〇〇
8月15日の午後12時半くらいのこと
蓮巳敬人
日記か?
〇〇
天気が良い
鬼龍紅郎
それは良かったな。
〇〇
病気になりそうなほど
眩しい日差しの中
眩しい日差しの中
〇〇
することもないから君と駄弁っていた
神崎颯馬
だべっていたとは
〇〇
「でもまぁ」
〇〇
「夏は嫌いかな」
蓮巳敬人
そうか。
〇〇
猫を撫でながら
〇〇
君はふてぶてしくつぶやいた
蓮巳敬人
ん?言った覚えはないが……?
〇〇
あぁ、逃げ出した猫の
鬼龍紅郎
ちゃんと抱えとけよ
〇〇
後を追いかけて
〇〇
飛び込んでしまったのは
〇〇
赤に変わった信号機
鬼龍紅郎
おまッ!!!
〇〇
バッと通ったトラックが
〇〇
君を轢きずって泣き叫ぶ
蓮巳敬人
は?
〇〇
血飛沫の色、君の香りと
〇〇
混ざりあってむせ返った
鬼龍紅郎
いや、どういうことだよ!!!
〇〇
嘘みたいな陽炎が
〇〇
「嘘じゃないぞ」
〇〇
って嗤ってる
神崎颯馬
かげろう?
〇〇
夏の水色、かき回すような
〇〇
蝉の音に
〇〇
全て眩んだ
蓮巳敬人
何をやっているんだ貴様は
鬼龍紅郎
そいつはどうなったんだよ
〇〇
目を覚ました時計の針が鳴り響くベッドで
〇〇
今は何時?
蓮巳敬人
3月22日の午前0:30だ。
〇〇
8月14日の午前12時過ぎ位を指す
鬼龍紅郎
何言ってるんだ?今は3月だぞ?
神崎颯馬
心の声(もどってる)
〇〇
やけに煩い蝉の声覚えていた
〇〇
でもさぁ、少し不思議だな。
蓮巳敬人
俺も不思議だ。
〇〇
同じ公園で
〇〇
昨日見た夢を思い出した
鬼龍紅郎
夢ってさっきのか?
神崎颯馬
それはよかつた
〇〇
「もう今日は帰ろうか」
〇〇
道に抜けた時周りの人は皆
〇〇
上を見上げ口を開けていた
蓮巳敬人
………まさかッ
〇〇
落下してきた鉄柱が
〇〇
君を貫いて突き刺さる
鬼龍紅郎
ツッ…………
〇〇
劈く悲鳴と風鈴の音が
〇〇
木々の隙間で
〇〇
空廻り
蓮巳敬人
よくそんなグロいことを言えるな。
〇〇
ワザとらしい陽炎が
〇〇
「夢じゃないぞ」
〇〇
って嗤ってる
神崎颯馬
つぎはゆめじやないのか
〇〇
眩む視界に君の横顔、
〇〇
笑ってるような気がした
蓮巳敬人
鉄柱が突き刺さってるのに笑えるはずがないと思うが?
神崎颯馬
はすみどのにどうかんする
鬼龍紅郎
これは夢じゃなかったのか?
〇〇
何度世界が眩んでも
〇〇
陽炎が嗤って奪い去る。
蓮巳敬人
陽炎?
〇〇
繰り返して何十年。
〇〇
もうとっくに気がついていたろ。
鬼龍紅郎
そんなに〇んでんのか?
〇〇
こんなよくある話なら
〇〇
結末はきっと1つだけ。
神崎颯馬
ひとつ?
〇〇
繰り返した夏の日の向こう。
蓮巳敬人
だから夏が嫌いなのか。
〇〇
バッと押しのけ飛び込んだ、
〇〇
瞬間トラックにぶち当たる
鬼龍紅郎
は?えッちょッ待てよ
〇〇
血飛沫の色、君の瞳と
〇〇
軋む身体に
〇〇
乱反射して
神崎颯馬
いみがわからない
〇〇
文句ありげな陽炎に
〇〇
「ざまぁみろよ」
〇〇
って笑ったら
蓮巳敬人
笑ってる暇ではないだろう!!!
〇〇
実によく在る夏の日のこと。
〇〇
そんな何かがここで終わった。
鬼龍紅郎
夏によくあることじゃあないな。
神崎颯馬
だいじようぶなのか
〇〇
目を覚ました
〇〇
8月14日のベッドの上
蓮巳敬人
もう起きて大丈夫なのか?
〇〇
少女はただ
〇〇
「またダメだったよ」
蓮巳敬人
は?
〇〇
と一人猫を抱きかかえてた
鬼龍紅郎
本当になんだったんだ……
蓮巳敬人
これは……夢?
神崎颯馬
だいじようぶか
〇〇
大丈夫。
〇〇
心配かけてごめんなさい。
蓮巳敬人
はぁぁぁ……(内心すごく安心してる)
神崎颯馬
よかつた
鬼龍紅郎
もうやめろよ。
〇〇
………はい
??
キャハハハハハハハハハハハハハハハ♡