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ある日の異世界研究部 2

「あるけん」での挿絵はゆる絵でお送りいたします。

寧々

……

寧々

遅くない?

……道にでも迷ってるんじゃない?

寧々

えっ、遥斗が?

うん

寧々

いかにも都会っ子ぽいのに

何かね、郊外に住んでるから、あまりこっち来ないんだって

寧々

へー…意外だな

10分後───

寧々

……にしても遅くない?

確かに……

寧々

そんな入り組んでる?ここ

言うて単純

寧々

……はぁ、駅まで迎えに行くかぁ

(……何やってるんだ、あの人)

慌ただしく人が動いている駅内。

開けた改札前まで行くと、見覚えのある顔が居た。

寧々

あ!

寧々

遥斗ー!

待って

思わず、走り出そうとする寧々の服を掴む。

寧々

えっ、どうしたの?

あれ見て

寧々

……

寧々

!!!

暗めの赤髪に、初めて見る私服。

キリッと整った顔は完全に遥斗だ。

だが、「もう3人」居る。

恐らく、女子高生だ。

彼女らが遥斗を取り囲んでいたのだ。

遥斗

──いや、俺には予定があるんです!!

女子高生

えー、何で?

女子高生

せめてさ!ナンスタ交換させてよ!

女子高生

ナインはー?電話したーい

寧々

はっ……

寧々

遥斗が、逆ナンされてる……?!

寧々

まぁ、黙ってたらイケメンだけど……

そう?案外ムカつくよ

寧々

仲良いのか悪いのかどっちなの?

寧々

取り敢えず、声かけないとだよね

えぇ、行くの?

寧々

だって、映画まで時間無いし…

(普通に、初めて遊ぶ人といきなり映画見に行く?)

この後も色々すると考えると、やはり早い上映時間の時に見といた方がいい。

僕は引き摺られるようにして、寧々の後ろを歩いた。

寧々

─────あ、あの!!

少し深呼吸をした後、寧々は女子高生に声をかける。

遥斗

あ、寧々!!優も!

女子高生

え、誰?

女子高生

いや、あたしらの学校じゃない

女子高生

怖いんだけどー

(怖いのはこっちだよ…)

(寧々、こんなのによく強く出られるな)

(僕じゃ話しかけようとすら思えないのに)

寧々

その人、友達なんですけど

女子高生

うん、それが何ー?

寧々

この後、遊ぶ予定で

寧々

時間無くて…

女子高生

あーっ、そっかぁ

女子高生

でもさ、ナンスタくらい聞いてもいいよね?

寧々

それは……遥斗に任せますけど…

遥斗

はあっ!?

遥斗

俺かよ!

女子高生

どうなのー?

暫く考えた後、遥斗は口を開く。

遥斗

───……っごめん

寧々

───!!!

女子高生

っ!!!

女子高生

!??

女子高生

……!

……周りの空気の色が変わる。

目の角度まで完璧な上目遣い。

本当に申し訳なさそうな表情。

先程の慌てた少年が出せるとは思えない雰囲気が、彼から滲み出る。

遥斗

……俺、そういうのまだ、分かんなくて……

寧々や、女子高生らも沈黙している。

遥斗

えっ、えっと?

女子高生

……

女子高生

女子高生

……なら、しょうがないよね!

女子高生

それな、てかやっばめっちゃ可愛───

女子高生

予定遅れると困るんでしょー?

女子高生

じゃ、見逃してあげるっ

女子高生

ま、またね!

遥斗

はぁ?またねって────

あっという間に彼女らは別の出口へ消えていく、

ようやく状況を呑み込めたのか、寧々が遥斗に震える声で話しかける。

寧々

───遥斗、さぁ……

遥斗

寧々

……罪なヤツ

遥斗

いきなり何だよ……?

(……無自覚かよ)

……

一部始終を見て、心の内を渦巻いていた感情が、思わず口から漏れ出る。

……。

……うっっざ

遥斗

えっ?

遥斗

……はーー!?何だよお前!

うるさい、早く行くよ

遥斗

おいっ、待てって!理由を────

……つくづく、恐ろしい友人を持ったものだ。

優はそう考え、何度目か分からないため息をつくのだった。

ある日の異世界研究部 2 END

──ちょっと、まさか先に行くつもり?

───え、ダメですか?

いや、ダメも何も……

まぁいいや、行きまーす!

ちょっ──

ガチャ

寧々

寧々

(よりにもよって勝手なことを……!!)

時刻は昼過ぎ。

ある条件付きで彼女のドッペルゲンガーと暮らすことになった寧々は、

さっそく、何も考えずに自宅に入っていくドッペルゲンガーに眉をひそめている。

寧々

あの、隠れてくれない?

寧々のドッペルゲンガー

……?

寧々のドッペルゲンガー

どうかしましたか?

寧々

いや、だって面倒臭いことになりそうだし……

寧々のドッペルゲンガー

そっかぁ……

寧々

(貴女のせいでしょ…?)

そうして、ドッペルゲンガーが隠れようとした時だった。

──おー

寧々

廊下からひょこっと、寧々の父が顔を出す。

寧々

父さ────

寧々の父

あ、おかえり、寧々

寧々

……え

一瞬、頭の中が真っ白になった。

いつものように、笑顔で出迎えてくれる父。

だが、その笑顔は私でなく────

寧々のドッペルゲンガー

えっあ…

寧々のドッペルゲンガー

た、ただいま!

寧々の父

どうしたんだ?そんなに動揺して

信じられないという様子で寧々が立っていると、

寧々の父はようやく、「寧々」の方を向き、目を見開いた。

寧々の父

えっ!!!

寧々

と……

寧々

父さん!!

寧々

私が本物!

寧々のドッペルゲンガー

そうだよー、こっちが鏡合わせさん!

寧々

ちょっ、余計にややこしくなるから……!

寧々の父

ね、寧々が……

寧々の父

2人いる、のか!!?

寧々のドッペルゲンガー

そう!

寧々の父

え、えぇ……?

寧々

父さん、落ち着いて!

寧々の父

いや、だって……

寧々

…一から話すよ

寧々

取り敢えず、リビング来て

寧々のドッペルゲンガー

私もですか?

寧々

当たり前でしょ

寧々

……はぁ

寧々のドッペルゲンガー

わー、綺麗ですね!

寧々

(何を呑気に……)

寧々のドッペルゲンガーを一瞥した後、寧々は今までのことを説明した。

寧々の父

───へぇー、ドッペルゲンガーねぇ……

寧々の父

6分間ねぇ、長いのか短いのか

寧々の父

でも、本当に入れ替わりがあるんだったら今頃世の中は「偽物」だらけだよ

寧々

そうなんだよね……

寧々のドッペルゲンガー

……というか、意外かも

寧々の父

何が?

寧々のドッペルゲンガー

そんな、真面目に聞いてくれるなんて……

寧々の父

当たり前だろう、仮にも親なんだからさ

寧々

父さん……

寧々のドッペルゲンガー

鏡合わせさんも、何だかんだ付き合ってくれて感謝してます!

寧々の父

今だとしっかり者に見えるんだがなぁー

寧々

寧々の父

ちょっと前までは「お父さん」なんて呼んでたからな!

寧々

…そんなの、「お」が付いてるか付いてないかでしょっ!

寧々のドッペルゲンガー

大きくなりましたねー

寧々

……

寧々

(私の何を知ってそんなことを……)

寧々の父

……まぁ、取り敢えず暫くは家にいるんだろ?

寧々

うん

寧々

…そうなると思う

寧々の父

じゃ、部屋片付けてくるからさ

寧々の父

何か談笑してなー

寧々

ええぇっ……

寧々のドッペルゲンガー

はーい

講義する間もなく、寧々の父は廊下に出てしまった。

残ったのは、気まずい空気。

そのような中、彼女は口を開く。

寧々のドッペルゲンガー

……

寧々のドッペルゲンガー

優しい方ですね

寧々

……まぁね

寧々のドッペルゲンガー

いいなぁ

寧々

……?

寧々のドッペルゲンガー

……

不意に、少し暗い顔になった。

寧々のドッペルゲンガー

境遇

寧々

え?

寧々のドッペルゲンガー

境遇も、真反対みたいだな…

寧々

どういう…

寧々のドッペルゲンガー

……聞きたいですか?

寧々

……

寧々

まぁ、気になりはする

寧々のドッペルゲンガー

分かりました

寧々のドッペルゲンガー

……きっと、驚きますよ

そうして、寧々のドッペルゲンガーは、

少し力の入った肩を上下させ、境遇について話し始めた。

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