episode 7
雨が降る真っ暗な夜空。僕は1人、公園のベンチに座って俯いていた。
考えて、考えて、…
もう4時間近く経ったところだろう。
3日前の今頃、突然にして行方不明になった幼馴染のいふくん。
昔からずっと、頑なに思いを寄せて来た。
今は冬だが、何一つ雨の寒さを感じない。
感情が消えかかり、夜に吸い込まれていくような感覚。
好きだったんだ。
いふくんのことが、誰よりも、何よりも、愛しくて、かっこよくて、いつでも僕のヒーローで居てくれた。
小さい頃、僕は鈍臭くて弱くて、クラスの一軍男子によく揶喩れて虐められてきた。
そんな時も僕を慰めてくれて、誰よりも支えてくれたのがいふくんだった。
次こそは僕が助ける。
そう誓ったはずだったのに、なのに…ッ
振り向いた先には、まだ5歳児くらいの容姿の、狼の耳と立派な尻尾が生えた少年が立っていた。
明らかに人間とは思えない赤い眼と髪。 前髪が長く、顔がよく見えないながらも、その真っ赤な瞳は綺麗に輝いていた。
俺は小さな少年に、身を委ねることにした…。
そう元気に言うと、「りうら」という男の子は狼の姿に変身した。
「乗って」というような視線を向けてくる「りうら」。
俺は静かに言う事を聞いた。
雨の中を、凄い速さで駆け抜けて行く「りうら」。
この三日間の疲れが、吹っ飛んでいくような気がした。
十分程度が経ち、その子の家に着いた。
狼の姿から戻った男の子は、先程の可愛い姿とは反対の、物凄いイケメンのお兄さんになっていた。
多分僕よりは年下だろう。
こうして、謎のやり取りをして、いふくんに合う為の第一歩を踏み出したのだった。
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