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家族と別れた日。 戴也紋燈(ダイヤモンド)は車に乗っていた。 窓の外を見る。 そこには誰もいない。 アメジストも。 アレキサンドライトも。 サファイアも。 みんな。 もういなかった。
ダイヤモンド
泣かない。 泣いたら。 本当に終わってしまう気がしたから。 どれくらい時間が経っただろう。 車が止まる。
父さん
運転手が言った。 ダイヤモンドは車を降りる。 目の前には大きな家。 綺麗な庭。 温かそうな灯り。 玄関の前には夫婦が立っていた。
かあさん
優しそうな女性が笑う。
かあさん
男性も微笑んだ。
父さん
ダイヤモンドは頭を下げる。
ダイヤモンド
家の中は暖かかった。 ご飯もある。 自分の部屋もある。 とても優しい人たちだった。 その時。 養父が一枚の紙を取り出した。
父さん
父さん
ダイヤモンドは顔を上げる。
ダイヤモンド
父さん
ダイヤモンド
養母が優しく言う。
かあさん
かあさん
ダイヤモンドは黙る。
母さんが付けてくれた名前。
戴也紋燈。
宝石の名前。
宝石の名前。
兄弟と繋がる名前。
大切な名前。
だけど。
目の前の二人は優しかった。 悪意なんてない。 本当に家族になろうとしてくれている。 だから。 ダイヤモンドはゆっくり頷いた。
ダイヤモンド
夫婦が安心したように笑う。
父さん
父さん
少し間を置く。
父さん
静寂。 ダイヤモンドはその名前を聞く。 潔世一。 知らない名前。 でも。 これから自分が生きる名前。
ダイヤモンド
小さく呟く。
ダイヤモンド
養父は嬉しそうに頷いた。
父さん
その瞬間。 戴也紋燈は胸の奥へしまわれた。 誰にも見えない場所に。 でも。
消えたわけじゃなかった。
コメント
1件
うわあ、この第7話……。ダイヤモンドが新しい名前「潔世一」を受け入れるシーン、すごく胸に来ました。養父母に悪意がないからこそ、自分から「分かりました」と頷く選択が切ない。でも「戴也紋燈」は消えたわけじゃなく、胸の奥にしまわれただけっていう一文が、その後の伏線になりそうで気になります。家族と別れたあの車内で泣かなかった理由も「泣いたら終わる」っていう感覚、すごく分かる……。しっかり受け止めて、でも別れはちゃんと悲しんでほしいな、複雑な気持ちです。 彼のこれからの物語、応援したくなりました。