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LINE1471

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LINE1471

1 - あ

2024年01月07日

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ミカ

ねえ、サキ

ミカ

今日、お父さんお弁当忘れて行っちゃったみたいで

ミカ

悪いけど、お弁当、届けてくれない?

サキ

え~めんどくさいよ

ミカ

いいじゃない

ミカ

今日は会社の面接とか、試験とか何もないんでしょ?

サキ

そうだけど、最近全然休めてなかったから、

サキ

家でゆっくりしたい日なの

ミカ

それなら、帰ってきてからゆっくりすればいいじゃない

ミカ

お父さん、お弁当なかったら外食で脂っこいもの食べちゃうから

ミカ

お母さんだって、今日はパートで行けないしさ

サキ

なんで、私があんな人のお弁当を届けないといけないの...

ミカ

サキにしか、頼めないの!

ミカ

お願い!

サキ

分かったよ

サキ

コンビニから帰ったら行ってくるね

~21時~

サトシ

おい、サキ

サトシ

なんだ、今日会社に来た時の格好は

サキ

何、って?

サトシ

なんで会社に来るのに、あんなだらしない格好でくるんだ

サトシ

周りにお前の父親だ、って知られる俺の身にもなれ

サキ

は?何それ?

サキ

そっちがお弁当忘れたのがいけないんでしょ?

サキ

わざわざ貴重な休みの日を使って行ってあげたのに、

サキ

なんでそんな言い方しかできないわけ?

サトシ

俺は、別に持って来てくれなんて頼んでない

サトシ

ミカからお前が届けに行ってくれる、って言われた時、

サトシ

俺は断ったんだ

サトシ

そっちが勝手にやったことだろ

サキ

勝手にやったこと、って

サキ

何?その言い方!

サキ

別に、こっちだって届けなくていいんだったら、

サキ

わざわざ会社まで行って届けなかったよ!

サトシ

じゃあ、今度から別に届けに来なくていい

サトシ

私服だとしても、もっとフォーマルな服装をできない奴に、

サトシ

来てほしくわないからな

サキ

でも、どうせ届けたお弁当食べたんでしょ?

サキ

なのに、お礼も言わずに説教だけするなんて、

サキ

あまりにも、自分勝手すぎるんじゃないの?

サトシ

そんなことはない

サトシ

弁当に罪はないからな

サトシ

サキには、社会人としてのマナーを教えてやってるだけだ

サトシ

こうやって、教養がないから面接も落ちるんじゃないのか?

サキ

それは関係ないでしょ

サキ

自分に合うところがなかっただけだって

サキ

運が悪かっただけ

サトシ

そうやって、運のせいにし続けるのか?

サトシ

人のせいにばかりしているから、

サトシ

そんなひねくれた態度が、面接でも出るんじゃないのか?

サキ

なんで、私のこと応援してくれないの?

サキ

何度も面接してもらって、エントリーシートも出すけど、

サキ

それでも上手くいかないんじゃん!

サトシ

それは、お前の方に何か原因があるからだ

サトシ

それを改善しないと、前には進めないだろ

サキ

どうして、私のこと信じてくれないの?

サキ

こっちだって、精いっぱい毎日、努力してるのに

サキ

お父さん、って、私のことできないやつ、ぐらいにしか思ってないんでしょ?

サトシ

そう思うのが、悪いことなのか?

サトシ

だって、本当のことじゃないか

サトシ

親戚はみんな、大きな大企業に行っているのに、

サトシ

お前だけ就活留年なんて

サトシ

母さんも恥ずかしい思いをしてるに違いない

サトシ

もっと、気を改めろ

サキ

どうせ!

サキ

私はできない娘だよ

サキ

周りと違って優秀じゃないし、だから就活も上手くいかないもん

サキ

だから、お父さんも認めてくれないもんね

サキ

ほんと、毎日何のために就活してるのか、

サキ

分かんなくなってきた

サトシ

弱音吐いてる暇があるか!

サトシ

愚痴を言ってる暇があったら、手を動かせ

サキ

そんなこと、分かってる!

~3日後~

サキ

ねえ、お母さん

ミカ

何?

サキ

今度、介護関連の資格試験があって、

サキ

それに卒業証書が必要なんだよね

サキ

大学に頼んで、もうそろそろ届いても良い頃なんだけど

サキ

見なかった?

ミカ

え~?見なかったわね~

ミカ

お父さんにも、聞いておこうか?

サキ

うん、お願い

ミカ

了解

ミカ

それで、資格の勉強の方はどう?

ミカ

順調に進んでる?

サキ

うん、進んでるよ

ミカ

昨日の夜のお父さんとの喧嘩だけど、

ミカ

お父さん、本当はサキのこと応援してるんだからね

サキ

そんなこと言われても、信じられるわけないじゃん

サキ

久しぶりにご飯一緒に食べることになって、

サキ

最近遅くまで起きてるみたいだけど、勉強が大変なのか?

サキ

って心配してくれてるのかと思ったら、

サキ

効率が悪いから、そんな時間がかかるんだ、って

サキ

お母さんも、あの言い方はひどいと思うでしょ?

ミカ

まあ、ちょっと不器用なだけよ

ミカ

お父さん、思ったことは素直に言えないじゃない

ミカ

それは、サキも分かってるでしょ?

サキ

分かってるけど、それにしてもだよ

サキ

あまりにも、ひどすぎる

ミカ

サキ、分かってあげて

ミカ

お父さんのこと

ミカ

サキは、お父さんが親戚の目ばかり気にしてる、

ミカ

って言ってたけど、そんなことないわよ

ミカ

サキが努力して頑張ってるところは、お父さんもちゃんと見ているからね

サキ

そんなこと言われても、私信じられないよ

サキ

だって、いっつもあんな態度じゃん

サキ

それなのに、どうやってお父さんのこと信じろ、って言うの?

サキ

難しい話でしょ

ミカ

そう言わずにさ

ミカ

お父さんも、どう接して良いのか分からないのよ

ミカ

子供の頃から、ずっと男に囲まれて暮らしてきたからね

ミカ

だから、話聞くぐらいはしてあげてね

サキ

お父さん1人のために、そんな時間なんて作れないよ

サキ

めんどくさい

ミカ

もう、そう言わずにさ~

サキ

とにかく!今はお父さんのことはいいから!

サキ

大学からの郵便があったら、私に教えてね!

ミカ

はいはい

~1週間後~

ミカ

サキ!

ミカ

ちょっと大変!

サキ

え?何?そんなに慌てて...

サキ

どうしたの?

ミカ

今、大学から連絡があって、

ミカ

卒業証書、間違えて普通友人で送っちゃった、って言われたのよ!

サキ

え!?

サキ

そんな

サキ

だって、試験は明日なのに!

サキ

今から普通郵便で送ったら、明日以降になるに決まってるじゃん!

ミカ

私が今から取りに行けたらいいんだけど、

ミカ

今日は17時からのパートで、もう行かないといけないのよ

ミカ

お父さんは、まだ仕事だろうけど

ミカ

一応連絡してみるわね

サキ

いいよ、お父さんには連絡しなくて

ミカ

え?どうして?

サキ

だって、お父さんが私のために協力してくれるわけないもん

ミカ

サキ

ミカ

お父さんは、1年に一回しかない試験のために、

ミカ

サキが頑張ってきたこと、知ってるの

ミカ

必ず、何か力になってくれるわ

サキ

私は、そうは思わない

サキ

私のことなんか、どうでもいいと思ってるに決まってるもん

ミカ

母さんは、あの人なら何とかしてくれると思うわよ

ミカ

とにかく、すぐに連絡するから

ミカ

ちょっと待ってなさい

~10分後~

サトシ

おい、サキ

サトシ

お前、今どこにいる?

サキ

家にいるよ

サトシ

卒業証書、普通郵便で配達されたんだって?

サキ

どうせ、私が気づくのが遅いのが悪いんだ、とか

サキ

そんな説教しかしないんでしょ?

サトシ

そんなこと、言うつもりで電話したんじゃない!

サキ

え?

サキ

じゃあ、なんで?

サトシ

俺が、今から仕事場から取りにいく

サキ

え?

サキ

でも、今から行ったら、かなりかかるでしょ?

サキ

片道3時間だから、家着くのは10時とかになるんじゃないの?

サトシ

そんなの、どうだっていいんだよ

サトシ

サキが1年に一回しかない試験のために、勉強してきたんだろ?

サトシ

それを、大学のミスで受けれなかったなんて

サトシ

そんなこと、俺は許せないんだ

サキ

お父さん

サキ

ありがとう

サトシ

俺は、今までサキにまともに向き合って来れなかったからな

サトシ

思ってることを言おうと思っても、

サトシ

いつも一言多くて、傷つけてきた

サトシ

だから、本当にピンチの時くらいは、助けてやらないとな

サキ

何それ(笑)

サトシ

まあ、とにかくサキは家で勉強してなさい

サトシ

俺に気遣って、帰ってくるまで起きてるなんてこと、

サトシ

しなくていいからな

サキ

そんなこと、誰がするの?

サトシ

やるわけないじゃん

サトシ

まあ、とにかく家で勉強してなさい

サトシ

父さん、もうすぐで帰るから

サキ

お父さん

サトシ

なんだ?

サキ

本当に、ありがとうね

サトシ

そんな、お礼を言われるほどのことじゃない

サトシ

じゃあ、勉強サボるなよ

~翌日の朝~

サキ

お父さん

サトシ

サキ

サトシ

試験はどうだったんだ?

サトシ

終わったか?

サキ

うん、終わったよ

サキ

思った以上に、スラスラ解けた

サトシ

そうか

サトシ

よかったな

サキ

私、今までお父さんに酷い態度取ってきて、ごめんね

サトシ

父さんも、いけないところがあったからな

サトシ

だから、サキが謝ることはないよ

サキ

あとさ、もう1つ、お母さんから聞いたんだけど、

サトシ

うん、どうした?

サキ

お父さん、昨日会社早退していってくれたの?

サキ

お母さんから聞いたよ

サトシ

ほんとに、言わなくていいって言ったのにな~

サキ

聞いた時はびっくりしたよ

サキ

お父さん、仕事第一で動くのに

サキ

ありがとう、そこまでしてくれて

サトシ

だから、気にしなくていいから

サトシ

それにしても、大学に着いたらびっくりしたよ

サトシ

こんな時間に来るなんて、迷惑ですよって言われてさ

サトシ

迷惑も何も、間違えたのは大学側なのに

サトシ

申し訳ない気持ちなんて、全くなかったよ

サキ

そうだったんだ

サキ

今日も仕事あるのに、行かせちゃってごめんね

サトシ

サキが試験を受けれたなら、仕事のことなんてへっちゃらだ

サトシ

まあ、少し眠いけどな

サキ

今日も、お疲れ様

サキ

あっ!

サキ

お昼ご飯の時間、楽しみにしててね

サトシ

サトシ

何かあるのか?

サキ

今日はね、私がお弁当作ったんだよ

サトシ

へ~珍しいな

サキ

お父さんが好きなものばかり入れたから、

サキ

楽しみにしててね

サキ

試験の結果、出たら教えるよ

サトシ

楽しみにしてるよ

~1か月後~

サキ

お父さん!

サキ

私、介護の資格、受かったよ!

サトシ

本当か?

サトシ

よかったな

サトシ

これで、きっと採用してくれるところも見つかるよ

サトシ

本当に、よく頑張ったな

サキ

全部、お父さんのおかげだよ

サキ

たぶん、お父さんがあの時、

サキ

私のために卒業証書をもらいに行ってくれなかったら、

サキ

きっと、また就活留年してた

サキ

本当に、ありがとう

サトシ

でも、スタートはこれからだ

サトシ

あんまり、気を抜くんじゃないぞ

サキ

それがね、もう内定もらえたんだよ

サトシ

え?そうなのか?

サキ

実はね、資格試験を受ける前に、

サキ

介護の会社に、応募してたの

サキ

そしたら、ついさっき合格発表が来たんだ

サトシ

そうだったのか

サトシ

せっかく試験も受けたのにな

サトシ

無くても、良かったのか

サキ

うん

サキ

私が勝手に、受けておいた方がいいかな、って思ってただけ

サキ

必須ではなかったよ

サキ

でも、それはそれで、私の中で1つの思い出だよ

サキ

お父さんに、助けてもらって、受けれた試験だから

サトシ

思い出にしてくれるなんて、嬉しいよ

サトシ

父さんは、今までサキが本当に就職先が見つからなかったら

サトシ

どうしよう、って

サトシ

不安で仕方なかったんだ

サトシ

それで、ついきついことも、言ってきてしまった

サトシ

本当に、悪いと思ってる

サキ

言い方がきついな~って思う時はあったけど、

サキ

もう、気にしてないから

サキ

だから、お父さんも気にしないで

サトシ

本当に、すまないな

サトシ

社会人は、朝が早くて大変だ

サトシ

今から、早起きに慣れておくんだぞ

サキ

それは、分かってるって

サキ

じゃあ、就職のお祝いになんかちょうだいね~

サトシ

そっちこそ、図々しくないか...?

サキ

そんなことないって!

サキ

じゃあ、楽しみにしてる!

~後日談~

サキ

私は無事、第一志望の介護の仕事で働くことができ、毎日忙しくしています

サキ

お父さんとは、あの卒業証書の件以来、なんだか距離が縮まったような気がします

サキ

これから、もっと親孝行をしていけるように、努力していきたいです

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