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はぁ・・・はぁ・・・
吐息と同時にもの凄い速さで鼓動する心臓、どのくらいの時間を走っただろうか・・・
少し歩くだけでもつれる足と息を吐くたびに感じる吐き気、服から漂う鉄の臭いがなお一層吐き気を向上させる。
渡辺春樹
神に願う。別に彼は何か信仰している訳ではなくキリストや仏、彼は救いを求めていた。
ギシィ・・・
軋む床、自分のとは違う鼓動が少しずつ近付いてくるのを感じた。
嗚呼・・・何故朝食を抜いたのか、ちょっとした貧血で意識が一瞬途切れ、壁に身体をぶつけてしまった。
彼の逃げ込んだ洗面所の扉の前で邪悪な気配が息を潜めているのがヒシヒシと伝わってくる。
ギイィィッ
扉が軋む音を立ててゆっくりと内側に開いていく。
身体の震えが止まらず涙が溢れる。
扉の向こうから現れたのは見るに悍ましい怪物だった。
二〇二〇年 九月
父の仕事の都合で長野から香川に引っ越して来た渡辺春樹は転校先に向けて準備をしていた。
新しい教科書・新しい制服・新しい通学路、前の学校では友達もおらずとくに転校に後悔はない・・・しかし新しい学生生活の始まりだからといって友達作りをする気もない。
渡辺春樹
家にいても暇だった春樹は白塀町を見て回っていた。
渡辺春樹
自販機でジュースを買って飲んでいると老婆が声をかけて来た。
老婆
渡辺春樹
町の人とも馴れ合う気の無かった春樹は軽く流した。
老婆
渡辺春樹
退屈しているとふと白塀の白というのが気になった。
渡辺春樹
老婆
渡辺春樹
老婆
まだ夏の暑さの残る風を浴びながら春樹は家へと帰った。