おじさん
おじさん
おじさんは、のんきだ
奏太
お母さんは
「いたい、いたい」って 言いながら
病院に行ったのに…
おじさん
おじさん
奏太
奏太
「べつに…」
おじさんに 聞こえないように
小さな声でつぶやく
奏太
窓の外を見ていると
キキッ
おばあちゃんの家の前で
おじさんの車が止まった
おばあちゃん
おばあちゃんは
家の前で待っていた
おばあちゃん
おばあちゃん
おじさん
おじさん
おじさん
おじさんが
おばあちゃんに頭を下げた
奏太
奏太
おばあちゃん
おじさん
おじさん
おじさん
父さん
おじさん
父さん
おじさんは少しだけ 落ち込んだみたい
奏太
「またね」
そう言って手を振ると
おじさんは車に乗って
どこかへ行ってしまった
おばあちゃん
おばあちゃん
おばあちゃん
奏太
奏太
よくわからないけど
はいって言っておく
その日は
おばあちゃんの家に 泊まった
だけど
お母さんが心配で
なかなか眠れなかった
そして
困ったことに…
奏太
奏太
だけど
おばあちゃんは…
おばあちゃん
気持ち良さそうに
寝ている…
「もうすぐ5歳でしょ?」
奏太
奏太
奏太
ゴソゴソと
布団から、ぬけだし
ひとりで
トイレに行く
奏太
暗い廊下は
ちょっと怖い…
奏太
「奏太は、もう」
「お兄ちゃんだもんね?」
お母さんがいつも言ってた
だから
奏太
ジャー
奏太
手も、ちゃんと洗った
ひとりで、できた
奏太
奏太
「いたい」と言った
お母さんを思いだし
あったかい布団に向かう 足が
遅くなる…
奏太
奏太
お母さんが心配で
泣き出しそうになった時
カタン
小さな音が聞こえた
奏太
奏太
知らない人についていっては、いけない
そう教わったけど
奏太
知らない人が おうちに居たら…
どうすればいいのかな?
サンタクロース
奏太
奏太
ボクの前に居るのは
真っ赤な服を着た
白いおひげの おじいさん
奏太
絵本で見た
サンタクロースに、 そっくりだ
奏太
サンタクロース
ボクよりも、ちょっとだけ大きなおじいさんは
うれしそうに、うなずいた
奏太
奏太
クリスマスまであと2日
奏太
「楽しみだね」って
お母さんと、お話したもの
サンタクロース
サンタクロース
奏太
奏太
プレゼントなんて、 いらない
お母さんをたすけて
ボクがほしいものは
……
お母さんだけ
サンタクロース
奏太
奏太
サンタクロース
サンタクロース
奏太
奏太
ボクにはまだ
わからなかった
あれから20年後
子供だった俺にはまだ
わからなかった。
父さん。
あなたが、どんな思いで
俺を育ててくれたのか。
毎年、この季節が来ると
父さんの優しさを 思い出します。
父さん。
弟と変わらないくらい
いや、それ以上に
大切に育ててくれて
ありがとう。
お正月には
彼女を連れて、帰ります。
さくら
奏太
奏太
さくら
さくら
奏太
奏太
奏太
奏太
奏太
さくら
さくら
さくら
さくら
そして
クリスマス
父さん
毎年この季節が来ると
あの日を思い出す
お母さん
お母さん
航太
奏太の弟
航太が産まれた日を
お母さん
お母さん
航太
まだ小さかった奏太が
初めて
俺を「お父さん」と 呼んでくれた
航太が産まれて
奏太にお父さんと呼ばれて
あの時、初めて
本当の意味で『父親』に なれた気がする…
父さん
お母さん
お母さん
父さん
父さん
お母さん
旨いものを 買いに行こう
航太
航太
お母さん
お母さん
航太
航太
航太
航太
慌てん坊の サンタクロースは
プレゼントを買いに行く
正月に帰ってくる
大切な…
子供のために
コメント
13件
(・_・)(すごすぎて言葉にならない)
義理の親子... 絆が深まったんですかー!! キッカケが素敵だー!!
あわてんぼうのサンタさんをこういう風に使えるなんて…🤭 ほっこりして温まりました!