俺
日曜日の昼下がり
俺
妻がソファで
うたた寝をしている。
うたた寝をしている。
俺
どうも妻から尻尾が
生えているようだ。
生えているようだ。
俺
これで三度目だから
疑いようもない。
疑いようもない。
俺
イメージとしては
猫の尻尾に近い。
猫の尻尾に近い。
俺
だが、毛は
生えていない。
生えていない。
俺
肌色の長い棒だ。
俺
俺が指摘すると決まって
俺
シュルルル…と
俺
掃除機のコードのように
尾てい骨の辺りに
しまってしまう。
尾てい骨の辺りに
しまってしまう。
俺
そして
妻
気のせいじゃない?
俺
と、言う。
俺
だから今回は思い切り
ぎゅうっと握ってみる
ことにしよう。
ぎゅうっと握ってみる
ことにしよう。
俺
せえの…
ギュウウウウ…
妻
ごああああああ!!
俺
妻は絶叫しながら
飛び起きた。
飛び起きた。
俺
同時にシュルルルと
尻尾をしまい始めたので
尻尾をしまい始めたので
俺
俺は離すまいと更に
力を入れて握った。
力を入れて握った。
スポン…
俺
俺は引きずりこまれた。
俺
…ん?
俺
どこだここは?
俺
何やら暖かく狭く
赤黒い。
赤黒い。
俺
ドクンドクンと脈打つ
心音がやたら近くに
聞こえてくる。
心音がやたら近くに
聞こえてくる。
俺
…苦しい。
俺
息が出来ない。
俺
助けて…
俺
息が…
俺
…あれ?
俺
どこだここは?
俺
……。
俺
どうやら病院のベッドに
寝かされているようだ。
寝かされているようだ。
俺
チューブやら配線が
体中に繋がれている。
体中に繋がれている。
俺
ふと見ると
俺
傍らで妻が疲れ果てて
寝ている。
寝ている。
妻
ごめんなさい。
妻
あなた…
妻
ごめんなさい…
俺
寝言で俺に謝っている
ようだ。
ようだ。
俺
妻の瞳から一筋の
涙がこぼれた。
涙がこぼれた。
俺
…謝るのは俺のほうだ。
俺
俺は彼女を起こさぬよう
俺
そおっと妻の尻尾を
彼女のズボンの中に
しまった。
彼女のズボンの中に
しまった。