人魚、と言われて、人間はどう思うのだろうか。
きっと、自分達と違うことを理由に避けて、虐げて、しまいには殺してしまうのだろう。
僕の国に伝わるお話では、此処には昔人魚姫が居たんだ。彼女は人間に恋をしてしまい、それを本人に伝える為に地上に出た。
しかしそこは、彼女の想像したものとは程遠かった。
彼女の恋した男は人間の国の王子で、彼は自分は人魚だと言い張る姫のことを不審に思い殺したんだ。
……そこからだ。人魚が心を閉ざし始めたのは。
昔は明るい地上近くで暮らしていた僕達も、今じゃ深い海の底へと堕ちていて。
薄暗い檻の中で過ごす日々からそっと逃げたくて、でもそれが出来ない、そんな日々だった。
……でも、でもあの日だけは…。
当たり前のように泡を操り、水中に文字を書いて話す人魚達。
此処は深い深い海の底、人魚が暮らす王国『Color』。
「人魚姫」という昔噺が伝わるこの国に住む人魚たちは、皆人間を恐れている。
そのため国自体が海底を更に深く掘った場所に存在しているんだ。
……あぁ、そういえば。俺が何者か言い忘れてたね。
俺は亮平。 此処、『Color』の王子なんだ。
国王
亮平
人魚にはたくさんの種族が居る。
その中でも僕達は尾びれの代わりに脚がある、現時点では人間に最も近い種族なんだ。
人魚は元々色鮮やかな髪や瞳を持つんだけど、この国のほとんどが暗い色の髪、瞳を持っているんだ。
大人や王族……つまり伝説を知り心を閉ざしてしまった人魚達は、その身体からいろどりをなくしてしまった。
もちろん、俺も例外じゃない。
俺の髪は元々群青色だったけど、今じゃ1部を除いて茶色に染まってしまったんだ。
瞳は元々翡翠色で、今は左眼だけ真っ黒。
他の子供達と違う黒い瞳がコンプレックスで、左目には包帯を巻いてるんだけど。
さっき紹介した昔噺。あれは普通20歳の誕生日を迎えるとともに伝えられるもの。
つまり子供たちは人間の恐ろしさを知らない。
王子として幼少期に文化を知らされてる俺を除いて、ね。
このお話を国王…父から聞いた時は、本当に絶望したよ。
人間というのはどこまで悍ましい生き物なんだろう、って。
当時の俺は優しい生物だと思っていたんだ、彼らの本性なんて知りもせずに。
俺がこの家系に生まれなければ、今もまだ地上を追い求めて上へ上へと泳ぎ続けてたのかなぁ?
…まぁ、地上へ辿り着いたら知ってしまうのだろうけど。
亮平
国王
亮平
国王
亮平
国王
亮平
国王
亮平
国王
亮平
王子、だからといって、何か難しい仕事がある訳ではないんだよ。
父の近くで政経を学び、時に父を支える、それだけ。
父の元を離れしばらく泳ぐと、そこには友人達の姿があった。
亮平
大介
亮平
亮平
涼太
亮平
大介
嘘。そんなこと言われてない。
そもそも勝手に行く人魚は居なかったから、父は条例を出してないんだ。
ただ、2人に知ってほしくなかっただけ。
俺は2人の鮮やかな髪や瞳が、何よりも好きだったから。
𓂃 𓈒𓏸◌𓈒 𓂂𓏸to be continued𓂃◌𓈒𓐍 𓈒𓏸𓂃
コメント
6件
なぜ私は1話目を見ていなかったのだ!!
うん、神作!!!!!( ᐙ )←遂に狂った