一体どれ程の時間、そこにいただろう。
周りはもう朝になっていた。
隣では天が寝ている。
私はそっと立ち上がる。
天
薫、おはよう…
薫
あ、おはよう…
天
じゃあ、行こっか!
天はすっと立ち上がりそう言った。
薫
どこへ?
天
僕のお家だよ。ここだと、いつ悪い妖怪に襲われるか分からないから
薫
う、うん。分かった。
私は天とその家に向かった。
天
せっかくだし、この世界とここに住む妖怪たちの話をしよっか
薫
うん
天
ここは妖怪の住まう世界『己妖封界』。って事は知ってるよね?
薫
うん。この世界には普通の人間は入れないって
天
そう。ここに来れる人間はあるたくさんの条件を満たさないといけない。だから、君は選ばれし人間って訳!
薫
ふぅん…
天
…ま、まぁ。この己妖封界の始まりは西暦950年頃かな。
天
その頃、人間と妖怪の間で、ある事がきっかけで争いが起こった。
天
そして、当時陰陽師で有名だった安倍晴明が妖怪を一箇所に集め、結界を張って外に出れないようにした。
天
それが、己妖封界の始まり。
薫
すごく…長い歴史があるんだね
天
そうそう、本当長いよねぇ…
天
まぁ、そのせいで人間に対して恨みを持った妖怪が、己妖封界に迷い込んでくる人間を喰っている。
天
だから、薫を保護したんだ。
薫
じゃあ、他の人間も今から行く家にいるの?
天
いや、まぁ…君以外の人間はちょっと保護するのが難しくてね…
薫
見殺しにしたの?
天
ウッ…そんな事ないよ。助けようと精一杯努力してたよ
薫
ふぅん…
天
あはは…
天
あ、着いたよ!ここが僕のお家!!