相澤すみれ
じゃ、いってらっしゃい~

相澤桜子
いってきます…

一条翡翠
おはよう!桜子🖤

相澤桜子
お…おはよう…

なぜなら今日から彼と登下校を共にしなければならないからだ
相澤すみれ
桜子~?え…ッ!あらヤダ…ッ!スッゴいイケメンがいる…!

相澤すみれ
ちょっと桜子、この子はどなた?!

相澤桜子
おっ、お母さん!?

相澤桜子
(ど…どうしよう!)

相澤桜子
(まさかお母さんに『昔仲良かった翡翠ちゃんです』なんて言えないし…)

一条翡翠
初めて、僕は一条翡翠です。

相澤すみれ
一条翡翠…?

相澤桜子
(えっ!何で正直に言っちゃうの?!お母さん混乱しちゃうよ?!)

一条翡翠
実は僕、昔この家の近所にすんでいた一条翡翠ちゃんの従兄弟なんですよ

相澤すみれ
翡翠ちゃんの従兄弟?えっ、でも同じ名前…

一条翡翠
はい、韓国の一部の地域では、同い年の従兄弟同士は同じ名前をつけるという文化があるんです。

一条翡翠
僕の祖母が韓国人なので、その流れで僕たちにも同じ名前がつけられたんです

相澤桜子
(そんなの聞いたことないけど…)

相澤すみれ
まぁ、そうだっのね!確かに翡翠ちゃんそっくりの美形ね🖤

相澤桜子
(信じるの?!)

相澤桜子
(でも、翡翠のおばあちゃんは韓国人だし、本当にそういう伝統があるのかも…)

相澤すみれ
翡翠ちゃんか…急に引っ越しちゃったんだけど、元気にしているかしら?

一条翡翠
ええ、彼女は今、韓国で元気に暮らしていますよ。

一条翡翠
もう日本には戻って来ないでしょうけど

相澤桜子
(そりゃ自分が翡翠ちゃんだもんね…)

相澤すみれ
あらそう、残念だわ…

相澤すみれ
ところで…

相澤すみれ
二人はどんな関係なの?!

相澤桜子
(あー、絶対聞いてくると思った…)

一条翡翠
フフッ、僕は娘さんとお付き合いさせていただいています

相澤すみれ
~~ッ////!やっぱり?!

相澤すみれ
お母さん、てっきり桜子は蒼くんと付き合うもんだと思っていたけど…

相澤桜子
…ッ

相澤すみれ
まさか、こんなイケメン捕まえて来るなんてねッ!

相澤桜子
(捕まったの方が正しいんだけどね…)

相澤すみれ
蒼くんと言い翡翠くんと言い、桜子はイケメンばっかり連れてくるわね

相澤すみれ
桜子もお母さんに似て面食いになってきたのかしら?

相澤桜子
いやいや、違うから…

相澤すみれ
まぁ、何はともあれよろしくね、翡翠くん!

一条翡翠
こちらこそ宜しくお願いします、お義母さん

相澤桜子
(お義母さんッ!?)

相澤すみれ
こんな美形の息子ができるなんて光栄だわぁ!孫の顔も楽しみね🖤

相澤桜子
(まっ、孫ッ!?)

一条翡翠
そうですね、僕は桜子のウエディングドレス姿も楽しみですけど🖤

相澤桜子
(マズイ…どんどん話が飛躍していっている…ッ!)

相澤桜子
お、お母さん!

相澤桜子
もう行かなきゃ、学校に遅刻しちゃうからッ!

相澤すみれ
え~、じゃあ翡翠くん、また来てね!

一条翡翠
はい、また来ますね、お義母さん!

相澤桜子
(…そのお義母さんっていうのやめて…)

本当はまだ遅刻するような時間ではなかったが、あのまま二人を喋らせていたらとんでもないことを言い出しそうだった
相澤桜子
(まぁ、十分とんでもないこと言っていたとは思うけど…)

相澤桜子
(あっ…そういえば…)

相澤桜子
ねぇ、あの韓国の文化って本当にあるものなの?

相澤桜子
(お母さんは信じきっていたけど…)

一条翡翠
えっ?嘘だよ?あるわけないじゃんそんな文化

一条翡翠
お義母さん騙されやすいよねぇ、いまだに変わってないや

相澤桜子
(えぇ…あんな表情変えずに言われたら信じちゃうじゃん!)

相澤桜子
(やっぱり油断できない…ッ!)

相澤桜子
あ…っ、あとその『お義母さん』っていうのやめてよ!

相澤桜子
昔は普通にすみれおばさんって呼んでたでじゃない!

相澤桜子
結婚するワケでもないのに…

一条翡翠
何言ってんの?

一条翡翠
俺たちするじゃん、結婚

相澤桜子
(あ…、この顔この声この一人称はヤバイときだ…)

相澤桜子
えっ、あ、そうだよねぇ…

相澤桜子
うんうん、するよね、けっ、結婚…

相澤桜子
(…怒らせないように従順でいようと決めたけど、自分で言ってて結婚なんて無理だッ!)

一条翡翠
僕、絶対桜子のこと幸せにするから離れないでね…?

一条翡翠
監禁してでも一生一緒にいてもらうけど🖤

相澤桜子
(えぇ…嫌すぎるプロポーズ…)

それに、私は蒼を守るために脅迫されて付き合ったというのに、何で結婚するまで事になっているのか…
相澤桜子
(お母さん!怖いッ!この人凄く怖いよッ!)

相澤桜子
(美形だからってイケメンだからってホイホイ信じちゃダメだよッ!)

相澤桜子
(でもこうなった以上、彼が私に飽きるまで耐えるしかない…)

彼が離れてからもずっと私を好きだったことを思えば、飽きるのはかなり先になりそうだけど…