恋のかたち

~片想いを終えて~

5月23日

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初恋は叶わないと誰かが言っていた。

だから

長いこと想ってても

どれだけ"好き"を伝えても

もう一度その言葉だけは言えなかった。

でも、付き合いたかった。

だって

好きだから。

素直じゃないとこも

照れ隠しで冷たくするとこも

可愛いから何でもいい。

まさか……

振り向かせられる日が来るとは

正直覚えてない。

でも確信があるのは……

人一倍周りからの評価を気にしてた感じで

なんか息苦しそうで

それが人より少し大人びて見えた。

今は割とそれも減ったか。

平井のおかげかな。

愛想笑いばかりするやつって印象だった。

それががらりと変わったの

いつだっけ……

言わない。

まだ言わない。

お前に救われたなんて

そんなのは

いつかまた話せばいいだろ。

今はまだ

この幸せ噛み締めて

お前の隣にいさせてほしい。

~3年前 冬 合同練習後~

12月某日

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第一印象は変なやつ。

不思議と目が追っていた。

残って練習してんのか。

そういや、サーブ苦手だったけ。

あとはセンスいいんだよな。

小柄だけどすげぇ上手い。

でたまた愛想笑い。

普通にしてりゃいいのに。

にしても1人で練習とか

結構根性あんだな。

意味はわかってる。

バレーのことの言ってる。

でも、バカな俺は少し意識した。

いや、1人でできるかよアホか。

何をびびってんのか。

本音がわかんないような

態度は少しイライラしてしまう。

なんだ、言えんじゃん。

なんだ愛想笑い振りまく以外のこと

できるじゃねーか。

でもたぶん今俺

地雷踏み抜いた気がする。

この時少し胸が高鳴った。

変なやつの印象が

更に変なやつになって

わくわくしてた。

その気持ちがなんなのか

知らねえけど

それでもよかった。

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初めて見せたお前の素顔に

興味を持ったこと

惹かれたこと

それにはっきりと気づくには

俺はまだ子供で幼かった。

ただ

この日恋に落ちた

と言っても

否定はできないと思う。

ただ、それだけのこと。

~春 合同練習後~

3月某日

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もうそろ中二か……

進路とかそうゆう話が最近でてる。

小さな悩み。

将来がどうとか何も考えられない。

なんとなくで始めたバレーもそこそこ。

勉強は寝てばっかで全然だし。

相川は考えてんのかな。

聞いた相手は

気になるお前。

だって、考えてねーもん。

ちゃんと書かないと

これでも親に心配されるしな。

肉のほうが好きだ。

確かに楽しいけど

自主練してまで続けようとか

相川みたいに努力して

スタメンになろうとか

俺にはできない。

そこまでの熱量なんてない。

人より少し冷めている。

そう言われたことがある。

感情が読めないとか

クールだとか

そんな言葉ばっかで

俺自身に目を向けるやつなんて

ほとんどいなかった。

無意識にコンプレックスにでも

なってたか、柄じゃないくせに。

自分が何者かわかんねーなんて

中二病かよ……

でも

これでも俺は

ちゃんとバレーが好きだ。

それでもいいんだ。

いや

俺

お前が好きだ。

今日だけお前が見れない。

でも、許してくれ。

だって、なんか今日のお前は

特別可愛くみえたんだよ。

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傍から見れば小さい悩み。

でも俺にとって大きかった。

俺には4つ上に何でもできる兄がいる。

だからか、何もない自分に嫌気がさした。

何の為にバレーしてんのか

よくわかんなかったけど

俺、ちゃんと好きなんだって

気づかせてくれた。

それと同時に気づいた。

お前に恋してるってことに。

~入学前の冬~

12月某日

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病院って暇だな。

腕も足も怪我したから動けないし

ただただ、時を流れるって感じ。

見舞いに来ちゃうなんて

俺を喜ばせる天才か。

せっかく相川が見舞いに来てくれたのに

嬉しい気持ちでいっぱいになれない。

事故に遭った。

別に一生治らないわけじゃない。

右手右足背中ちょっとやっただけだし。

かなり重症だけど……

何でこのタイミングなんだろうな。

でも別に高校なんてさ

どうでもいいよ。

今もう高校がどうとか

考えられない。

俺は何がしたいんだ？

どうしたかったんだ？

今までどこ行くか聞いても

教えてくれなかったのに……

自分の進路は自分で決めなって……

今更変えるのか……

そんなこと……

覚えてたんだ。

違うんだよ。

バレーは好き。

そう教えてくれた

お前が

相川がいたから好きになった。

でもさ

わがまま言ってまで

バレーやろうとなんて俺は

頬つたう涙が

俺に教えてくれた。

ちゃんと悲しいって感情が

ここにある。

知ってる。

仕事忙しいくせに

1試合でも多くって

恥ずかしげもなく名前呼んで

チームのやつとか監督に

どれだけいじられたと思ってる。

泣かれると思ってなかった。

知ってる。

毎日作ってくれてた弁当も

人よりいいシューズも

全部愛だったこと知ってる。

母さんと父さんは

きっと天国でも笑うと思う。

俺がバレーをする限り。

それなら続ける。

アホでも愛を受けて育ったお礼は

いつもボールに込めてやろう。

受験なんてどうってことねーわ。

バレーが自分の中で

大きい存在になってること。

教えてくれたのは

また、お前。

お前の存在も

更に大きくなって

更に好きになってしまった。

心が救われたなんて

それを言う日はまだ先でいい。

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それともうひとつ気づいたことがある。

俺はこの先もきっと

バレーと相川純恋しかいない。

夢と語る日はもう少し後か

それとも今すぐ言ってしまおうか。

俺

バレーボール選手になる。