TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

テラーノベルの小説コンテスト 第3回テノコン 2024年7月1日〜9月30日まで

おじさん

そうだ

おじさん

クリスマスプレゼント、何が欲しい?

おじさんは、のんきだ

奏太

いらない…

お母さんは

「いたい、いたい」って 言いながら

病院に行ったのに…

おじさん

今日は、ごめんな?

おじさん

急に、おばあちゃん家にお泊まりになって…

奏太

奏太

いいよ

「べつに…」

おじさんに 聞こえないように

小さな声でつぶやく

奏太

(いつまでたっても、子供扱いだもん…)

窓の外を見ていると

キキッ

おばあちゃんの家の前で

おじさんの車が止まった

おばあちゃん

お疲れさま

おばあちゃんは

家の前で待っていた

おばあちゃん

奏太は見ておくから

おばあちゃん

早く、行ってあげて

おじさん

ありがとうございます…

おじさん

奏太を

おじさん

よろしくお願いします

おじさんが

おばあちゃんに頭を下げた

奏太

おじさん

奏太

なにか、悪いことしたの?

おばあちゃん

奏太!

おじさん

おじさん

…そうだね

おじさん

もっと、奏太との時間を作れば良かった

父さん

我慢ばっかりさせて

おじさん

ごめんな?

父さん

奏太…

おじさんは少しだけ 落ち込んだみたい

奏太

(変なこと言っちゃった…)

「またね」

そう言って手を振ると

おじさんは車に乗って

どこかへ行ってしまった

おばあちゃん

まったく…

おばあちゃん

奏太は、もうすぐ5歳でしょ?

おばあちゃん

しっかりしないとね

奏太

奏太

はーい

よくわからないけど

はいって言っておく

その日は

おばあちゃんの家に 泊まった

だけど

お母さんが心配で

なかなか眠れなかった

そして

困ったことに…

奏太

(どうしよう?)

奏太

(トイレ行きたい…)

だけど

おばあちゃんは…

おばあちゃん

すーすー

気持ち良さそうに

寝ている…

「もうすぐ5歳でしょ?」

奏太

……

奏太

ひとりで

奏太

行けるもん…

ゴソゴソと

布団から、ぬけだし

ひとりで

トイレに行く

奏太

……

暗い廊下は

ちょっと怖い…

奏太

(大丈夫…)

「奏太は、もう」

「お兄ちゃんだもんね?」

お母さんがいつも言ってた

だから

奏太

大丈夫だもん

ジャー

奏太

できた…

手も、ちゃんと洗った

ひとりで、できた

奏太

ほめてくれるかな

奏太

お母さん…

「いたい」と言った

お母さんを思いだし

あったかい布団に向かう 足が

遅くなる…

奏太

大丈夫かな?

奏太

お母さん…

お母さんが心配で

泣き出しそうになった時

カタン

小さな音が聞こえた

奏太

だれ?

奏太

だれか、居るの?

知らない人についていっては、いけない

そう教わったけど

奏太

だれ…?

知らない人が おうちに居たら…

どうすればいいのかな?

サンタクロース

メリークリスマス

奏太

め…

奏太

メリークリスマス

ボクの前に居るのは

真っ赤な服を着た

白いおひげの おじいさん

奏太

もしかして

絵本で見た

サンタクロースに、 そっくりだ

奏太

サンタさん?

サンタクロース

正解!!

ボクよりも、ちょっとだけ大きなおじいさんは

うれしそうに、うなずいた

奏太

サンタさん

奏太

クリスマスは、まだ先だよ?

クリスマスまであと2日

奏太

「楽しみだね」って

お母さんと、お話したもの

サンタクロース

実は…

サンタクロース

クリスマスには、間に合いそうになくてね…

奏太

奏太

(いいよ…)

プレゼントなんて、 いらない

お母さんをたすけて

ボクがほしいものは

……

お母さんだけ

サンタクロース

本当に、それだけかな?

奏太

奏太

どういうこと?

サンタクロース

奏太くんが、しなきゃいけないこと

サンタクロース

あるよね?

奏太

ボクが…

奏太

しなきゃいけないこと

ボクにはまだ

わからなかった

あれから20年後

子供だった俺にはまだ

わからなかった。

父さん。

あなたが、どんな思いで

俺を育ててくれたのか。

毎年、この季節が来ると

父さんの優しさを 思い出します。

父さん。

弟と変わらないくらい

いや、それ以上に

大切に育ててくれて

ありがとう。

お正月には

彼女を連れて、帰ります。

さくら

なに書いてるの?

奏太

ん?

奏太

父さんに手紙をね

さくら

ふーん

さくら

仲良いんだね?

奏太

まあね?

奏太

奏太

それに

奏太

さくらを連れて行くから

奏太

知らせておかないと

さくら

さくら

そうだね

さくら

ありがとう

さくら

奏太

そして

クリスマス

父さん

奏太…

毎年この季節が来ると

あの日を思い出す

お母さん

お父さん

お母さん

ケーキどれにする?

航太

俺、チョコ

奏太の弟

航太が産まれた日を

お母さん

航太!

お母さん

お父さんが先でしょ

航太

はーい…

まだ小さかった奏太が

初めて

俺を「お父さん」と 呼んでくれた

航太が産まれて

奏太にお父さんと呼ばれて

あの時、初めて

本当の意味で『父親』に なれた気がする…

父さん

ちょっと、出かけてくる

お母さん

どうしたの?

お母さん

こんな時間に…

父さん

父さん

ちょっと、な

お母さん

遅くならないでね?

旨いものを 買いに行こう

航太

正月じゃなかった?

航太

兄さんが帰ってくるの

お母さん

お母さん

まだ、クリスマスなのにね?

航太

相変わらず、兄さんに甘いよな…

航太

航太

まあ…

航太

父さんらしいけどね

慌てん坊の サンタクロースは

プレゼントを買いに行く

正月に帰ってくる

大切な…

子供のために

この作品はいかがでしたか?

242

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚