テラーノベル
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昇降口を降りて靴箱へ向かい、履き慣れない高校の上履きから外靴へと履き替える。 外に出ようとした足は靴箱の扉の前で止まり、ぽそりと言葉が漏れる。
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天気予報ちゃんと見とけばよかった。なんて今更後悔しても遅くて。 ザーザーと雨が地面に打ち付けられる音と、部活生の声、それにこの蒸し暑さ。 いくら梅雨とはいえ暑すぎる。
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傘も持ってきてない、折り畳み傘なんて持ってるはずない。友達に借りれるわけもない。 ろくに学校の用意なんてしないし、雨なんて降らないだろ、なんて思ってた数時間前の俺を今すぐ叩きたい。 とりあえず天気アプリを開いて雨が止むタイミングで帰ろうかと思ったが、あと2時間ぐらい降るらしい。 つくづく運がない。日頃の行いのせいだと言われたら反論出来ないのが悔しい。
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正直、こういう時はDDに電話したらすぐ来てくれたからいいんだけど、多分、今、撮影中だし。 ひとつため息をついて止めていた足を外に向ける。
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昔のサッカーの経験からなのか、雨に打たれながら必死に走る感覚は、何処か気持ちが良かった。 この梅雨の時にしか嗅げない匂いと、ぐしょぐしょに濡れる服と靴下と、気持ち悪いけど、こういう時にしか感じられない、高揚感。 走ってからは直ぐで、気づけば家の扉の前だった。
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ソファに脱力しながら腰を掛けて今回の収録の1人反省会を頭の中で開く。 あそこのツッコミはこっちの方が良いな、とか少しスイッチ入れすぎたとこあったかな、とか。 どんどん次に繋げるための事を考えて浸っていたとき、玄関の方からガタガタ、と物音がして次第に玄関が開く音がした。
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きっと折り畳み傘でも持ってっているのだろうと思ったが、一応不安なのでタオルを持って玄関に行く。
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タオルを受け取って頭、カバン、次に腕と足。つい目で追ってしまった。 余りにも、見たことない表情で、中々見ない制服で、こんな、土砂降りに振られて、透けた服で、暑さなのか、それとも俺が夏の暑さにやられて、おかしくなってしまった高揚感なのか。 気付けば、彼の腕を此方に引き寄せて、双方の唇が触れていた。
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コメント
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( ᐛ👐 )パァ(感性が崩壊した音)