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Stellar Symphony〜Wonder・Underground編〜

第3話 - 第3話噂

102

2025年05月28日

#🌃📖🕯

#一次創作

#参加型

#バンド

#音楽

#ドラマ

宵月シノ

「水をくれ」と頼んできた父親に水を渡した舞衣。部屋に戻ると言い、そのまま陰から父親の様子を見守っていた。

手元にあるスマホで、再び紬に電話を繋げながら。

天塚紬

『どう？大丈夫そう？』

飛遊舞衣

うーん……

飛遊舞衣

まだ分からないけど、結構飲んでたみたい……。

飛遊舞衣

ずっとふらふらしてたし、水が欲しいって言ってたし。

天塚紬

『えっと……』

天塚紬

『つまるところ、舞衣のお父さんは会社バックレて昼間から飲んでたってこと？』

飛遊舞衣

い、言い方……！

飛遊舞衣

確かにそれで合ってるだろうけど……。

父親にバレないように小声で話す舞衣。紬も、いつもより声のボリュームを下げて話していた。

舞衣の父親

……いるのか？

飛遊舞衣

！？

舞衣の父親

お前が……

舞衣の父親

お前が裏切ったんだ……。

舞衣の父親

……うっ、ううっ──

飛遊舞衣

え……

飛遊舞衣

（ど、どういうこと？）

飛遊舞衣

（裏切ったって……
お母さんのことを言ってる？）

天塚紬

『どうしたの？』

天塚紬

『何かあった？』

飛遊舞衣

あ、実はね……

飛遊舞衣

お父さんが「お前が裏切ったんだ」とか言ってて。

飛遊舞衣

それで、急に泣き出しちゃったの。

天塚紬

『ありゃま』

天塚紬

『とりあえず見守ってたら？』

飛遊舞衣

うん。そうするよ。

数分間、舞衣が父親を観察していると、父親は突然テーブルに突っ伏して眠ってしまった。

飛遊舞衣

あ、寝ちゃった……

飛遊舞衣

……とりあえず、私は部屋に戻ろうかな？

天塚紬

『ん、いいんじゃない？』

眠ってしまった父親にそっと毛布をかけ、舞衣は自分の部屋へと向かった。

飛遊舞衣

うーん……。

天塚紬

『……舞衣』

飛遊舞衣

ん？どうしたの？

天塚紬

『舞衣は両親のことを引きずってるんだろうけど、アタシは──』

天塚紬

『……。』

紬が、何かを言いかけて止まる。舞衣は首を傾げながら、次の言葉を待っていた。

天塚紬

『……ごめん、誰か来たから切るね』

天塚紬

『いつの間にか授業終わってたみたいだし。』

天塚紬

『それじゃ、またね』

飛遊舞衣

あ、う、うん……！

プツッ──

紬が電話を切る。舞衣は、スマホを傍に置いてベッドの上で膝を抱えた。

飛遊舞衣

（お父さんもお母さんも、全く分かってない……。）

飛遊舞衣

（私は、ただ2人に一緒にいてほしかっただけ。）

飛遊舞衣

……はぁ。

天塚紬

……。

生徒

も〜、あんたマジでやりすぎだって〜！

生徒

いやいや、でも言ってることは間違ってなかったでしょ？

生徒

だからって思ってることいちいち言うなって〜！

天塚紬

……？

生徒

でもさ、真面目に考えてみてよ。

生徒

やっぱりおかしいと思うんだよね。

生徒

えっと……Wonder・Undergroundだっけ？

生徒

なにかおかしなこと言ったかな〜？

天塚紬

（うわ、さっきの人達じゃん。）

生徒

だってあんた、神楽くんの顔見てた？
めっちゃ複雑そうな顔してたよ……。

天塚紬

（絶対ヤバいこと言ったな……。）

生徒

……でもさ、Wonder・Undergroundってそんなに凄いのかな？

生徒

なんか凄いステージに出るとか言ってたよね。

生徒

だから学校の中でも有名なんじゃないの？

生徒

Wonder・Undergroundはみんな高校生だし。

生徒

他の……sky-highとかMIRAGEとかのメンバーもいるけど、皆高校生なわけじゃないし。

生徒

……そう？

生徒

それもそっか……。

天塚紬

……。

生徒

……ん？

女子生徒の内の片方が、紬のいる場所を覗き込む。そして、あ、と声を上げた。

天塚紬

……え

天塚紬

え、あ、あれ？

生徒

あっ……えっと……

生徒

天塚さんだよね？
Wonder・Undergroundの……。

天塚紬

んふ、んふふふふ……。

天塚紬

──さよーならー！！！！

天塚紬

（きっと見てないきっと見てないきっと見てない……。）

生徒

……あ、行っちゃった

生徒

何なんだろうね。

生徒

やっぱり変わった子だよねー。

天塚紬

（あれでバレるってマジかよぉーーー！！！）

天塚紬

（んもぉーーー！！！）

ドタドタドタ……

紬は廊下を全力疾走する。「止まりなさい」やら「廊下を走るな」やら声が聞こえたような気もしたが、紬にそんなことを気にする余裕はなかった。

──ドンッ

曲がり角にて、紬は誰かとぶつかった。尻もちをつき、相手に謝ろうと顔を上げると──

天塚紬

おわっ、ごめんなさ──

天塚紬

……え、幸斗？

如月幸斗

んだよ

如月幸斗

何かあったのか？

天塚紬

多分先輩らしい2人組の話盗み聞きしてたらバレた……。

天塚紬

しかもWonder・Undergroundの話してた

如月幸斗

お、おう……。

如月幸斗

そりゃ大変だったな、ごくろーさん。

天塚紬

思ってる？？？

天塚紬

んで、茜兎がその人達に何か言われたみたいで……。

神楽茜兎

……呼んだ？

いつの間にか、2人の間に茜兎がひょっこりと現れた。それに驚き、紬は数歩ほど後ずさる。

天塚紬

わぁお

天塚紬

……いや呼んだけど呼んでない

神楽茜兎

どっち？

神楽茜兎

で、僕が何か言われたって話だっけ？

如月幸斗

いや聞いてたのかよ

神楽茜兎

……確かに言われた

神楽茜兎

でも、あんなののこと気にしてたって何にもならないでしょ。

神楽茜兎

ステラフェスのために準備をしてるんだから、今は尚更。

天塚紬

ま、そうなんだよねぇ……。

神楽茜兎

……言っとくけど、僕はその程度で諦めるつもりはないから。

神楽茜兎

それは2人も同じでしょ？

とだけ言うと、茜兎はすたすたと歩いてどこかへ行ってしまった。

天塚紬

……うーん。

天塚紬

茜兎らしいっちゃ茜兎らしいか……？

如月幸斗

……まぁな

如月幸斗

あいつが自分の意見を曲げることなんてねぇだろ。

如月幸斗

そういう奴ってことだ。

天塚紬

まぁ……そっかぁ……

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宵月シノ

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