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今週のお題詰め合わせ

3 - お空の仕事を教えましょう

♥

1,070

2019年10月07日

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上を見上げれば 嫌味な空が 視界を覆い尽くす

今から死のうとしてるのに...

こんなキレイな空はあんまりだ...

そう呟いたって 死ぬ事には変わりない

きっと天使様が "死んじゃダメだ" って こんな空を見せているんだ

自殺をしたら 天国には行けないと 聞いた

それでも良かった

僕はこれから何処へ行くんだろう...

次に目を開けた時は どうか 目を開けたままでいられる 世界だと良い

さぁ 飛ぼう

足を踏み出した瞬間 僕の身体は 宙へと浮いた

???

静かに目を開けても 先程とは変わらない世界

変わったとすれば 空が地面に変わっただけ

死とは こんなものなのだろうか?

僕は ちゃんと 死ねたのだろうか...?

...

声は出せない 身体も動かせない きっと呼吸もしていない

ただ ただ宙に浮いているだけ

ーリーンゴーンリーンゴーンー

突然 頭の中に 鐘の音が響いた

どこか懐かしい様な 聞きたくない様な 体をスっと抜けていく様な そんな キレイな鐘の音だった

天使

どうもー!

天使

天使でぇーす!

???

いつから居たのか 全く分からなかった

白い羽 光り輝く輪っか 真っ白なワンピース

そして 太陽みたいな 満面の笑顔

天使と言われれば 天使に見えるし 悪戯っ子と言われれば その通りに見える

天使と名乗った子供は ピシッ と敬礼をしてみせた

天使

君、大丈夫かい?

天使

まさに放心状態って感じ!

天使

あれれ、お口が聞けない人?

天使

ん〜、それは困ったなぁ...

天使の表情は クルクルと変わる

可愛くもあり イケメンでもある

そんな感じの 整った顔

喋りたくても 僕 喋れないんですよ...

天使

そっかそっか!

天使

でも君、ちゃんと喋れるよ?

天使

ほら口開けて!

天使

あ〜!

天使は口を大きく開けて 真似をして! と言うかの様に 僕を見詰める

今 心の中を 覗かれた様な...

天使

うん!

天使

天使はね、人の思ってる事が分かるんだ!

それは凄い

じゃあ 天使さんの真似をして 少し 声を出してみよう

天使

せぇ〜のっ!

...ぁ〜

天使

ちっさい!

天使

凄く小さい!

ぁ〜、あ、あー?

あ、声出た...

天使

ほらね!

死人に口なし と言葉があるくらいだし 死んだら喋れない そう思っていた

実際 さっきまでは喋れなかったし

でも どーゆう訳か 今は簡単に声が出せる

僕は、死んだの?

1番の疑問を 目の前の天使に 投げ付ける

天使は 満面の笑みで 答えた

天使

まだ死んでませんよ〜!

まだ、死んでない?

天使

仮死状態ってやつ!

天使

君がこれから死ぬか、生きるか、それとも消滅するか

天使

それを決定しに、天使が派遣されたって訳!

死ぬか 生きるか 消滅するか

生きる以外なら どれでも良い と思った

生きる事は 辛い あれ...?

辛い?

何が 辛いんだったかな...?

天使

そう...もうなりかけてるんだね

天使

なら決定は早い!

天使

まずは説明をしましょう!

天使に手を引かれ 僕の体は 更に上へ 上へと昇っていく

空に 雲に 光に向かって進むのは 何だか 心が穏やかになる様だった

連れて来られたのは 延々と続く空

その空に 沢山の天使が居た

わぁ、ここは何処なの?

天使

ここは"天国事務所"

天使

ま、そのまんまだよね!

天国事務所

そこでは 多くの天使たちが 何やら忙しそうに 下界のサラリーマンの如く パタパタと羽をはためかせていた

事務所って事は、ここで皆働いてるの?

天使

そうだよ!

天使

天使にはお仕事があるんだ〜

天使

今からそれを説明するね!

天使に まさか事務的な仕事があるなんて 誰も想像しなかっただろう

ずっと握っていた手を 少し強く引かれ 働く天使たちの元へと ふよよ〜 っと飛んでいく

天使

ここでは見ての通り、書類の整理とかをしています!

何の書類なの?

天使

君のような人間や、動物、植物、地球の生命(いのち)ある者たちのデータだよ

天使

この莫大なデータを管理するのに、人手はいつも不足していてねぇ

天使たちが持っている書類は 透明で 文字だけが そこに浮かび上がっている

あれは 紙と呼ぶのだろうか?

天使

紙ではないよ

天使

あー、そういえば、説明不足だったかな?

天使

天使たちは皆、元々人間なんだ!

皆、人間だったの?

天使

そう!

天使

だから、言葉や物の名前なんかは人間が使うのと同じにしているんだ〜

天使

あれは紙ではないけど、書類って呼ぶのはそーゆう事!

聞き慣れてるから、何の違和感も無かったよ

それにしても 地球上の生命ある者のデータ なんて そんな想像もし得ない規模のデータを 天使たちは管理しているのか

これは 人間の仕事なんて とてもちっぽけに 見えてしまうな

天使

じゃあ次に行こう!

え、ここはこれだけ?

天使

書類を管理してるだけの所だから

天使

これ以上は見てても何も無いよ?

そうなんだね...

もっと 電話対応とか 経理とか 天使たちのスケジュール作成とか 人間みたいな仕事も 有るのかと思っていたけれど...

天使

天使には必要ないからね

天使

まさかこんな所に電話なんて掛かってこないし

天使

お金がかかる事は何一つ無い

天使

天使は毎日働くのが当たり前なんだ

天使

下界の監視、生命の選別、後は神に従うのみ

大変じゃないの?

天使

大変な事なんて何も無いよ!

天使

だって辛くないんだから!

確かに 働く天使たちは 皆 誰もが笑顔だ

けれど 僕にはそれが 楽しいから とは思えなかった

天使

さ、次行こう!

うん

昇った空を 今度は逆に スーッと降りていく

つまりは 最初に僕が居た所

下界に戻ってきたのだった

天使

天使はね

天使

さっきのデータを自分たちで収集するんだ

天使

どんな生命がどんな生活を送り

天使

そしてどんな性格か

下界に降りた僕たちは 空よりは低い ビルの屋上から 地面を踏みしめて歩く人の流れを 緩やかな川を見るように 眺めていた

天使の声を 確かに耳に聞き入れながら 人とはこんなにも 小さく か弱い生き物だったか と 僕の思考は巡っていた

天使

最後には天使が決定しなきゃいけないからね!

生か死か、消滅か...

天使

そう!

天使

君も管理下なんだよ

天使さんの?

天使

うん

天使

だから、君の死に際に現れたって訳よ!

天使

しっかりと適切な決定をするから、安心してね!

天使の笑顔は いつでも輝く 満面の笑みだ

ーピリリリリリッー

突然 携帯のアラームの様な 軽快な音が響いた

どうやら音は 天使の持っている あの透明な文字盤から 鳴り響いているようだ

天使は チラリと 文字盤を眺めると 表情を変えずに 呟いた

天使

時間だね

何の時間なの?

天使

もう1人の管理される者の所へ行こう!

もう1人の、管理される者?

天使

君と同じって事さ!

天使

早く行かないと!

天使

間に合わなくなっちゃう!

天使に背中を グイグイ押され まだロクに 空の飛び方を知らない僕は ぎこちなく空を歩いた

向かう先も 分からないままに

ここは、何処...?

薄暗い部屋

この場所に辿り着くと 天使と僕は 部屋にあった ふわふわのベットに 腰掛けた

その部屋には もちろん人が居た

薄暗い部屋の中で ボーッと ある一点を 飽きもせずに 見詰めていた

いや 既に 飽きていたのかもしれない

きっと この世界で 生きる事に

天使

見ていて分かった?

天使

ここは管理される者の部屋だよ

天使

さっきの通知は、その生命が失われようとしている合図なんだぁ

この人は...死ぬの?

天使

うん

天使

数分の誤差はあれど、もう死ぬ事は確定しているよ!

天使は 抜け殻のようなその人から 決して 目を逸らさない

生命が尽きる その瞬間を 見逃さないように

僕の時も鳴ってたの?

天使

いーや!

天使

君は特別なのさ!

天使

違う音が鳴ったんだよ〜

違う音?

天使

ピッピッピッ!

天使

って感じの音!

へぇ...

天使

この音はね、死ぬ前に最終審査を行わなければならない生命が尽きる前に鳴るんだよ

天使

君のような、ね!

僕の生命が 何故 特別なのか

その答えを 僕は 何となく 聞けないでいた

あ...

ーカタン...キシッー

ーギチッギチッ...ギュギウッー

この部屋の住人は 座っていた椅子から立ち上がり そして その椅子に足を乗せ 姿勢悪く 立ったのだ

手を伸ばして 頭上にあった物を目の前にし その強度を 確かめた

強く 左右に引っ張り 体重をかけ 下へと引く

天井からぶら下がったソレは 確かな強度を保ち 決して 千切れる事も 解ける事も無かった

今、天使さんは記録しているの?

天使

うん

天使

天使が見届けなくてはならないからね

天使

天使の最大の仕事さ

天使

生命を孤独に枯らせてはならないんだ

そっか

生命は1人じゃ死ねないんだね

天使

そーゆう事!

生命が尽きるその人は 静かに 自分の首に輪を掛け 一つ 深い深呼吸をした

縄から手を離し 少し膝を曲げ 体を前に倒しかけ ピタリ と動きを止める

天使

ダメか...

うん?

天使

見ていてね、これも天使のお仕事さ

天使はそう言って 笑顔で 尽きる生命へと 近付いていく

そして

慈しむような笑顔で その両手を広げ

優しく

生命を包み込む

ーバサッー

ーガタンッー

ーギチギチィッ...ギッ、ギギッー

天使が 羽を羽ばたかせ 少し後ろに下がる

まるで 風に吹かれたかの様に 止まった身体は 動き出した

流れに沿って 天使が体を離すと 重力に逆らえない身体は 首に掛かる輪っかを軸に ガクン と下へ落ちたのだった

その後 あの生命は死に 天使の導きによって 転生までの魂生(こんせい)を 地獄の手前の地上獄(ちじょうごく)で 過ごす事となった

地上獄では 魂だけの存在となり この世に散らばる 負の粒子を 食べて 満映させない仕事を こなさなければならない

ある一定の 負食値(ふしょくち)を超えれば 転生への切符を 貰える仕組みとなっている

転生出来るかな?

天使

分からないなぁ

天使

全ては神のみぞ...

天使

いや、神すらも分からないのかもしれないね

天使と共に 羽を広げ 天使と出逢った場所へ行く

どうやら お仕事ツアーは これでお終いの様だ

天使

説明はこんな所!

天使

後は習うより慣れろ、だね!

僕に務まるかな

天使

君の魂は、もう決めているじゃないか!

天使

心配もしていないでしょう?

天使に言われて ようやく気付く

僕は いつから 感情が欠落していたのだろうか...

それに いつの間に こんなに真っ白な 天使と同じ羽が 生えていたのだろうか...

僕の笑顔は 何故 こんなにも 清々しいものなのだろうか...

天使

それじゃあ決定しましょう

はい

天使が 透明な文字盤を 僕の目の前で 広げてみせる

透明だから 見えてしまう

それは 僕のデータで 透明な文字盤は そのほとんどが 透明だった

僕の人生とは 何も無い 空っぽなものだったんだ

天使

そう

天使

これが特別なの生命の第一条件

天使

けれど胸を張りなさい

天使

そのおかげで君は

天使

尊い天使になれるのだから

はい

僕が 短く返事をすると 天使は祈る様に 指を重ねた

天を仰ぎ 目を閉じて 天使は言葉を 紡ぎ出す

天使

天使の職務を果たします

天使

天使が認めた生命に、天使と同等の権限を

天使

神の目の前で宣言します

天使

この生命は天使になるべく生まれたのである

天使

新たな天使の誕生を、心から祝福致しましょう

天使の輪っかが 僕たちを ぐるりと囲む様に 大きく広がる

輪っかの取れた天使は 小さい頃に よく遊んだ近所の子供の様に 何だか 妙に懐かしい 綺麗な顔した子供に見えた

空は今日も青い

何だってこんなに青いんだ

俺に喧嘩を売っているのか?

だがもうこの空ともおさらばだ

思えば何も無い人生だった

だから地獄にでも旅行しよう

また会えた時には地獄の土産話をしてやるよ

じゃあな

憎いくらいに青い空よ

ーリーンゴーンリーンゴーンー

天使

こんにちわ〜

天使

天使です!

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1,070

コメント

16

ユーザー

アイコンの表情が変わっていて本当に動いてる様に見えました…! 新鮮で面白かったです!

ユーザー

いいね500した!

ユーザー

面白い!!!しかも天使の絵(丸いとこの)の表情がちょくちょく変わってたのがすごいと思った 皆のゆうように斬新な発想力があると思う✨これからも応援してるね~

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