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教室内は騒がしくて外まで声が聞こえてきた。

ゆっくりと扉を開けて暖房の効いた教室の後ろを通る。

僕の席は一番後ろの席の左___窓際だ。

暖房が聞いてても窓際は冷んやりとした空気が漂っていた。

一通り、荷物が片付いた頃に教室内がシーンと静まり返ったことに気がついた。

前に視線を投げると担任の河井先生が教卓の前に凛々しい顔つきで教室全体を見渡していた。

キーンコーンカーンコーン

河井先生

さ、朝のホームルーム始めるぞー____

予鈴と入れ替わるように先生の声が耳に入った。

そのあとは覚えてない。僕は授業なんて聞いてないからだ。

基本、僕は授業中ずっと本を読んでいるか考え事をしているかだ。

例えば__今この時間は無駄では無いのか。 母と父は何故、月愛と僕を置いて逝ってしまったのか。

そう、僕たちの両親は月愛がまだ小学校3年生の時に事故で他界した。

そのあと僕たちは祖父母に引き取られた。でも、先生は何故か祖父母のことを両親という。というより間違えてるのか。

祖父母はとても若見えする。あぁ見えて還暦は迎えているのだが。高校生の親と同い年くらいに見えるのだろうか。

河井先生は少し抜けてるところがある。だからと言って祖父母のことを両親というのは少し傷が出来る。

やめてほしいものだ。

そんなこんなで一限目の終わりを告げるチャイムが校内全体を響かせた。

そんな調子が二限、三限、四限、五限、六限目まで続いた。

まあ、これがこの学校のいつもだ。

予鈴が何十分か置きに鳴る度、どんどん生徒の授業態度が悪くなった。気が抜けているのだろう。

全く授業を聞いていない僕が言えたことじゃないが。

六限目の終わりを予鈴がしめた。

そのあと帰りのホームルームを始めた。

河井先生

明日も遅れず来いよ______

そんな言葉だけが僕の耳に入った。

その瞬間教室中に椅子の引く音が聞こえた。

純情じゃないくらい耳障りで右手に持つ小説の文章が頭に入ってこなかった。何度も何度もその文を折り返し読む。

静まり返ってやっと文章が頭に入った。その次の行を読もうと視線をずらした。

その瞬間、また僕の邪魔をするものが僕の頭をよぎった。

【灰川 洋】

そうだ!と思い出して、勢いよく椅子を後ろに飛ばした。

手に持っていた本を鞄にしまって教室を出る。

蒼田 直輝

ハァハァ

勢いよく階段を駆け下りたせいか呼吸が荒くなってしまった。

その時ちょうど2年生のクラスは帰りのホームルームを終えて生徒が帰ろうとしているというタイミングだった。

その中にはるなも混じっており、友達と仲良く笑っていた。

蒼田 月愛

あっ!お兄ちゃん!

僕の存在に気がついたのか大声で僕のことを呼ぶ声がした。

蒼田 月愛

お兄ちゃんどうしたの?

蒼田 直輝

どうしたも何も今朝言ったじゃないですか。

蒼田 直輝

まさかヒロくんに伝えてないんですか?

蒼田 月愛

あ、忘れてた

やっぱり、るなに頼むのはまだ早かったかもしれない。

後悔の文字が僕の頭をふるわせた。

  

るな〜!まだー?

蒼田 月愛

あ!えとちゃんごめん!待って、!

蒼田 直輝

お友達ですか?

蒼田 月愛

そう!

蒼田 月愛

紹介するね!

蒼田 月愛

この子は笑利(えと)ちゃん!

橙柰 笑利

あ、初めましてるなと仲良くしてます。橙柰 笑利(とうな えと)です。

蒼田 直輝

初めまして。

突然の自己紹介にどう返せばいいのが分からなくてとりあえず挨拶をした。

その時1つの声が僕の耳に入り込んた。

灰川 洋

この後どっか行く?____

蒼田 直輝

あっ!ヒロくん!

蒼田 月愛

まだ帰ってなかったんだ!良かったね!お兄ちゃん!

蒼田 月愛

じゃあ私達帰るね!バイバーイ!

るなの方に小さく頷いてヒロくんの方へと走った。

蒼田 直輝

あ!あの!

灰川 洋

……、?

突然話しかけられた当本人のヒロくんは僕を見て眉間に皺を寄せた。

灰川 洋

なん、ですか?

お友達とこの後の予定を話していたけどそんなのお構いなし。

蒼田 直輝

少しだけ、話せますか!

灰川 洋

え、いや。俺この後カラオケ行くんで((((

蒼田 直輝

とりあえず来てください!

灰川 洋

おわっ!?

断られたなんて考えずにヒロくんの腕を掴み階段を駆け下りた。

学校から1番近いファミレスに足を運んだ。

店員に人数を確認され。席へ案内された。

そこに深く腰掛けすぐに僕が口を開いた。

蒼田 直輝

あの!

灰川 洋

はぁ、

灰川 洋

はい。なんですか。

僕の呼び掛けにめんどくさそうに短くため息を吐いて返事を入れてきた。

蒼田 直輝

赤城 柚杏 って知ってますよね

さっきまでの雰囲気を全て押し殺して真面目な声で言った。

案の定ヒロくんは顔を顰めて悪寒がするような目で睨んできた。

灰川 洋

なんなんですか。初対面で突然こんなところまで連れてきて。

でも、僕の質問には答えず文句を吐き捨てた。

蒼田 直輝

赤城 ゆあん。知ってますよね。

だから同じように質問には答えず最初にした質問を繰り返し声に出した。

灰川 洋

……

灰川 洋

知ってますよ。ずっと一緒にいたんですから。

ヒロくんは下を向いて声を揺らしていた。

蒼田 直輝

ゆあんくんはヒロくんに来て欲しいんです。

蒼田 直輝

だから、行きましょ。

その言葉にヒロくんは首を縦に振らなかった。

灰川 洋

なんですかそれ。ゆあんくんが言ったんですか。

蒼田 直輝

それは……でも、過去のゆあんくんは言ってました。

蒼田 直輝

『行かないで』って。

灰川 洋

過去。そんなこと信じると思いますか?

少し笑い混じりに僕の言葉に一言入れてきた。

そりゃそうだ。僕は不思議な力がある。

でも、他の人には無い。これが他の人からしたらいつもでは無いのだ。

灰川 洋

俺、もう行きますね。

そう言ってお金を少し机に置いて出口へと歩いていった

僕も静かに席を立って席代の会計を済ませ出口をでた。

帰り道。僕は 後悔、虚しさ、無力さ の感情でぐるぐるだった。

いつもの道なのに全然雰囲気が違って感じた。夕日が僕を慰めるように見ていた。

僕は自分で決めた自分との約束も守れない。

ゆあんくんに申し訳なくてその感情からか、ボロボロと雫が頬を伝った。

家へ入りリビングへ行った。

僕は一応一人暮らししている。るなは祖父母の家だ。

そんなことを考えているとスマホの通知が鳴った。

♡100 NEXT……

僕の花が枯れるまでの話

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コメント

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このお話好きすぎる〜( ;꒳; )

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