テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
紫煙
みこと
みこと
雨乃こさめ
紫煙
紫煙
……あれ、こさめ一番乗り!?
扉を開けると、部屋ががらんとしていたので驚いた。 いつもなら、メンバーの誰かしらが先に到着していたから。 珍しいこともあるもんだねっ!
というのも、ここはダンス教室の一角。 今日は、シクフォニでダンスレッスンを受ける予定があるのだ。
そしてこさめたちは、ダンスを習う部屋とは別の休憩所で集まってから、6人でまとまって先生のいるダンス部屋へ向かうのが習慣となっていた。
なので、今いるのはその休憩所。 主に、必要ならダンスの練習用の服に着替えたり、ロッカーに荷物を置いておいたりできる部屋だ。 軽くストレッチできたり、テーブルやソファが置いてあったりと、中々広めなスペースがある。
この広いスペースをこさめだけで独占したのは初めてだ。 なるほど、中々気分がいい。 次に来たメンバーから順に、『遅かったねぇ〜〜???www』とバカほど煽ってあげたくなるような、いい気分である。
雨乃こさめ
ウキウキとくだらないことを考えつつ、持ってきた荷物をロッカーにおろしてソファに座った。 このソファだって、いつもは誰かが座っているが、今日は一人占めである。
雨乃こさめ
ごろーん、と堂々とソファに寝転がってみた。 3、4人分のスペースを1人で使えるのは、中々貴重だ。 つまり、めっちゃワクワクする。
雨乃こさめ
次々に思い浮かぶ愉快な考えは平常運転。 配信や活動中だろうがオフだろうが、こさめはこんな調子である。
そして、いい感じの死んだふりポーズが完成した頃、廊下に足音がしてくるのに気づいた。 話し声はしないから、多分ひとりだ。それなら尚更、死んだふりで驚かせ甲斐もあろうというもの。
ワクワクしつつ待ち構えていると、がちゃりと扉が開く音。 くっ、目を閉じて死んだふりしてるから、誰かわからん!!
目を開きたい気持ちを堪えて死んだふりに徹していると、荷物を置いたと思わしき足音は、ソファの方へ近づいてきた。 そして、驚いたように急停止。
みこと
ちがーう!! 死んでるんやって!! 声からして、入ってきたのはどうやらみこちゃんだったようだ。 この天然め、死んだふりと寝たふりの区別もつかないのか……っ。
だがまぁ、寝ていると思うのなら起こそうとするだろう。 いくら起こそうとしても無反応なら、流石のみこちゃんでも死んでいるのだとわかるはずだ。
雨乃こさめ
……だが、いつまで待っても何もない。 他にある椅子に座るでもなく、こさめが寝そべっているソファの前に佇んだままのようだ。それでいて、こさめを起こす様子はない。 え、何をしてんの???
みこと
……なんだか、ごくりと息を呑む音が聞こえた気がする。 足音と、服の衣擦れの音が近くなる。気配的に多分、こさめの顔を覗き込んでいる?
雨乃こさめ
そうに違いない。なにせ、こさめもイタズラを企んでいるのだから。 そうとわかれば、イタズラ上級者としては見守るのみだ。 最初からバレてたぞ、と死んだふりをネタバラシをするためにも、珍しいみこちゃんのイタズラは見ておかねばな!
さてどんなことをされるかな、とウキウキ待ち構えていると。 ふに、と、ほっぺたをつつかれた。
雨乃こさめ
そこから続けて、ふにふにふに、と更につつかれる。 もしや、これがイタズラのつもりだろうか。 え、何?? イタズラ舐めてる?? もっと本気出しな??
と、みこちゃんの平和すぎるイタズラに、思わず脳内でツッコミを入れてしまう。 こさめが本当に寝とったら、こんなん気づきもせんて! イタズラってのはもっと、相手をビビらせへんと!
などと思った矢先。 頬をつつく指が、ふと止まって。 そのまま、みこちゃんの指がこさめの頬に添えられ。 ぎこちない動きで、親指で唇をなぞられた。
雨乃こさめ
え何なにナニ!?!?!? こさめの唇をやわくなぞる、繊細な指の感覚。 認めよう、確かにこれはビビる。ビビった。 でも、思ってたイタズラのベクトルとはだいぶ違った。
イタズラというよりは、もっと別の……。
雨乃こさめ
こさめの脳裏をよぎった考えに、自分で驚いた。 だって、こさめ達の関係は、普通にグループメンバー。友達だ。 だから、たとえイタズラであっても、キスや何かというのは、これまでの関係性からはかけ離れた、唐突すぎる行動に思えた。
雨乃こさめ
頭の中がはてなマークで埋め尽くされている。 キスという可能性が浮かんだことで、頬に触れるみこちゃんの手を、どうしても強く意識してしまう。 もう、本当に何!? なんなんみこちゃん!?
……と、一瞬パニック状態だったからだろうか。 思わず、頬に触れられている手を、掴んでしまった。
雨乃こさめ
みこと
小さく叫んだみこちゃんに、観念して目を開ける。
雨乃こさめ
反射的に、いつものこさめらしく、ふざけた態度で応じる。 もう、そんな風に茶化したってどうしようもないのだが。 だってほら、みこちゃんは可哀想なほど真っ赤になっている。
この反応を鑑みるに、みこちゃんの企みは、本当にキスをすることだったのかもしれない。 というか、十中八九そうだろう。
こさめはものすごく驚いたし、今の一連がイタズラとしての行動なら、みこちゃんにとっては大成功だろう。
……そして、恋心としての、行動だったなら。 それが成功かどうかは、こさめのこのどくどくと鳴る心音と、自分でも自覚できるほど赤く染まった頬で、察してほしい。
紫煙
紫煙
紫煙
紫煙