コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
3日後、引越しの日─
家電や生活必需品は既に買ってあるとの事だったので、ぼくの荷物はそこまで多くなかった。
ダンボール数箱と自室に置くベッドやテーブル等の家具を涼ちゃんの荷物と一緒に引越し業者のトラックに積んで貰い、 ぼくと涼ちゃんは、ぼくの父さんに車でマンションまで送って貰う事に。
父さんは元々無口なタイプだし、 ぼくも急にこんな事になってしまい何を話せばいいか分からなかったし、 涼ちゃんは空気を読んでかずっと窓の外を見ていて、 道中は結構気まずい空気が流れた。
マンションに到着し、父さんに送ってくれたお礼を言うと、父さんが涼ちゃんに『元貴をよろしくね。』なんて言うもんだから、本当に親元を離れるんだな…という実感がして、少し感慨深くなった。
藤澤
大森
引越しの業者はまだ到着していなかったので、先に部屋に入って待つことに。
まだなにもない部屋に入る。
思っていたより広くて綺麗で、 さっきまでの気持ちはどこへやら、 新しく始まる生活に少し心が踊った。
大森
藤澤
ドアというドアを全部開けてまわるぼくを見て、涼ちゃんはクスクスと笑う。
藤澤
藤澤
案内された部屋は、涼ちゃんが8畳でぼくが6畳の部屋。 涼ちゃんの仕事はリモートで行うらしく、パソコン等の機材も置かなければいけない為、広めがいいとの事だったけど、ぼくとしてはタダで住まわせて貰うんだから、狭い方でも全然文句はなかった。
大森
その後、引越し業者が到着してからは、ずっと忙しく、引越し業者から家具やダンボールが次々と運ばれた後は、別の業者から事前に涼ちゃんが購入していた家電等が運ばれて来て、ぼくも涼ちゃんもバタバタしていた。
お昼頃から始まり、二人とも落ち着いたのは夕方頃だった。
藤澤
大森
藤澤
藤澤
引越しの片付けをしてて気が付いた事がある。 涼ちゃんは壊滅的に片付けが出来ない部類の人だ。 ぼくは得意な方だから別にいいんだけど、 そういえば、藤澤家の引越しの手伝いをしに行った時も、あまり戦力にはなってなかった記憶を思い出した。
大袈裟じゃなくて、ぼくが居なかったら、まじで一生片付かなかったかも。
大森
正直、初恋は残念な結果に終わってしまったけど、また友達として仲良くなれたらと思っていたのに、記憶にある涼ちゃんから急に大人になってた涼ちゃんに勝手に距離を感じてしまい、避けてる自分が居た。
藤澤
そう言って、申し訳なさそうな、恥ずかしそうな笑顔を見せる涼ちゃん。
でも、こうしてちゃんと接してみると、すごく大人だと思ってた涼ちゃんは意外とそんな事もなくて、 涼ちゃんに頼られた事もすごく嬉しかったし、勝手に感じていた距離はぐっと縮まった気がして、また小さい頃みたいに仲良くなれる気がした。
藤澤
藤澤
涼ちゃんはスマホでウーバー○ーツのアプリを開いてぼくに渡してきた。
大森
ま、こう言う時は、 年下を利用させてもらうけどね!
色々悩んだ結果、引越しと言ったら引越し蕎麦だろうと言う事で、二人でお蕎麦を頼み、綺麗に片付いた新居のリビングで涼ちゃんはビール、ぼくはコーラで引越しのお祝いをした。