何度目だ?
そう考えるのが随分と 懐かしく感じる
ずっと同じことの繰り返しだ
自分の名前さえ忘れてしまった
青に切り替わる信号
足を踏み出す彼女
信号無視のトラック
そして
それを庇う俺
右から凄い衝撃と激痛が生じて
視界が暗転して
そしてほら、まただ
青に切り替わる信号
踏み出す彼女
信号無視のトラック
そして
庇う俺
終わらない地獄
永遠と続く痛み
救いなどありもしないものを 願うのは
とっくにやめている
ずっと同じ時を巡っている
そう考えるのも久し振りに思う
自分の姿も
名前も
とっくに忘れてしまった
青に切り替わる信号
勝手に足が前に出る私
信号無視のトラック
そして
庇ってくれる彼
何度も繰り返して
何度も何度も繰り返して
地獄のような時間を 過ごしているはずなのに
どうしてあなたはまだ 庇ってくれるの?
婚約者であるあなたに あんなことを言った私なんて
とっとと見捨ててしまえばいいのに
名前を叫ぼうとしたけれど
声の出し方さえ忘れてしまった
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