アナタは知らない

高校の入学式で

貴女に、出会った

一目惚れだった

笑顔で挨拶をする 貴女に

恋をした

高１の時

貴女の名前を知った

高２の授業

貴女は僕の

英語教諭だった

髪を掻き上げる仕草

フワリと香る甘い匂い

真面目な表情で

母音の発音を教えてくれる

その真剣な様子を

ずっと

見つめていたかった

高３の進路相談

貴女は僕の担任だった

貴女への想いは

少しずつ 確実に深まり

濃く色付いていった

そして、卒業の日

『先生が好き』

1年の時から、ずっと

だけど僕はまだ

18歳の子供

本当は卒業式の今日

告白しようと

決めていたのに…

教師と生徒の壁は高くて

迷ってしまう

歩み始めた足を止め

立ち去る貴女の背に

思いっきり叫ぶ

そして振り向いた 貴女に

想いをぶつける

貴女は しかめっ面を浮かべた

どうしても伝えたくて

母音だけで伝えた

「先生が好き」と

｢先生！あ！い！う」

思い出してしまう

貴方と一緒に過ごした

時間を…

英語の授業

貴方の

真面目さが、好きだった

進路相談

わたしは貴方の 高校最後の担任だった

専門学校に行くか 大学に進学するか

貴方は 悩んでいたよね？

その時思ったの

真剣に悩む貴方を

支えてあげたいって

そして卒業式の日

すがり付くような 貴方の目に甘え

この想いを ぶつける事ができたら

わたしは…

どんなに、楽だったろう？

大きく手を振る貴方に

わたし、上手に笑えたかな？

言葉に出来ない想いを グッと飲み込む

だって貴方は、18歳

未来ある若者だもの

純粋に人を想って

何も知らずに

去って行く貴方が…

#言の葉コンテスト 参加作 サムネイルの貼り付け