その唇は誰のもの？

大好きなんだ。

その声が、

その優しさが、

だいすきなんだ。

僕達は兄弟だから、 お兄ちゃんのことなんでも知ってるし

お兄ちゃんも僕のこと大好きだから なんでも僕の好きなように、

僕のものにできる。

でもね、

一つだけ奪えないのがあるんだ。

お兄ちゃんの唇だけは どうしても奪えない。

数年後

数ヶ月前

そう。チャンスなんて無いことくらい 最初からわかりきっていた。

....お兄ちゃんのこと そろそろ諦めないとな。

ほんとにそうしてくれたら 嬉しい...なんてね

これ以上引っ付いてたら

きっとまた、お兄ちゃんのこと 諦められなくなるから

引っ張られた瞬間、 柔らかいものが唇に触れた

やっと、やっとだ。

僕が1番欲しかったもの。

僕が唯一奪えなかったものが、

今、僕の腕の中にいる

なんで、またそういう 顔するんだろう

やめてよ。 とまれなくなっちゃうじゃん

そういうところ。

ほんとずるい

兄弟という 垣根を超えてしまったけれど

この好きはちゃんと君に届きました。

end