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颯飛
今日、私、朱里[あかり]は恋人である颯飛[はやと]とデートしていた。
朱里
颯飛
朱里
颯飛
朱里
私が目を向けた先には、猛スピードで近づいてくる車の姿が。
朱里
颯飛
私は颯飛の頭を抱えるように道の端へ飛び込んだ。
キキーィィィイ!!!!!
ドンッッッ
大きな物音が聞こえたと同時に俺は床に倒れていた。
颯飛
体に強い痛みを覚えながら体を起こすと、そこには。
颯飛
電柱に衝突して車体が大きく凹んだ自動車。
ザワザワとうるさい街人達。
そして
頭や身体中から血を流して倒れている朱里がいた。
颯飛
俺は何が起こったのか上手く飲み込めないと同時に、倒れた時に頭でも打ったのか、脳震盪を起こして、その場で気を失った。
『ここはどこだ?』
目を開けて一番最初に思ったのはそれだ。
天井は高く白く。
体を起こしてみると広い部屋にいくつかのベッドとそれらを仕切るようにカーテンが。
その景色は病院そのものだった。
颯飛
紘斗
颯飛
そこには、紘斗[ひろと]含め、俺の友達複数人が居た。
遥輝
遥輝[はるき]が俺の肩に手を乗せながらいう。
颯飛
病院にいる時点で何となく察していたが、やっぱり何かしら事故に巻き込まれていたらしい。
紘斗
颯飛
俺は、友人の思わぬ言葉に目を丸くした。
彼女?
俺には彼女なんて居ないけど。
紘斗
俺…彼女いるなんて言ったことあったっけ?
俺別に居ないものを見栄張って嘘つくタイプじゃないけど。
颯飛
俺は疑問を抱きながら友人に“俺にとって”正直な事実を告げた。
遥輝
俺がそう言うと、見舞いに来てくれた奴はみんな疑ったような顔を浮かべた。
遥輝
紘斗
遥輝
颯飛
こいつらの反応が分からない。
“俺に彼女はいない”。そのはずだから。
看護師
そこで看護師が見舞いに来た奴らを部屋から出した。
俺はモヤモヤを抱えたまま2つの事を考えた。
友人達が口を揃えて言う“彼女”の存在と。
6人用のこの病室に不自然に1人だけの、俺の隣で寝ている女性の存在を。
朱里
颯飛
颯飛
颯飛
目を開けると高く白い天井。
蘇る事故の記憶。
間違いない、私は病院にいる。
そこで思い出すんだ。
朱里
勢いよく起き上がって辺りを見渡す。
颯飛
隣のベッドで本を読んでいた彼と目が合う。
間違いない。颯飛だ。
朱里
颯飛
颯飛
朱里
最悪の事態が起こった。
颯飛が私のことを忘れてしまった。
朱里
朱里
颯飛
それから私は、絶望に暮れていた。
朱里
隣の人は、雪名さんと言うらしい。
看護師さんが声をかけているのを聞いた。
俺は、純粋に1人で本を読むのが疲れて、雪名さんに声をかけた。
颯飛
朱里
ベッドで横になっていた雪名さんは一瞬体をビクつかせ、起き上がって俺に向かって微笑んだ。
颯飛
この瞬間、惚れてしまったのかもしれない。
颯飛
朱里
俺がそう聞くと、雪名さんは一瞬表情が暗くなった。
朱里
ただ、次の瞬間には明るい笑顔で答えてくれた。
颯飛
本当は嫌だったんだろうか。
颯飛
朱里
颯飛
何故か懐かしさを感じた。
ただ。
颯飛
今俺はこれだけ答えるべきだと思った。
懐かしく感じるだけで、何もわからなかったから。
朱里
颯飛
朱里
颯飛
朱里
それもそうだと思った。
お互いどれくらい入院するかはわからないし、部屋に2人しかいない以上、話す機会は多いと思ったから。
颯飛
朱里
そう元気に答える朱里は、とても嬉しそうで、可愛く見えた。
次の日。
颯飛
紘斗
朱里
私は今、颯飛の隣のベッドで大人しくナンプレをしていた。
今日の面会の時に家族に持ってきてもらったものだ。
遥輝
朱里
颯飛
朱里
紘斗
颯飛
紘斗
颯飛
遥輝
朱里
颯飛
紘斗
そこで颯飛は友達の耳の近くに顔を近付けた。
私は悪いと思っていながら盗み聞きをした。
颯飛
朱里
朱里
そのあとの話は入ってこなかった。
周りから見える自分を平常に保つのが精一杯で、話を聞く所ではなかった。
朱里
朱里
寝てる間は、苦しくないから。