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何故ねぇちゃんは「あんな地獄」って知っとるんやろ
こんな話を 聞いたことがあるかい?
能力を持ったものが昔、 人間を助けたって話。
その頃はまだ、 能力を持ったものが "神に選ばれし者"と 呼ばれていたんだ。
…いつから、 こうなったんだろうか。
能力が宿った者は "神に見離されし者"又は "Doll"と呼ばれ 軽蔑されるようになった。
保健所に 連れて行かれたら 政府の奴隷か 金持ちの家畜。
…酷い話だろう?
両親へ 姉の元に行ってきます。 育ててくれてありがとう。 結果は置いときます。 私はもう香じゃありません。 さようなら。
アマーリア
アマーリア
アマーリア
アマーリア
アマーリア
ここに居たはずなのに、
荷物も、私物も あるのに、
アマーリア
大好きな姉はもう、 私の前で笑ってくれない。
アマーリア
神様、もし 存在するならば、
どうして、姉を 見捨てたのですか?
アマーリア
姉の棚にあった一冊の 日記。
無意識にそれを開いた。
最初は日常の 日記だった。
変わったのは姉が 15歳になった後 からぐらいだ。
○月×日
卒業まで、もうすぐ 1ヶ月になる。
それと同時に、 適正結果が届く。
私、Dollだったら どうしよう。
きっとお父さんと お母さんは、 私を躊躇いもなく 保健所に突き出すだろう。
でも、だからといって 私が逃げたら? 香は、私の大事な妹は どうなるの?
監視が入って、 Dollだったら、 香が保健所に出される。
…嫌だ。 私の1番の宝物を…
2月1日
……私は、Dollだ。
本当は、今すぐ逃げたい。
でも、香を 傷つけたくない。
あんな地獄、 知って欲しくない。
きっと香は、 私がDollだと知っても、 私を"お姉ちゃん" そう呼ぶだろう。
両親はきっと、 香保なんて、二度と 呼んでくれない。
香、今貴方は これを読んでる ことでしょう。
こんな事になって、 本当にごめんなさい。
でも、香はいつまでも 私の妹で、 大事な宝物だよ。
だから…自由に生きて。
偽りの家族になんて 縛られないで。
貴方のこと、 一番近くで守れなくて ごめんなさい。
誰よりも、貴方の事、 愛してるからね。
卒業式が終わると、 逃走したDollの捜索が 始まる。
逃げ続けて。
そして、貴方が証明して。
Dollが、危なくないって。
アマーリア
アマーリア
アマーリア
アマーリア
お母さん
大輝
お母さん
お母さん
お母さん
大輝
大輝
少し神に 選ばれただけで、 人は煙たがる。
それにいつも傷つくのは Dollだ。
約数人、 昨日まで元気だった人が 消えて、
一般人は何事も なかったように勉強する。
帰るときの校門で、 足を止めた。
Dollが傷つく、
もう、そんな場面を 見捨てたりしない。
大輝
大輝
大輝
大輝
バタバタと急いで 帰っていく。
大輝
大輝
大輝
大輝
そして、森方向に 走って行った。
胸の奥からじんわりと 温かくなるのを感じる。
大輝
大輝
少しでも、 僕は誰かの "ヒーロー"になりたいんだ。