シズマ
ハルナ
寺爺
寺爺
寺爺
寺爺
木陰に入っていても
地面はわざわざ俺たちに あの陽射しを照り返す
夏の猛暑をよく 『サウナの様な蒸し暑さが…』
なんて表現することがあるが
これはもうサウナだ
それに加えて
やかましい蝉が 絶えずに頑張るものだから
〝夏らしさ〟が 一層引き立っていた
現在、金曜日の夕方
ハルナの授業が 終わるのを待ってから
近況報告とハルナの紹介で 爺さんのいる寺に来ている
建物には入らずに
爺さんが 落ち葉を掃いている傍らで
サクサクと話を進める
…予定だったが
暑すぎた
シズマ
シズマ
ハルナ
ハルナ
寺爺
寺爺
シズマ
シズマ
シズマ
ハルナ
ハルナ
寺爺
寺爺
ハルナ
ハルナはそのまま 500円玉を握り締めて
寺の外にある自販機まで 駆けていった
寺爺
寺爺
シズマ
シズマ
シズマ
寺爺
シズマ
寺爺
寺爺
寺爺
寺爺
シズマ
シズマ
寺爺
寺爺
寺爺
シズマ
寺爺
寺爺
シズマ
シズマ
寺爺
寺爺
寺爺
シズマ
シズマ
寺爺
寺爺
寺爺
寺爺
シズマ
シズマ
ハルナ
お寺の敷地を出たら すぐに
フラフラと 膝から力がすっと抜けた
とっさに
シズマさん達に見えないよう 門を背後にして
その場でしゃがみ込む
ハルナ
ハルナ
ハルナ
私が依頼したんだけれど
残念ながら
これは 私のトラウマだった
〝アイツ〟に 近付こうとすればする程
そのトラウマに
自ら突っ込んでいくワケだから
当然、メンタルもがりがり削られる
住職さんと、シズマさんと、 あの話をしていると
親を亡くした あの出来事も
ユウトくんのことも
叫びたくなるほど
どうしようもないほど
〝リアル〟なんだって
思い出してしまう
人が
〝忘れられる生き物〟 であることの有り難さが
ちょっとだけ
分かった気がした
ハルナ
ハルナ
ハルナ
ハルナ
立ち上がると同時に
タッタッタッ…
ハルナ
誰かが
裏路地に駆けていったような
ハルナ
ハルナ
ハルナ
って言いながら 気になっちゃうのは
なんでなんだろう?
自販機に向かうついでに
路地裏を横目に見てみると
野球帽を被った(たぶん)男の子が
お寺の墓地の方向へ 走って行くのが見えた
ハルナ
ハルナ
ハルナ
ハルナ
ハルナ
ハルナ
その〝まさか〟に 少し賭けてる私がいた
ハルナ
ハルナ
ハルナ
あるはずがない
あってほしくない
それでも、私は
少しの期待を持って
目の前の背中を 追いかけていた
ハルナ
ハルナ
ハルナ
その子は曲がり角に入って 姿が見えなくなると
私がそこに着いた時には
また次の角に姿を消していく
ハルナ
ハルナ
ハルナ
寺爺
シズマ
シズマ
寺爺
シズマ
シズマ
シズマ
シズマ
シズマ
寺爺
シズマ
シズマ
シズマ
シズマ
寺爺
寺爺
寺爺
寺爺
寺爺
寺爺
シズマ
シズマ
寺爺
シズマ
シズマ
寺爺
寺爺
寺爺
寺爺
寺爺
寺爺
シズマ
シズマ
シズマ
寺爺
寺爺
寺爺
寺爺
シズマ
寺爺
シズマ
思考よりも 感情が優先されるとは
この時の俺は
今考えても 俺らしくなかった
とうに
そんな甘さは捨てたはずだった
ただ
この時は
夢であっても
そうであって欲しかった
シズマ
シズマ
〝いたちごっこ〟って こういうことか…!!
と
走りながらに思う
ポンさん
ポンさん
ハルナ
ハルナ
ハルナ
ハルナ
ハルナ
〝幽霊ってそもそも〟
〝疲れがないみたいなんです〟
ハルナ
ハルナ
ハルナ
目の前を走る その子の影が
なかった
ハルナ
ハルナ
【10分後】
ハルナ
ハルナ
ハルナ
ハルナ
ハルナ
散々追い回した挙句 あの子は
人通りのほとんどない
お寺の裏にある この墓地に入っていった
ハルナ
ハルナ
ハルナ
もしそうなら
謝りたい
謝らなきゃいけない
そうして
おつかいのことなんか とっくに忘れていた私は
墓地の敷地に
足を踏み入れた
響くのは
掠れてしまう蝉の声
香るのは
隅で焚かれたお線香
見えたのは
長く続く墓の列
足を一歩踏み入れて
〝不謹慎〟 が頭をよぎったけれど
もう後には引けなかった
入ってすぐ左側に
手桶とひしゃくの掛け置き場と
カビと土で 黒く汚れた水場がある
それをさっきまで
誰かが使っていたのだろうか
蛇口の真下には 水が半分ほど張られた手桶があって
栓の締りが悪いせいか
水滴が水面に向かって ポタポタと不規則に落ちていた
ハルナ
ハルナ
ハルナ
水面の静かな波紋を ぼぉ…と見ていたら
何故かそのことで 頭がいっぱいになっていく
ぽたんっ
ハルナ
ハルナ
ハルナ
ハルナ
私は
気付くべきだった
ハルナ
ハルナ
ハルナ
この夏に
知らぬ間に
得ていたモノを
ハルナ
ハルナ
ハルナ
最後のお墓参りの時から
私の中で変わっていたものを
ハルナ
ハルナ
ハルナ
ハルナ
ハルナ
ハルナ
霊の見える私が
霊に触れられる私が
その声を
聞くことが出来てしまう私が
墓場に突っ込んでいくことの
恐ろしさを
私は
知らなかった
ハルナ
ハルナ
私がゆっくりと手を伸ばすと
うずくまって泣いていた その子は
突然静かになる
そして
俯いたまま 静かに立ち上がって
ニヤッ…と 笑ったかと思うと
見えない速さで
私の右腕を
強い力でガシッと掴んだ
ハルナ
ハルナ
そう言いながら顔を上げたのは
見知らぬ子
ハルナ
その腕を剥がそうとして
ぐぃっと引っ張ってみても
ビクともしない
ハルナ
ハルナ
ハルナ
子供というには あまりにも力が強くて
掴まれた腕の感覚が だんだんと曖昧になっていく
ハルナ
身体をねじって 手をほどこうとして
後ろを振り向くと
目の焦点がユラユラと定まらず
涙を流して
足を引きずった
歳も性別もバラバラの霊たちが
ぞろぞろと列をなして
私に向かってきていた
ハルナ
ハルナ
死してもなお
人をかたどっているのは
何よりも恐ろしいのは
きっと───
【Re:んネ 第6話】
to be continued
コメント
22件
次は、どうなるんだろう? ワクワクが止まらない中、ふっと切なさが込み上げる。不思議なお話ですね(*´∇`*) 今回も面白いです✨✨
あああああ見るの遅れました…… ポンさんでてきたとき笑いましたw ハルナちゃんの性格大好きです(?) どうなるのか続きが楽しみで仕方ないです…!!
この作品めっちゃ好き♡ 1話から一気見ですよー!👀 背景にしても人物にしても、 自分がその人の気持ちになれますね〜( ᵒ̴̶̷̥́ ⌑ ᵒ̴̶̷̣̥̀ ) 続き待ってます( *´꒳`* )