君には砂糖を
カランカラン...
店内に入った途端に
コーヒーの香りがふわりと漂う
私はこのカフェが好きだ
そしてこのカフェに一緒に来る
彼のことも好き
菜月
優翔さん
優翔
...ん?
菜月
菜月
何を頼みますか?
優翔
なんでも...
菜月
了解ですっ
店員さん
ご注文お決まりですか?
菜月
はい
菜月
菜月
ブラックコーヒーを2つ
店員さん
かしこまりました
店員さん
優翔
...ブラックコーヒー...?
菜月
え?
菜月
うんっ
菜月
菜月
だって優翔さん
菜月
"苦手"でしょ?
優翔
...うん
菜月
菜月
たまには同じコーヒーを
飲みたいなって
飲みたいなって
優翔
そう...
ブラックコーヒーが
苦手な君と好きな私
でもコーヒーに砂糖を入れれば
甘くなる
そんなの誰でもわかることでしょ?
店員さん
お待たせしました
店員さん
ブラックコーヒーを2つ
店員さん
どうぞ
店員さん
ごゆっくり
菜月
ありがとうございます
菜月
菜月
さあっ
菜月
優翔さん
優翔
優翔
なんですか...?
菜月
コーヒーを飲もう?
優翔
あ...でも...
菜月
菜月
どうかしたの?
優翔
さ...砂糖が欲しいです...
菜月
やーだ
菜月
まず一口はそのまま飲んでみよ?
菜月
意外と美味しいかもだし
優翔
うう...
優翔
でも─...
菜月
菜月
はい!
菜月
頂きますっ...
優翔
え...
優翔
頂きます...
菜月
優翔
菜月
ん...
菜月
美味しい...っ
優翔
菜月
優翔くん
菜月
美味しい?
優翔
優翔
やっぱり...
優翔
苦かったですー...
菜月
ふふっ...
菜月
そっかそっか
優翔
にがぁい...
苦いのが苦手な君は
ブラックコーヒーを飲めない
そんな君が大好きだ
優翔
口の中がにがぁい...
菜月
苦いのー?
優翔
コクコク...
菜月
じゃあコーヒーに砂糖
入れてあげるから
入れてあげるから
菜月
それで飲んでみたら?
優翔
やだ...
優翔
コーヒー苦い...
菜月
菜月
んー
菜月
どうしたら飲んでくれるの?
優翔
優翔
菜月がキスしてくれたら...
優翔
コーヒー飲む...
菜月
菜月
そっかあ(笑)
優翔
...うん
菜月
優翔
ん...っ...
私は砂糖よりも,もっと
甘い甘いキスを
彼におとした