと、開演を待っている。

少しのノイズと共に先ほどのヒトの声がゲキジョウに響く。

案内人の声

それでは皆様、お席に着かれましたでしょうか?

案内人の声

では、諸注意をさせていただきます。

案内人の声

上映時にゲキジョウに出入りする事はできません。
開幕の時間には絶対に遅れぬようになさってください。

案内人の声

次に、お手元の端末についてです。
お手元の端末の電源を切ると、このゲキジョウに居ることができなくなります。
観測者様はこのゲキジョウのヒトでは御座いませんので。
電源が切れぬようになさってください。

案内人の声

最後に、我々を見失わぬようになさってください。
我々しかこのゲキジョウを把握しておりません。
迷った場合、案内人か“門番”にお声かけくださいませ。

案内人の声

他にもいくつかありますが、詳しいことはパンフレットに記載させていただいていますので、それを参考になさってくださいませ。

淡々とアナウンスが進んでいく。

案内人の声

と、思ったら少しの空白がこちらに流れた。

案内人の声

長くなってしまいましたが、これで諸注意は終わります。

案内人の声

それでは皆様。
いってらっしゃいませ。

軽い雑音が流れ、そこで放送は途切れた。

ゆっくりと、紅い緞帳が上がっていく。

紅い緞帳の先には永遠に続くのではないか、と思わせるほど長く、広い階段があった。

門番

その長い階段の中心に、黒髪の女性らしき人物は佇んでいた。

こちらに気がついたのか、ぱっと顔を上げて口を開く。

門番

いらっしゃいませ、観客様と観測者様方。

彼女は落ち着いた女の声色で語る。

彼女は案内人とは違い、女性、という性別の枠に収まった存在のようだ。

門番

あんまり長く挨拶するのはよくないですよね。

門番

では、観測者様方はあたしのことを知っていると思いますが…観客様のために、軽く自己紹介させていただきますね。

門番

あたしは管理人と申します。
門番を兼ねていますので、演目が変わる度に顔を合わせることになりますね。

門番

門番

ここまで言えばいいですかね。

少し興奮した声ですらすらと自己紹介を済ませる。

門番

─では、皆様。
これより先には階段がありますが、すぐに門に辿り着きますのでご安心を。

そこまで言い、門番は恭しく頭を下げる。

門番

演目1、道化の抵抗へいってらっしゃいませ。

その声と共に、階段がこちらへ近づいてくる。

なのに、彼女はそこでお辞儀をしたまま、動かない。

 

観客は驚いたかのように目を見開く。

階段は観客にぶつかることなく、すり抜けてゆく。

あっと言う間に、果てがないように感じた階段の端に辿り着く。

──そこには大きな大きな門があった。

門番は迷うことなく大きな門を開き、もう1度頭を下げる。

門番

─どうぞ、お気をつけて。

観客は吸い込まれるように門に近づき、躊躇うことなく足を踏み入れた。

この作品はいかがでしたか?

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コメント

4

ユーザー

電源はつけたままって、普通とは違う感じがして面白い...! 所々入る語り?の部分は主に小説(ここではノベル)で使われるものだけど、 それをあえてチャットノベルで使うっていう発想...めちゃめちゃ好き。 作風大好きなんよ....(幼稚な感想からは離れてみたよ)

ユーザー

電源はつけたままで!(( 門番…うぉすげえ() 謎が多すぎて全て片付けたいんだけどリコーダーの練習に追われてて 今何もできない()

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