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ねがいごと【青水白】

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ねがいごと【青水白】

1 - ねがいごと【青水白】

♥

501

2023年02月03日

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アミノ酸

どーも!

乳酸

どもどもっ!

アミノ酸

今回は青さん主人公で水さんと白さんとのお話を書いていきます!

アミノ酸

感動系、及び死ネタなのでお気をつけを…

乳酸

微水白、超微水青要素ありです

乳酸

あと少し仏教など宗教的な観点がミリ程度であるので注意です(宗教勧誘とかは無いです(()

アミノ酸

↓サムネはこちらです

アミノ酸

一応アップ↓

乳酸

お願い!

!注意! ・感動系、及び死ネタ ・青水白 ・微水白、微水青要素 ・仏教的な考えがミリあります ・地雷さんはUターン ・ご本人様には一切関係ありません ・通報、荒らし行為は控えてください

アミノ酸

ではどーぞ!

枯葉の落ちる秋と冬の狭間の季節。

神社の片隅で箒を持ち、 枯葉を集めていた。

I

(巫女バイト、割かし稼げるからいいんよな…)

今日も神社にはあまり人は来ないらしい。

来てると言っても平日だし お年寄りの方も多く、 仕事も少なくて済む。

まぁもう夕方やし、 「あの子」が来てもおかしくない。

h

♪〜

I

(お、来た。)

鼻歌混じりの軽い足取り。 制服のままの姿だから 学校から直で来ているみたいだ。

水色と紫の髪毛先は跳ねていて、 子供らしい印象を与える。

俺がバイトに来てる 月曜、水曜、金曜はもちろん、 神主さんによると毎日来ているらしい。

参拝の仕方はめちゃくちゃでも、 毎日来るほどの願いがあるのだろうか。

「この子」はいつも通り 水色の長財布から10円を出し、 お賽銭箱に入れる。

h

わっ…

すると10円を出したと同時に いくつかの硬貨が躍り出てきた。

そのまま500円玉が こちらに転がって来る。

I

(これ、拾った方がええよな…)

割と最近の500円玉。 ピカピカと見つめられている ような感覚がした。

I

…すみません、これ、落としましたよ

他の硬貨を集めるのに必死な少年に、 軽く声をかける。

h

あっ!ありがとうございます!!

初めて近くまで行ったが、 かなり整った顔立ちだ。

整っていると言っても かわいいタイプの顔立ち。

I

いえ、そんな……

h

ん…?
たまにいるお兄さんじゃん!!!

I

あっ、えっ………………は?

h

あ、えと、たまに居ないですか?

I

あー…いますけど…………何か…?

h

あ、別にどうとかではなく!!

h

背、高いですよね。
それで印象に残っていて。

そう言って「この子」は 俺を見つめあげる。

ブレザーの胸に刺繍された校章は ここの近くの高校のものだ。

高校生にしては 顔立ちも体格も幼めだと思う。

I

…貴方は背、低めですね

h

……バカにしてます?

I

や、背、低い方がいいですよ…

h

高い方がかっこいいじゃないですか!!

I

いや…高すぎると不便も多いんですよ…

h

そーなんですかね…

h

あっ!!参拝しなきゃっ!

I

あ、時間奪っちゃってごめんなさい

h

いえ、むしろありがとうございます!
またお話しましょ!

そう言って「この子」は 10円硬貨を投げ入れ、手を合わせる。

…参拝方法が違う。 一礼一拍手一礼。 本来は二礼二拍手一礼である。

I

(あれって常識よね…)

少年は礼をすると颯爽と 出ていってしまった。

I

I

(…また今度来た時に教えてあげるか)

今日も人は少ない。

何度かご高齢の方が通っていき、 「あの子」の来る時間になった。

h

♪〜

いつもの鼻歌混じりの軽い足取り。

h

あっ…えと、どうも!!

I

あ、いふです

h

いふさん、こんにちは!

I

こんにちは。

h

あっ、僕はほとけです。
いむくんって呼んでください!

I

いむ…ほとけ…さん

h

なんで言い直したんですか…w

I

そっちのがしっくり来たんで…

h

別にいいですけど…

I

あ、そーいや、ほとけさんに言いたいことがあって…

h

な、なんですか…?

I

あなたの参拝の仕方、ちょっと違うんですよ

h

えっ、違うのっ!?

h

あ、ごめんなさい、違うんですか…?

I

別に敬語じゃなくて大丈夫です、俺も外すんで。

I

で、参拝についてなんだけど…
ほとけ、今どうやってる?

h

あー…っと、1回お辞儀して、手を合わせて、もう1回お辞儀してま…してる

h

あっ、あと入る前にもお辞儀して、右足から入る!

この言い方からして 誰かから聞いたんだろうか。

I

…それ、お寺の参拝方法に近いな

I

ここは神社だから、二礼二拍手一礼が基本。

h

えっ、そうなの…?

h

じゃあこれまでのは0!?

I

いや…流石に0とまでは行かないだろうけど…

h

ちぇ…もっと早く教えてよ、願い事、叶わなくなっちゃう…

I

…ほとけの願い事…って何…?

h

…僕の願い事?

ほとけの顔を見て思い直す。

ほとけが嫌やったら 無理に言わす必要なんてない。

I

………ちょっと待って!!

h

なに、さっきから…

I

…別に無理して言う必要はないからな
ほら、願い事って人に言うと叶わない…っていうやん!

h

いや、別に僕、無理してないよ?w

h

秘密にしたいことって事でもないし、むしろ自慢したいの!

満面の笑みを見せるほとけ。

I

…え

h

それにね、人に願い事を言うと叶わないってのはね、"言った相手に否定的な態度を取られた時に負の気持ちが入っちゃうから"なんだよ

h

僕には、いふくんが僕の願い事に対して無理、って言うような人には見えないかな。

I

あ…そう…

それなら良かったけど…

h

まぁ願い事を人に言うのは縁起悪いって言うよね。

I

まぁ、一般的には言うよな

h

じゃあ、僕の独り言ってことで。

I

…ん、分かった

ほとけは空を見上げて"独り言"を呟く。

h

僕の友達にね、初兎って子がいるの。

h

その子はね、昔からずっと持病持ちで病院に居るんだ。

h

めっちゃかわいいんだよ!
見る!?

目線をこちらに向きなおしている。 これじゃ普通に話しているだけやんか。

I

…話しかけられたら独り言にならへんで

h

…見ない?

I

いや、見るけどさ…

h

ちょっと待ってね、今出す

そういったきり、 ほとけは肩に掛かった ショルダーバッグからスマホを取り出す。

h

ほら!!

ほとけの持った画面には 華奢な少年の姿があった。

左腕から点滴を付け、 ベットに座ったまま 笑顔でピースをしている。

雪のように白い肌と髪、 バイオレットの瞳。

まるで本当の人形みたいだ。

h

しょーちゃん、ほんとに重い持病持ちで。
僕には何も出来ないからさ。

h

…お医者さんも最善は尽くすみたいだけど、だいぶ進行してて治しようがないみたい。

h

だからさ、僕にできるのは、しょーちゃんの隣に居ることとね、神様にお願いすることしかないの。

h

いわば神頼み…って訳なんだけど

首の後ろを触るほとけ。

h

きっと毎日頼みに来たら神様も僕を見てくれると思ってね。

h

でもさぁ…今までの全部帳消しになったんでしょ!?
早く言ってよ………

喜怒哀楽の激しい子だ。

逆に素直すぎるいい子とも言えるか。

I

いや、別に全部は消えてないやろ…w

I

それに、ほとけは毎日ガチでお願いしとるんやろ?少なくとも気持ちは届いてるんやない?

h

そうかな!?

ぐいっと顔を近づけられ、 不意に顔を逸らす。

I

…近い

h

あ、ごめんごめん……w

I

…改めて、今日もお祈りしたら?

h

そーだね!!

h

ん〜!!
この干し柿すっごく美味しいです!!

干し柿を頬張るコイツに神主さんが 1声かける。

神主さん

ん、良かったよ〜
親戚の人から頂いてね、余っちゃったから沢山食べて!!

h

ありがとうございます!

神主さん

ほら、いふくんもいいよ?

差し出された干し柿の皿を受け取る。

I

あ…ありがとうございます…

神主さん

んじゃ、仕事してくるから!

I

あ、はい

俺はもう時間が終わったから ここにいる理由はないが、 偶然ほとけと出くわしてしまった。

h

てかこれマジで美味しくない!?

I

確かに…固くなさ過ぎず…って感じ。
ちょうどいい甘さやし…

h

だよねっ!!

h

しょーちゃんにお土産してってあげよっかなー…

こいつと居ると "しょーちゃん"という名前が 何度も出てくる。

よっぽどその子の事を 考えているんだと思うとほっこりした。

でもここまで考えるのか…? と言っても過言では無いほど 会話に出てくる。

I

……ほとけってさ

h

ん?

I

初兎…さんの事好きなん?

思わず聞いてしまった。

h

!!

h

、、、

少しの間。 恥ずかしいんか…?

好きなんやろーな、とは思う。 好きでなきゃここまでする理由もない。

友達だから、と言われても おかしくはないが……

h

…いや、そんな訳ないじゃんw

I

あ、そう…?

思ったよりあっさり。

h

僕ね、昔、しょーちゃんに助けてもらったことがあって。

h

それでね、ずーっとずーっとそばに居て、いつ恩返しすればいいんだろ…って思ってたらさ、僕がしょーちゃんの病気を進行させちゃった事があるんだ。

h

僕が毎日お参りしてるのはね、あくまで恩返しと罪滅ぼしってだけだよ。

h

…それ以上も以下もないってか

h

だから…好き、とかは無いよ、多分。

I

へぇ。

h

あ、恋愛的にね?
友達としてはほんとに大好きだし!!

h

それに、僕がもし好きになっても、本人に迷惑だから言わないだろうね。

I

…ふーん

h

聞いてきたのに何その態度…w

I

いや、そんな興味なかったからさ。

興味なかったと言えば嘘になる。

別にコイツの惚気を 期待していた訳では無い。

でも正直「好き…かもね」みたいな 甘酸っぱい恋くらいあって欲しい。

I

(…ま、別にええんやけどね)

I

はー…寒……

元旦の神社は何かと参拝客が多い。 当然だが、正月にほとんど義務で 駆り出されるのはキツイ。

少しだけ出ている屋台の匂いが俺を誘う。

I

(だめだ、仕事中…)

h

あけおめ!

水色と紫の髪毛先は跳ねていて、 子供らしい印象を持った影が見える。

I

!!

I

ほとけじゃん。あけおめ。

h

ん、ほとけです。

h

やっぱ大変?

I

まぁそりゃあね、人も何倍も来てるし。

I

…ほとけは、いつもと同じお願いするの?

YESが前提の質問ではある。

h

まぁね、今更それ以外お願いすることもないって言うか…w

h

今年も、よろしく。

I

ん、こちらこそ。

h

あ、そうだ、今日は奮発しようと思ってるんだよねっ!!

ほとけが水色の財布から 1000円札を取り出す。

h

お正月だし、沢山入れて叶うようにしないとれ

I

あー…

h

ん、どしたの?

I

あのな、お金の量ってどれがいいとかないんよ。

できるだけ5円の倍数である方が いいらしいが、それ以外は特にない。

I

願いが強いかが大事なの。

h

え、まじ?

h

じゃ、神様に感謝料、ってことで。

h

そういえば、しょーちゃん今ね、解放に向かってるんだ!

I

え、まじ!?

h

うん。まじ。

幸福な顔。 本当に幸せな時の顔って こんなんだと思う。

h

早く良くなるといいなー!

h

あのね、今日はいふくんに紹介したい人を連れてきまして…

午後の神社。

いつもより何故か口の中で もごもご喋るほとけ。

返事がくるまで抑えているようだが、 少し満更でもなさそうに 期待の表情が滲み出ている。

I

ん、誰?

そう答えるとほとけは顔を緩め、 ニコニコと笑う。

ほとけが鳥居の影まで駆けつけ、 "その人"を呼び出す。

h

おいでっ!!

そう声をかけられた"その人"は 髪をふわりと揺らしながら こちらに近づいてくる。

???

…初めまして

その立ち姿には見覚えがあった。

雪のように白い肌と髪、 バイオレットの瞳。

まるで人形のような容姿。

ほとけとは違うタイプの可愛らしさを 持つ彼は、小さく口を開く。

初兎って言います。

I

!!

I

あ、あの、例の初兎さんっ…!?

動揺が隠せない。

病院におるんやなかったっけ? あれ、治ったの…?

h

そうなのっ!例のしょーちゃん!!

I

え…でも…病気は…

h

昨日お医者さんから外出許可、でたの!!

まだ付き添い居らんとダメやけどね

h

でも快方には向かってるんだよね?

ま、そーやな。

微笑み合う2人を見て 心に「安心」という2文字が浮かぶ。

こんにちは、いむくんがお世話になってます

I

…ども、いふです

初兎さんは口に握った手を添えて 考えるような仕草を見せる。

いふ…………まろちゃんでええ?

I

I

な…なんで…

何となく〜

I

別にいいけど……

自由な人だ。

写真を見た時は大人しめなタイプだと 思っていたが、意外にも社交的らしい。

個人的にはそっちのが助かるが。

んふふ、イメージと違うって思ったやろ?

I

ま、まぁ…思ったけど…

よく言われる。

全て見透かしていると 言わんばかりにニヤリと笑う初兎さん。

改めて、"はつうさぎ"と書いて初兎です。よろしくな。

h

いふくん、やっほ。

I

お、ほとけやん。どったの?

h

お年玉ください!!

I

え""

h

いや、貰ってなかったなーって

I

やだよ…

h

まぁさ、ちょっとでいいからさー?

I

今、勤務中なんやけど…

h

ちょっとだけ!

I

、、、

I

ちょっと待ってな。

h

近くに備え付けの売り場に行く。

絵馬や御朱印帳が並ぶ中、 ふたつのお守りを手にし、お金を入れる。

I

…はい

h

わ、お守り?

水色のお守りには縁結び、 紫のお守りには健康祈願と書いてある。

I

お前と初兎の分。
大事に持っとけ。

h

ありがと!!

h

…なんで僕のさ、縁結びなの?

I

んー…何となくかな

h

へぇ…って何となくで選ぶなよw

I

ちゃんと初兎にも渡せよ?

h

渡すよー?
健康祈願の方はしょーちゃんが持ってるべきなんて僕でも分かるからね。

ほとけはお守りの入った 小さい紙袋を胸に押し付ける。

h

嬉しい。

I

…それはよかったな

h

んふふ、しょーちゃん、可愛かったでしょ?

ニヤニヤするほとけ。 まぁ否定は出来ない。

I

そーやね、可愛いというか、綺麗って感じやけどなー…

h

誇らしい僕の友達だからね!

胸を張るコイツを見て顔が緩む。

I

相変わらず仲良しで…w

それからは何日かごとに しょにだ も来るようになった。

ほとけはいつも通り毎日参拝に来る。

だんだんと話す機会も増え、 しょにだの状態も良くなっていった。

この調子なら退院も夢では無いと ほとけは言ってた。

でも…もしも、しょにだが元気になったら…2人は来なくなるのか…とは考えた。

まぁそんなことはどうでもいい。

とにかく、しょにだの体調は 良くなっていた。

だけど、最近は3日間 来ない日が続いている。

何か…あったんか?

今日もほとけは来ないんか?

ここ3日、ずっとそればっかりだった。

そろそろ来ても おかしくない時間帯ではある。

そんなことを考えていると、 水色と紫の髪毛先は跳ねていて、 子供らしい印象を持つ影が見えた。

I

お、ほとけ!
久しぶりやん、どしたん…

h

あ…いふくん

久しぶりに見たほとけの顔は 少しげっそりして見えた。

久しぶりに見たからか…? 違和感を感じた。

h

やっほ!別に何でも無いよ。

I

…それほんま…?

h

うん…!大丈夫だからね!

いつもの笑顔より作り物のようだ。

強ばっている、 と言えばいいのだろうか。

いや、むしろ何も感じられない。

I

、、、

h

…どしたの?いふくん。

I

…やっぱおかしい。

h

何が。

I

…お前、なんかあったやろ

あれだけ毎日来てたのに 3日間休むって時点で何かおかしい。

h

…いや、ほんとに何も無いよ

I

…話なら聞くで。

h

何も無いってば。

I

話しにくいなら、ゆっくりでええから…

h

何も無いって言ってるじゃん!!!

I

え…あ、ごめん…

h

……ほんとにさ、何も無いから。
気にしないでね。

h

そう言えば…僕、今日から来られなくなるかも。

I

h

だから最後に…ちゃんとお参りしに来ただけ。

h

二礼二拍手一礼…だっけ?

h

間違えないようにしないとね!

会話のはずなのに、 ほとけの独り歩きみたいな。

耳に入ってるのに、 頭ではスキャンできない。

この表情を どう受け取ればいいのか分からない。

I

な…なんで

h

…別に

h

引っ越すだけだよ

I

…お前、隠し事下手やろ。

I

………話が聞きたい。

h

…だぁからさぁ………?

震えた声で言い訳しようとする 水色の瞳からは涙が止まらない。

h

なんもないって言ってるじゃん…………

まるで雨みたいに止まない涙。

笑顔は崩れ、ひっきりなしに雨が降る。

I

、、、

I

ある、やろ。

I

…こっち。
多分今の時間人来ないから。

そう言って、 裏側の休憩室の縁側に座らせる。

I

…んで、なんかあったん?

h

、、、

h

……ごめん、ちょっと待ってね…

ほとけが深呼吸をする。

それと同時に肩が微妙に上下する。

h

…あのね、その…

縁側に座るほとけの足は宙に浮き、 落ち着いていない。

h

しょーちゃんが…

少しの間が空く。 嫌な時間。

嫌な不安が募ってたまらない。

h

…………死んじゃったの

I

…は?

一瞬、ほとけが何を言っているのか 分からなかった。

どこか、遙か遠くの土地の言語を 喋っているみたいな。

それは時間をかけて頭に入ってくる。

死ん…だ?

h

しょーちゃんの病気が悪化して、集中治療室でお医者さんも真面目に対処してくれたんだけど…………

h

もう…息がないの

h

もう…………

ほとけの息が詰まる。

I

え、と、ちょっと待って、ドッキリ?

信じ…られへんよ

この前まで、ピンピンしてたやん…

h

……そんなわけないじゃん

ほとけの真剣な眼差しに負ける。

ほんと、何言ってんだ、俺。

I

はは……だよな

I

ごめん、ちょっと待って

脳内で処理しきれない量の考えが 行き来する。

頭の中がグルグルして、 吐き気がしてきた。

h

、、、

I

…初兎、快方に向かってたんじゃなかったん…?

h

…この前までは、ね

h

でも一昨日、病気が急に悪化したの。

I

そ…そんな事…あるん?

h

全然ある。
しょーちゃんに関しては、ストレスとか生活に大きく左右されるような病気だから、これまで沢山あったよ。

I

…でも、今まで快方に向かってたんやろ?
退院出来そう…って

h

そう、そうなの。

h

普通なら信じ難いぐらいの急変作用だった。

h

信じ…られないよ。

膝の上で手を強く握るほとけ。

俺だって信じられへん。

h

………だけどさ、僕、思い当たる節があるの。

I

え…?

h

…しょーちゃんと、喧嘩したんだ、僕が。

h

この前に…「なんてお願いしたの?」って僕が聞いたんだ。

h

そしたら…さ

h

「死ぬときは天国に行けますように」

h

…だってさ

I

!?

飲み込めない。

喉に何か引っかかっているような ナニカに戸惑いが隠せない。

I

は…!?
な、なんで…

h

…僕もそう思って、聞いてみたんだ。

h

でも、「今生きのびても、きっと寿命がもう1年もないかもしれない。それに、このまま退院できる訳ないやろ」って言ってて

h

僕さ、ちょっと頭に来ちゃったんだ。
毎日毎日しょーちゃんが元気になりますようにって願ってたから、尚更ね。

I

、、、

h

で、そっからは言い合いになっちゃって。
最終的に、病院の前まで来たところで看護師さんが駆けつけて来たからさ、そっから看護師さんにしょーちゃんを預けて僕が帰ったんだ。

h

それ…がさ、しょーちゃんの体に悪かったのかも…

I

そんな関係…あるん?

ほとけは目線だけ俺に一瞥して 口を動かす。

h

さっきも言ったじゃんか。
しょーちゃんの病気はストレスや生活環境に大きく左右されるの。

I

じゃあ…今日きたのはなんで…?

h

…神様にお願いしようと思って。

h

、、、

少し、躊躇う様子を見せられる。

何を、しに来たんだろうか。

ただ単に、俺に報告しに 来ただけなんだろうか。

h

「しょーちゃんと天国で会えますように」
ってお願いしに来たの。

I

っ…!

聞かなくても分かった。

こいつが、 この後何をしようとしてるかなんて。

こいつ…

自殺、しようとしてる

I

そ…それって…

h

…それがしょーちゃんへの罪滅ぼしになるなら僕はいいんだ。

I

、、、

h

じゃ、お参りしていくね。

すっと立って背を向ける ほとけの腕を何も考えずに 掴んでしまう。

I

っ!!

h

ねぇ、何。

こっちを見てもくれない ほとけ。

I

ダメや。
そんなん、道理にあってへん。

h

…別に、僕の勝手でしょ

I

…本当に あほとけの勝手やな。

h

なっ…アホじゃないし…

I

あほや、大あほや!!!

h

はぁ!?いふくんには関係な…

あほや。 こんなの、誰も幸せにならん。

I

あほとけ。

I

…要するに、お前が言いたいのは…初兎を殺した自分の罪滅ぼしの為に自分も死にてぇっつー話よな?

h

、、、

I

しょにだ は きっと お前に生きて欲しいと…

h

だから生きろって言うの!?

I

ビクッ

急に振り向いて怒鳴られ、 ビビってしまった。

ほとけの圧に負けそうになる。

I

そ…れはそうやけど

h

…何も分かってないのはいふくんの方だよ!!

h

僕はね……しょーちゃんに助けて貰ったんだよ!!!

顔も見たことないお父さんは 僕が生まれた数週間後に 亡くなったらしい。

お母さんは酒癖が悪かった。 でも男癖も凄くて、金遣いも荒かった。

父さんがいない今、 沢山の男の人の所に行って 男女のソレというものをしでかす。

お金はだいたい父が生きていたころに 稼いでくれたお金であろうものを お母さんが生身でくれる。

hの母

はい、ご飯代。

胸の前に突き出された1万円札を 優しく受け取る。

h

…ありがと。

散らかった部屋。 充満するお酒の匂い。

もう、だいぶ慣れた。

h

母さん、また飲んでるの?

hの母

なーによ、いつもの事じゃないの

hの母

暫くはあんたの父さんの金があるんだから

h

……そう

h

ちょっと外行ってくるね

返事はない。

お母さんはマスカラ片手に 鏡と睨み合っている。

h

、、、

それを横目にドアの鍵を開ける。

ガチャッ

h

(…まぁ適当に時間潰すか)

毎日こんな感じ。

休日は特にこれだけ。

カフェとか図書館で勉強して、 近くのファミレスで チーズ入りハンバーグを頬張るか、 コンビニで唐揚げ棒とサラダを 買って食べるか。

…これだけ

家にいてもお母さんに 変に絡まれるだけだ。

h

…そろそろ帰るか。

h

、、、

空が暗くなってくる。

空を見上げて帰るのは 流石にかっこ悪い。

だから斜め下の方を向いて歩いた。

お先真っ暗、心底真っ黒。

これが僕の生き様。

変わらない毎日。

家の前まで行こうとした。

でも自然に足が止まる。

h

…うわ。

h

(お母さん、また知らない男の人連れ込んでる…)

てかドアの前でしないでよ そんなの

h

(帰れねー…)

周りの冷気を纏った手は かじかんでいる。

どうしようもない寒気、 どうしようも無い眠気。

h

(…そうだ、3日間寝てないんだっけ…)

h

、、、

膨大な眠気に襲われる。

うわ、眠…

あ、起きた!!

h

んぇ…?

h

ここは…

目先真っ白、感情真っ新。

気づけば目の前に バイオレットの瞳を持つ少年が居た。

頭にふわふわした感覚を感じる。

h

(あれ…なんで僕膝枕されてんの…?)

あ、ごめんね、ここ、公園のベンチなんやけど…

h

え…えと…?

えと、君、路上で倒れてたから…。

あのまま寝落ちたのか。

確かに後頭部が痛い。 倒れた時に軽く打ったのかな。

背を起こして少年の隣に座り直す。

h

…ごめんね

んーん、寒かったやろ?

h

ま…まぁ…

真冬の路上。 寝ていてあんまり感じなかったが 極寒の中である。

それにしても、 知らない人にここまでするのか…?

h

(嫌がられたら…とか考えないのかな)

h

(…別に悪くないけど)

別に悪くない。 見た限り要らない心配をする必要も なさそうだし。

すると彼の右手首に目が行く。

h

点滴…?

あぁ、そうやった。

逃げてきたんよ…

…生まれてからずっと病院で育ってきて、窮屈やったんや。

…病室から見る月はどうも違くてな…

そう言ってこの少年は月を見上げる。

取って付けたようなセリフの はずなのに、何故か心に響く。

h

生まれてから…?

うん。ずっと。

h

へぇ…

華奢な体つきに整った顔立ち。 本物の人形みたいに綺麗だ。

でも、確かに痩せてみえる。

あまり外に出なさそうな 感じっていうか。

てか…えと、君は帰らないの?

h

…その、今家に帰れなくって。

ふーん…

h

…ていうか…ほとけでいいよ。

ほとけ………

僕の名前を暗唱すると 彼ははっとして僕の方を向いた。

"いむくん"ってのはどうや!

ほとけって漢字で書くとイムやろ?

h

!!

その発想はなかった。

h

(確かに…響き、かわいい。)

h

それ…いい

やろ?

僕は初兎。"はつうさぎ"って書いて初兎。
呼び方は何でもええよ。

ピッタリな名前だな、とは思う。 兎みたいに ふわふわ してるし。

h

、、。

頭が固い僕には"いむくん"と並ぶほどの あだ名は思いつかなかった。

h

……しょーちゃん?

ん。

それでもしょーちゃんは 満足そうに頷く。

あ、そーいやさ、お腹すいてへん?
僕お金もってるし、そこの焼き芋買わん?

人差し指を道の反対側にある 焼き芋の屋台の方に突き出す。

h

…僕も持ってるし、出すよ。

どうせ1万円札、残ってるし。

んへへ、ええんよ。奢らせてや。

しょーちゃんは少し照れたように笑う。

その笑顔を直視出来ずに、 僕は足元を向いた。

h

…悪いよ

んーん、奢りたいんよ。

今まで、人に奢って買い食いなんてした事なかってん。やから、お願いやわ!

そう言ってしょーちゃんは 胸の前で両手を合わせる。

h

…わかった。

んじゃ、買ってくるな?

立ち上がったしょーちゃんを 見て思い出す。

h

ちょっと待って。

何や?

h

点滴、変に思われちゃうじゃん…

逃げてきたんじゃないのかよ…w

危機感の無さに世話を焼く。

h

やっぱり僕が買ってくる。

ええー…

h

仕方ないじゃん…

じゃあさ、僕が元気になって、退院出来たら。そしたら、一緒に買い食いしよーな。

にこり、と微笑まれる。

h

!!

h

(それは…どう受け取ればいいのやら…//)

てかいむくん、家に帰れないってどういうことなん?

h

…それは

人に言うべきことでもないとは思う。

しょーちゃんなら…大丈夫な気がする。

h

うちのお母さんが男の人連れて遊んでるから

h

居場所が…ないの

お先真っ暗、心底真っ黒。

先の見えない毎日。

h

(いや、変わらないから見えてはいるか、一応。)

…そっか

そういう日、何度かあるの?

h

まぁ、週1…あるかないかだね

ならさ、僕のとこに遊びに来なよ、そういう日は。

h

え…

もしかしたら この子は 「同情」してるだけかもしれない。

可哀想って見下してるのもしれない。

でも、違う気がする。

そういう日だけじゃなくてもいい。
いつでも待ってるで。

h

いい…の?

そしたら…いつかいむくんに焼き芋、奢れるやんか?

その時まで一緒に居よーな。

深くにも照れてしまった顔を 左手の甲で隠す。

h

、、、

あ、嫌やったら全然ええんやけどね…

h

んーん。

こんな事言って貰えるの、 初めてだな。

ギュッ

しょーちゃんに抱きつく。

h

毎日行くっ!!

うお、毎日ー?w

h

うん、絶対!

んふふ、嬉し…

しょーちゃんは初めて 僕を受け入れてくれた人。

しょーちゃんは僕の神様。

しょーちゃんは…僕の大好きな人。

h

その時から、しょーちゃんは僕の神様なの。

h

居場所のない僕に居場所をくれた運命の神様。

h

だから………しょーちゃんが居ないと…だめなの!!

I

っ、、、

ほとけが怒りをいい加減に吐き捨てる。

今までで見たことなんかない。

お先真っ暗、心底真っ黒。

そんな、"ひとり"の目。

h

もう…どうすればいいの…

I

…あほとけ。

咄嗟に口を出してしまう。

h

しょーちゃんが居ないと…

聞こえていない。

聞こえているわけない。

I

あほとけ!!

h

え…

ほとけは我に帰ったように 目の焦点を合わせる。

h

あ…ごめん、続けて…

I

…俺、何も話して無いけど

h

あ…ごめん…

謝って欲しいんやない。 今はただ、聞いて欲しいんや。

I

…俺から話させて貰うけど

I

お前、昔俺に願い事言う時、なんて言った?

今でもお前が笑って言ったのを覚えてる。

そんな懐かしい感情を胸の内にしまった。

h

…そんなの、覚えてないよ

覚えてなくてもいい。 思い出してくれればいい。

I

…人に願い事を言うと叶わないってのは、言った相手に否定的な態度を取られた時に負の気持ちが入っちゃうから

I

…なんて、覚えてないか。

h

…言った…かも

I

それで、初兎の願い事を聞いた時、お前、なんて言った?

h

あ……

ほとけが思わずという形で口を抑えた。

脳内で自負をかけているのか、 ほとけの顔が少し青ざめる。

I

って事は、今初兎は天国に行けてないんとちゃうん?

そう、願いが叶いにくく なってしまった。

h

、、、

泣きそうな顔。泣くのを堪えている顔。

そんな顔しとっても、 初兎は帰ってこない。

お先真っ暗、心底真っ黒。

もう元には戻れない。

I

…ったく、お前は根っから間違っとるんよ。

I

お前がお願いすべきなのは…初兎が天国に行けますように、とは言わんでも、初兎の願いが叶いますように、なんやない?

元に戻れないからこそ、 元に戻れないなりに努力するしかない。

I

…今からでもええんよ。
それが…初兎への罪滅ぼしになるんやない?

h

そうだね…

I

(あ、そーだ。)

I

初兎からさ、これ。

"もしも…もしもやけどさ、 僕が…いむくんを置いて行くようなことが あれば、渡して欲しい。"

俺はズボンの右ポケットから 紙を取り出す。

h

…手紙?

I

…それ、もしも…もしもの時、僕が消えたら、いむくんに渡して、って。

I

本当は渡す予定なんて…あって欲しくなかったんやけどね。

ほとけの小さい手に紙を落とす。

ほとけはそれを慎重に開ける。

カサッ

h

、、、

静かな時間。 俺はただただコイツを見ていた。

それだけなのに、 密度が高い時間だった。

ほとけの顔が緩み、 水色の瞳から想いがこぼれる。

h

うぁっ…んくっ………グスッ…

h

ヒグッ…わぁあっ…ヒッ……ングッ…(ポロポロ…)

神様が居ない信徒は人生において 縋る物がなくなってしまう。

しょにだ は こいつの神様みたいな 存在やったんやな。

h

だい…すきだったなぁ……(ポロポロ…)

h

初めて…できた…大好きな人だった…のに…(ポロポロ…)

h

なぁんで…ッもっと早く認めなかったんだろ…ヒ…(ポロポロ…)

I

、、、

ポフッ

ほとけの水色の髪の上に手を添える。

I

一緒にお参り、せぇへん?

h

…グスッ…

ほとけはこちらを見ずに静かに頷いた。

なるべく歩幅を合わせて歩く。

そして、神様の方を向いて。

h

、、、

10円玉を投げ入れる。

二礼二拍手一礼。

パンパンッ

I

(…ほとけと初兎の願いが叶いますように…)

瞑った目を開け、1つ礼をする。

一連の流れを終えたあと、 ほとけの方を見ると まだお祈りを続けていた。

h

、、、

彼に声を掛けずに静かに待つ。

1度礼をしてから振り返ったほとけは、 何時もより優しく微笑んでいた。

h

これで…良かったのかな

I

ええんやない?

h

そっか。良かった。

I

…大丈夫や、きっと初兎はお前を見とる。

I

それに、何かあったら…その、俺も頼ればええし。

I

だから、生きよう。

h

うん!

先が見えて、心も晴れる。

彼の満面の笑みが、 彼の神様に届いていますように

-大切なあの人はきっとあなたを 見守ってくれているはずです- アミノ酸

乳酸

おお…ちゃんと書いてる…

アミノ酸

あ、いつもちゃんと書いてるつもりなんすけど

乳酸

アミノ酸

え?

アミノ酸

まぁ確かに頑張りましたよ

アミノ酸

投稿早くしようって方面でね!!

乳酸

本来前回の投稿から一週間でやりきろうって予定だったのにね

アミノ酸

終わらないんだよ…

乳酸

まぁ次回も頑張って下さい

アミノ酸

了解ですわ

アミノ酸

じゃ、ここら辺でー

乳酸

この話を最後まで読んでくれてありがとうございます!

アミノ酸

少しでも良いと思ってくれた方は、♡、コメント、フォロー、宣伝等待ってます!

アミノ酸

では!

アミノ酸

おつアミノー!

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コメント

8

ユーザー

やばいくらいテラー開いてなかったです…(( 今回もいいですねえ… 💜🤍🐰さん的にはもう自分は生きれないと思っていたけど 💙💎くんには言わないでなるべく悲しませないように したんでしょうね… その『優しさ』が💙💎くんをあの方向にさせたと考えると 『優しさ』って難しいですよね…

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