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玄関のドアが開く音

ヒールを脱ぎながら

○○はリビングをみた

ソファに寝っ転がっている蓬は

スマホをいじったまま

顔だけ向ける

あ、○○ちゃん

〇〇

蓬、久しぶり

相変わらず堅そう

○○は軽く眉を寄せるが否定はしない

キッチンの奥では明美さんが忙しなく動いている

明美

あら...○○ちゃん

明美

お久しぶりね

とだけ言って○○に挨拶をした

蓬には視線を向けない

明美

菫の模試の結果、見た?

明美

すごいわね...本当に

会話は自然と“菫”に流れている

蓬はソファに沈み込む

○○はそれを横目で見て

何も言わなかった

...でさ

ベッドに座った蓬が

急に言い出す

私宮城の大学がいいの

○○は椅子に腰掛け

腕を組む

〇〇

理由は?

雰囲気

即答

でもちゃんと決めたい

しばらく沈黙

お父さんもお母さんも

やめときなさいしか言わない

声が格段に低くなる

お姉ちゃんみたいに

結果を出してないからだと思う

○○はゆっくり息を吐いた

〇〇

...それで、私ね

うん

○○ちゃんしかいないの

蓬は真っ直ぐみる

○○ちゃんはこうやって

私の話を聞いてくれる

その言葉は重たかった

○○は1度視線を外す

〇〇

学園祭...ね

○○はふっと笑う

〇〇

観光みたいなものよ

え...

いいの?

〇〇

うん

〇〇

休みも取れそうだし

蓬の目はパッと明るくなる

本当に?

〇〇

条件がある

○○は指を1本立てる

〇〇

見て、考えて

〇〇

自分で決めること

〇〇

雰囲気じゃだめ

〇〇

明確な...惹かれる何か

〇〇

それを説明して

...うん!

蓬は大きく頷いた

しばらくして

蓬はぽつりと言った

○○ちゃんはさ

少し迷って、

1人でも平気な人?

○○は即答しなかった

〇〇

平気なフリをするのは

〇〇

...得意かもね

それだけ答える

蓬は何故か安心したように笑った

帰り際

蓬は○○に言った

○○ちゃん

ありがと

学園祭楽しみ

○○は襟を少し直し

〇〇

期待しすぎないこと

とだけ言って家を離れた

蓬が家に入り

○○は1人立ち止まった

宮城

伊達工

あの街

行くと決めたのは私だ

それでも少し

緊張感が走っていた

三限が終わり

二口は家に帰るところだった

あー...腹減った

頭を軽くかきあげると

勝利

二口

呼ばれて振り返る

二口

ん、勝利さん

二口

どしたんすか

勝利

今年の学園祭な

先輩は紙をヒラヒラさせながら言う

勝利

出し物

勝利

強制参加だから

と、言って目が細くなった

二口

え、は?

即座に眉を顰める

二口

いや俺、

二口

ほぼ幽霊なんすけ...

勝利

関係ない

被せ気味

勝利

名簿に名前がある時点で...

勝利

アウト

二口

...まじすか

勝利

まじ

先輩は笑う

勝利

顔もいいし

勝利

声も通るしな

二口

それ理由になってないっす

勝利

なるなる

二口

何やるんですか?

勝利

バレー絡みかな

その一言で二口は黙る

勝利

外部の人が来るしさ

二口

見世物っすか

勝利

言い方

勝利

体動かすの

勝利

嫌いじゃないだろ

二口

...まぁ

結局断れない

勝利

そんで役割はー...

先輩は紙を指す

勝利

メイン

二口

は?

勝利

問題ないね

二口

いや、ありまくり

勝利

却下

勝利さんはピースをして笑った

一方的に決まった

練習終わり

二口は加護とファミレスであった

二口

はー...

加護

でっかいため息

二口

強制って言葉

二口

久しぶりに聞いたわ

目の前に座った加護は笑う

加護

お前目立つの好きねー

二口

好きでやってない

加護

でもさ

加護は少し真面目になる

加護

学園祭

加護

めっちゃ人来るらしいぜ

二口

...ふーん

興味無さそうに話す

でも胸の奥が少しだけざわつく

知らない誰か

知らない目

加護

加護

せいぜい楽しめよ

二口

無理

二口は天井を見つめた

強制参加

逃げ道はない

それなのに何故か

少しの期待が芽生えていた

学園祭当日

朝から構内はやけに騒がしかった

屋台の匂い

スピーカーの音

呼び込みの声

「いらっしゃいませー!」

サークルのメンバーがやけに楽しそうに言う

二口もその中にいた

勝利

お、髪の毛やられたの?

いつも無造作にしている髪は

女子により綺麗なセンターパートになっていた

二口

あ...まぁ

勝利

似合ってんね

二口

うっす

いいながらもどこか楽だった

こういう空気は

嫌いじゃない

人がぞろぞろと入ってくる

学園祭特有の知らない顔の多さ

勝利

そんでさー...二口

二口

なんすか

勝利

これ運んで♡

そこには

でかい荷物

箱というか

ほぼ塊

二口

えー...重そう

二口

加護に頼みましょ

そう言って加護を見ると

既にそれ以上の荷物を抱えていた

勝利

彼はあんなんだからさ?

二口

...あぁ、なるほど

勝利

大丈夫大丈夫!

無責任な笑顔だった

勝利

人まじで足りないからさ

勝利

ついでにね

二口

ついでにの量じゃない

文句をいいながら持ち上げる

がんばれー

その横に謎に2年の女子が着いてくる

私もついて行きます!

知らない顔

でも距離は近い

二口

え、誰

酷い!

前に顔合わせたのに!

と言って笑った

人手足りないんじゃないんですかー

と勝利さんに視線を送るも

がんばれと言う瞳だった

二口

はー...

荷物を抱えたまま道を進む

二口

君いらないと思う

二口

道狭いし

ごめんごめんー

笑い声

二口はため息を着きながらも歩く

賑やかで

平和で

正門をくぐった瞬間

音と色が一気に押し寄せてきた

うわ...!

蓬が声をあげる

屋台の列

ステージの音楽

学生達の笑顔

どこを見ても

賑やかで、若い

すご...ほらみて○○ちゃん!

蓬の目が

キラキラと輝いている

○○はその横顔を見て

少しだけ表情を和らげる

ー連れてきて、良かった

○○ちゃん遅い遅い!

あれ見て!

可愛い!

○○はカバンを肩にかけ直した

〇〇

はいはい

〇〇

転ばないで

いいながらも

内心悪くない

人が多い

思っていた以上に

ちょっとトイレ行ってくる!

蓬が言い残し

人の流れに消える

〇〇

蓬...

声はざわめきに飲まれた

○○はその場に立ち止まる

大丈夫...

すぐ戻る

そう思っていたのに

数分経っても戻ってこない

〇〇

...蓬?

周囲を見渡す

同じような歳の子ばかりで

見分けがつかない

○○は歩き出す

〇〇

...すみません

〇〇

通ります

人の肩をすり抜けながら

視線を巡らせる

人、多すぎる

嫌な汗が背中を伝う

蓬の名前を呼ぼうとして

やめた

大声を出すのは良くない

焦りだけが膨らむ

〇〇

...蓬

小さく呼んだ、その瞬間

誰かと正面からぶつかる

〇〇

っ...!

視界が揺れた

〇〇

すみません

反射的にそう言って

顔をあげる

〇〇

え...

二口

〇〇

二口...くん

名前を呼んだのは

事実確認のようなもの

再会の驚きも

動揺も

後回し

○○はすぐに視線を戻す

ー今はそれどころじゃない

人の流れをもう一度見渡す

〇〇

...ごめん

それだけ言って半歩下がる

二口がなにか言おうとしたが

○○は聞かなかった

〇〇

連れとはぐれたの

説明は最小限

〇〇

荷物...落ちるわよ

〇〇

気をつけて

と言う

それだけ告げて

もう一度人混みに目を走らせる

胸の奥がざわつく

でもそれは、再会のせいじゃない

ー蓬。

高校三年生

人の多い文化祭

○○はスマホを出す

〇〇

...出ない

いちど深く気を吸う

警察官としてじゃない

叔母として

〇〇

...蓬

名前を呼びながら歩き出す

背後で二口が立ち尽くしている気配がしたが

振り返らない

今優先すべきものははっきりしている

まずは

人の流れに踏み出そうとしたその瞬間

その腕を

二口

...待って

引き止められる

振り返るとまた二口くんがいた

〇〇

あれ...荷物は?

二口

置いてきた

二口

誰探してんの

二口の声は軽い

でもどこか必死だった

○○は一瞬言葉を選ぶ

〇〇

...えぇ

それだけ

再び前を向こうとする

二口

はぐれた?

間髪入れず次の問

○○は立ち止まる

〇〇

...高校生の子よ

振り返ってはっきり言う

〇〇

姪っ子なの

二口の表情が僅かに変わる

二口

...姪?

〇〇

そう

それ以上の説明はしない

〇〇

だから今は...

行こうとする

二口は1歩

前に出た

二口

手伝う

○○は眉を顰める

〇〇

結構よ

二口

人多いし

〇〇

それでも...

○○ははっきりと言った

〇〇

あなたを巻き込む理由はない

一瞬

二口は口を開きかけて閉じる

二口

...

悔しそうに

ても引かない

二口

二口

学生だし、ここの

少しだけ声を落とす

二口

人の流れも構内もわかる

○○は彼を見る

3年前より背は高い

声も低い

それでも

立場は変わらない

〇〇

...五分だけ

○○は言った

〇〇

見つからなければ終わり

二口は少し驚いてから

笑った

二口

了解

短く

○○はもう一度前を向いた

今は再会の意味を考える時間じゃない

探す

ただそれだけ

人混みを塗って歩こうとしたその時

二口

こっち

強く手首を引かれる

〇〇

...え?

反射的に声が出た

〇〇

そっちじゃない...!

明らかに方向が違う

○○は足を止めよとする

〇〇

待って...

二口

いいから

二口は振り返らない

〇〇

離して

そう言っても手は離れない

人の波を逆にかき分ける

向かう先は建物の奥

〇〇

...二口くん!

返事はない

扉を開けて

狭い部屋に押し込まれる

〇〇

え...ちょっ...

放送室だった

機材とマイク

慣れた様子で二口はスイッチを入れる

二口

えーっと...

マイクが入る音

二口

人探してまーす

軽い調子

二口

名前は小田島...

そこで一瞬○○に視線を向ける

○○は短く息を吸う

〇〇

...蓬

二口

はい

二口

小田島蓬さーん

少し間をおいて

二口

放送室で待ってまーす

スピーカー越しに自分の声が響く

○○は、何も言えなかった

数分後

ドアが勢いよく開く

○○ちゃーん!

蓬だった

横には同じような歳の子

2人とも楽しそうに笑っている

ねぇねぇ

この子も東京からなんだって!

蓬は肩を組む

偶然会ってさ!

○○はホッとしたのと同時に

眉を寄せた

〇〇

...蓬

声が少しだけ固くなる

〇〇

人の多いところでは

〇〇

勝手にはぐれないで

蓬の表情が曇る

...

〇〇

もう...高校三年生でも

○○は続ける

〇〇

場所が場所よ

蓬は視線を落とした

もう子供じゃない...

小さく

拗ねたように

〇〇

じゃあ...

〇〇

なんで1人でこなかったの

蓬は答えられない

空気が重くなる

その時

二口

まぁ...まぁ

二口が間に入る

二口

学園祭だからな

二口

はぐれるのもありがちな

笑顔で蓬を見る

二口

無事だったし

二口

良くないすか○○さん

○○は二口を見る

3年前と違って余裕がある

でも相変わらず

線を踏みかける

〇〇

...

しばらく沈黙してから

○○は息を吐いた

〇〇

...帰る時は

〇〇

必ずいっしよに

蓬は小さく頷いた

場の空気が少し緩む

二口もそれを見て笑った

まだ終わっていない

でも再会がここにあった。

この作品はいかがでしたか?

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コメント

3

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続き楽しみです!!💫💫

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