朝
スマホのバイブ音で目が覚めた
画面には「母」の文字
〇〇
お母さん
お母さん
〇〇
〇〇
お母さん
〇〇
お母さん
お母さん
お母さん
母の声はいつもより明るかった
〇〇
眠たげな声で返事をすると
母は嬉しそうに笑って電話を切った
朝の光がカーテンの隙間から差し込み
どこか穏やかな日になりそうだった
昼前のカフェ
エスプレッソマシンの音と
るいちゃんの軽やかな声が響く
るい
るい
るい
〇〇
〇〇
〇〇
忙しいけど、心地いい
こんな日常が少しずつ積み重なって
お店もようやく形になってきた
ふと、ドアベルがなる
顔を上げるとそこには国見がいた
スーツ姿のまま
少し戸惑うように
店内を見つめていた
〇〇
国見
国見
国見
その言葉に思わず笑みがこぼれる
〇〇
〇〇
だけの次の瞬間思い出した
〇〇
〇〇
〇〇
国見
国見はそれだけ言って
静かにメニューを開いた
少しだけ胸がざわついた
本当はもう少し話したかった
〇〇
〇〇
るい
るい
るいちゃんに声をかけ
○○は事務所に向かった
時計の針はちょうど12時を指していた
〇〇
○○はエプロンを外し
髪を整えた
ふと、ホールの方からざわめきが聞こえた
お客様同士のトラブルにしては
空気が重い
嫌な予感がして
急いでホールに戻る
その瞬間、見えた
カウンターの前で
母が国見さんを睨みつけていた
お母さん
聞いた事のない声だった
母の声は震えていた
国見は何も言わず顔を伏せる
〇〇
○○は慌てて間に入り
母の腕を掴んだ
〇〇
〇〇
母はハッとしたように目を瞬かせ
お母さん
お母さん
お母さん
そう言って外へ出ていった
○○は国見に向き直り
〇〇
○○は頭を下げた
国見
国見は短く答えた
その声の中には
どこか痛みのような静けさがあった
○○は何かを言いかけて
結局何も言えないまま店を飛び出した
外に出ると
母は少し離れた場所で立ち尽くしていた
〇〇
〇〇
お母さん
〇〇
お母さん
お母さん
お母さん
母の声は淡々としていて
それ以上の言葉を拒んでいた
○○はそれ以上追求出来ず
ただ並んで歩いた
秋の風はもう終わり
二人の間の沈黙を深くしていく
○○はお母さんと向かい合って
駅近くの洋食屋さんのテーブルに座っていた
店内には静かなピアノのBGMが流れていて
さっきまでのカフェでの出来事が
嘘のようだった
お母さん
お母さん
〇〇
〇〇
お母さん
お母さん
〇〇
お母さん
○○は頷いた
お母さん
〇〇
お母さん
お母さん
お母さん
お母さん
スープをかき混ぜながら
少し寂しそうに笑う
○○はスプーンを持ったまま黙っていた
お母さん
お母さん
お母さん
〇〇
○○は少し間を置いてから口を開いた
〇〇
〇〇
お母さん
お母さん
お母さん
お母さんはそう言って
どこか遠くを見た
その日の夜
○○はカフェの帳簿をつけながら
ふと昼間の国見の顔を思い出した
あの時お母さんに声を荒らげられた彼の表情
驚いて
でも平然を装っていた
〇〇
コメント
2件
隼人くんと国見さん似てるって言ってたから、隼人くんと間違えたのかな、??
𓏸𓏸ちゃんのお母さん誰と見間違えたんだろ…… それにしても最高です(๑•̀ㅁ•́ฅ✧ 続き待ってます!