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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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こはね

………ふぅ

私は木の下でのびている怪物を 横目に一息つく

こはね

ちょっとずつ慣れてきたかな

両手を見る

こはね

……………………

このグローブにはどこまでも 可能性を感じた

時には赤いモヤをまとめて 敵にぶつけて吹き飛ばす

時には私を包み込むように 守ってくれる

時には感情の矛先を移動させて 敵同士で戦わせる

こはね

…………………………………

私は今までに何体 倒してきたんだろう

いくつ想いを壊してきたんだろう

いくら『いらない想い』って 言ったって

いくら自分を守るため だからって言ったって

………本当はこんなことしたくない

こはね

………っ

もういっそ………

こはね

っだめ

こはね

私は……

こはね

…私達はまだ……最高の夜を超えてない

だから…………

こはね

……まずはみんなを探さなくちゃ

私は自分を奮い立たせ、歩き出す

もう一度だけでもいいから、 一緒に歌うために

____

こはね

……………あれ?

遠くに人影が見える

その影は私を見つけると、 大きく手を振り、 こちらに走ってきた

ふわふわ揺れるピンク色の髪

軽くはずむ足取り

キラキラした笑顔

?

こーはーねーちゃ〜〜んっ!!

小さく聞こえる私を呼ぶ声

その子は__

こはね

__……えむちゃん?

ハンマーを背負った えむちゃんだった

えむちゃんは嬉しそうに 私の方に駆けてくる

と…………

えむ

ッ?!?

えむちゃんが急に固まった

そして必死な顔をして さっきよりも速度を上げて 走ってきた

こはね

えっえむちゃん?!

えむ

こはねちゃん!!こっちに走って!!!

えむちゃんが遠くから 必死に叫んでいる

こはね

!

私はわけがわからないまま えむちゃんの方へ走った

えむ

絶っっ対にうしろ向いちゃダメだよッ!!!

またえむちゃんが叫ぶ

こはね

わ、分かった!!

意味が分からないけど、 従ったほうがよさそうだと思った

私は懸命に えむちゃんの方へ走った

こはね

…はぁ……はぁ……っ!!

段々と距離が縮まっていく

えむ

こはねちゃん!!

えむちゃんの声が完全に聞こえるようになった

こはね

どうしたの?!

えむちゃんがハンマーを構えた

そしてあと数メートルという ところで私に指示を出した

えむ

しゃがんでッ!!!!

え?

えむ

どわっせぇぇぇぇい!!!!!

こはね

きゃあぁぁぁぁッ!?!?

えむちゃんが地面を踏み切り、 空中でハンマーを振った

私は反射的にしゃがんだ

えむちゃんを目で追いながら

ガツンッ!!

えむちゃんは私の頭上で 何かを吹き飛ばした

そのまましゃがんだ私の上を 飛び越え、

えむ

すたっ

空中で一回転して着地した

こはね

………………ぇ?

状況が理解できない

えむちゃんは私にニッと 笑ってみせた

えむ

こはねちゃんっ!!

こはね

ひゃっ、え、えむちゃん?!

えむちゃんが急に抱きついてきた

こはね

……ぁ…

その肩は小さく震えている

こはね

えむちゃん…………?

えむ

こはね、ちゃん、が………っ

えむ

こはねちゃんが無事で良かったっ!!

そう言ったえむちゃんの 私を抱く力が少しだけ強くなる

えむちゃんは笑顔を見せたけど、 声も身体も恐怖に怯えていた

こはね

……えむ、ちゃん…………っ

こはね

……私も、えむちゃんが無事で良かった

図らずも私の声まで震えてしまう

私達はお互いの存在を ギュッと抱きしめる

グローブがはめられている手で 掴んだえむちゃんの服は、 決して壊れなかった

____

えむちゃんから話を聞いた

気づいたら森の中にいたこと

ハンマーで何回も倒したこと

段々自分の身体が震えるように なったこと

黒いミクちゃんからハンマーを 貰った時に放った呑気な言葉を 悔やんだこと

歩いていたら遠くに 私を見つけたこと

私の方に走っている時、 私の後ろに黒い不気味なモヤの かたまりが見えたこと

そのかたまりをハンマーで 殴った時に、重い感覚と 何かがパチンと弾けたような 感覚がしたこと

そして

笑顔を奪っている自分が ずっと怖かったこと

こはね

……………………………

えむ

………っでもね!

えむ

今、こはねちゃんがいるから、全然怖くないよ!

こはね

………………えむちゃん

えむ

ん?なぁに?

こはね

話、してくれてありがとう

えむ

っ!

こはね

私もね、ずっと怖かったんだ

こはね

白い部屋に飛ばされた時のことも

こはね

ミクちゃんのことも

こはね

怪物達も

こはね

……

こはね

……想いを壊している私も

えむ

…………!

こはね

いくら必要ないって言われても

こはね

その時感じた想いは忘れちゃだめ、消しちゃだめなんだって思ったら……

こはね

っ怖くて………

えむ

……こはねちゃん………

こはね

……っごめんね、こんな話、しちゃって

えむ

ううん、大丈夫だよ

こはね

………………あと

こはね

ありがとう

えむ

………ぇ

こはね

私のこと守ってくれて

えむ

!

こはね

私に怖いもの見せたくなかったから、うしろ向いちゃダメって言ったんだよね

えむ

…………………ぅ、ん

こはね

……えむちゃんは、すごいね

えむ

……………………………………

えむ

…………えへへ

えむちゃんは寂しそうに笑った

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