TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

溶けて、消えた。

一覧ページ

「溶けて、消えた。」のメインビジュアル

溶けて、消えた。

1 - 溶けて、消えた。

♥

147

2020年05月07日

シェアするシェアする
報告する

夏休み。

ーチリンチリンー

駄菓子屋の風鈴の下で、初めて君に会った。

年相応の素の笑顔が可愛らしく、

冷たいアイスに頭を抑えて

でもその痛みも楽しみに変えて

アイスキャンデーを美味しそうに食べていた。

その無邪気な姿に、見とれていた。

壱後 愛

...?

壱後 愛

ねえ、君!

突然叫んだかと思うと、僕の近くに寄って来る。

相田 拓海

!?

壱後 愛

アイス、溶けてるよ?

相田 拓海

...あっ!?

手元を見ると、折角のアイスが 溶けていた。

相田 拓海

わっ、わっ...

壱後 愛

こっちおいで!

壱後 愛

お日様の下だと、アイスが余計早く溶けちゃうよ?

相田 拓海

うっ、うん...

壱後 愛

影に入ったら...ほら!

グイッ、と僕の服の袖を 引っ張った。

壱後 愛

涼しいし、アイスも溶けないよ!

相田 拓海

あっ、ありがとう...

壱後 愛

えへへ〜

壱後 愛

ところで君、何歳?

相田 拓海

な、7才...

壱後 愛

えっ!?

壱後 愛

私と同い年だあ!

相田 拓海

そ、そうなんだ...

壱後 愛

何処の小学校なの?

相田 拓海

え、えっと...

相田 拓海

愛塚橋(アイズカハシ)小学校...

壱後 愛

愛塚橋!?

壱後 愛

私ね、夏休み明けにそこに
転校するの!

相田 拓海

へえ〜...

壱後 愛

...ということは...

壱後 愛

君が私の友達、第1号だ!

壱後 愛

よろしくね!

相田 拓海

相田 拓海

うっ、うん!

無邪気な笑顔。

その笑顔に

完全に恋してしまった。

壱後 愛

...くみ

壱後 愛

拓海ッ!!!

相田 拓海

!?

相田 拓海

なっ、何...!?

壱後 愛

何って...

そう言うと、呆れた様な 表情をした。

壱後 愛

ほら、アイス溶けてるって!

相田 拓海

えっ?

相田 拓海

わっ、わあ!?

手元を見ると、またあの日のようにアイスが溶けていた。

壱後 愛

高校生なんだから、
しっかりしてよね!

壱後 愛

もう...

相田 拓海

ご、ごめんって

壱後 愛

...ふふっ

壱後 愛

ま、そういう所が面白い
だけどさ!

肩を少し上げ、歯を少し見せて笑う。

その姿に、ドキッとしてしまう。

壱後 愛

拓海?

壱後 愛

どうしたの?顔赤いよ...

相田 拓海

え?ああ...

顔を背け、アイスを齧る。

壱後 愛

はあ...

壱後 愛

照れ屋なんだから...

相田 拓海

お前には関係ないだろ...

壱後 愛

...まあね

相田 拓海

...?

急に萎れた壱後が心配になり、壱後の方向を見る。

相田 拓海

おい、壱後、どうし

すうっと、影が地面へと 落ちていく。

相田 拓海

...っ!?

相田 拓海

おい、壱後!?

突然だった。

暑い筈なのに、悪寒がする。

口の中はカラカラになり、頭が 真っ白になる。

誰かが急いで何処かに電話を 掛けている。

誰かが壱後に呼び掛けている。

段々とその音が消えて

自分の心臓の音しか

聞こえなくなった。

その後、壱後は病院に運ばれた。

焦ったけど、きっと熱中症か 何かだろう。

そう思って、自分に聞かせていた。

でも

掛かってきた電話には

自分の思い描いていた想像は

一瞬にして打ち砕かれた。

壱後 愛

...拓海

相田 拓海

ああ、壱後

相田 拓海

どうした?

壱後 愛

...実は、私

壱後 愛

がん...だって

壱後 愛

...末期の

相田 拓海

...え?

相田 拓海

がん...?

相田 拓海

助からないのか...?

壱後 愛

...うん

相田 拓海

...なんで

壱後 愛

わかんない...

壱後 愛

...それでね

壱後 愛

私ね、安楽死を選んだの

相田 拓海

...なんでだよお...

壱後 愛

...辛い思いして治らないなら

壱後 愛

もういっそ...って感じ

相田 拓海

...いつ?

壱後 愛

...

一呼吸置いて壱後は言う。

壱後 愛

明日

相田 拓海

.........

涙がこぼれ落ちる。

壱後 愛

...ねえ、拓海

壱後 愛

最後に

壱後 愛

出会った場所で、アイス
食べようよ。

壱後 愛

あっ

壱後 愛

拓海!こっちこっち〜!

相変わらずの無邪気な笑顔。

明日死ぬ、なんて嘘なんかじゃないかと疑ってしまうほど。

相田 拓海

あーもう!

相田 拓海

わかったって!

アイスを片手に、海を眺める。

相田 拓海

.........

壱後 愛

.........

相田 拓海

(...気まずい

相田 拓海

なっ、なあっ!

壱後 愛

拓海

急に名前を呼ばれ、びっくりする。

相田 拓海

な、なんだ...?

壱後 愛

...

壱後は目を瞑り、天を仰いだ。

そして、こう言った

壱後 愛

...今まで、ありがとう

壱後 愛

好きでした

相田 拓海

...!?

相田 拓海

...え?

急な告白。

俺は動揺し、たじろぐ。

相田 拓海

好きでしたって...

相田 拓海

なんで...?

相田 拓海

なあ...

相田 拓海

なんで過去形なんだよ...

壱後 愛

明日、死ぬから

壱後 愛

もう、私は誰も好きになっちゃ
いけないの

壱後 愛

私自身も辛いし

壱後 愛

相手も辛くなるだろうから

相田 拓海

...そっか

相田 拓海

...なら、俺の場合は

相田 拓海

好きです、だな

壱後 愛

...!

壱後 愛

.........

相田 拓海

お前が過去なら

相田 拓海

俺は今、好きだ

壱後 愛

...最後に告白出来て良かった...

目を真っ赤にし、潤している。

壱後 愛

じゃあ訂正

壱後 愛

好きです

コクンと首を縦に振り、 ニコリと微笑む。

壱後 愛

...もう時間だね

相田 拓海

ああ

相田 拓海

壱後

相田 拓海

またな

壱後 愛

...うん

壱後 愛

またね

遠ざかる、最後に見る初恋の姿。

アイスは溶けて、道路に消えた。

俺は

この心臓の音が消えるまで、 止まるまで

君を愛す。

文里

おはこんちっす!

文里

もうほんとすいません...

文里

こんなカス作品が長々と...

文里

巻で行きます!

文里

まず、ふるーつあいすさん、

文里

参加させていただき、ありがとうございます!

文里

たくさん賞を受賞されていて

文里

作品もとても面白いです!

文里

頭が上がらない...

文里

という訳で!

文里

ヨノバイ!☽︎‪︎.*·̩͙‬

この作品はいかがでしたか?

147

コメント

7

ユーザー

本当に物語を作るのがお上手で。素敵な話でした!夏ってなんかいいですね〜!

ユーザー

こういう夏の切ないお話大好きです;;

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚