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笠売り
（今日は笠を売れてよかった....）
笠売り
（お陰で酒屋で休めた....今日は寒いからなぁ...）
女将
あら、笠売りさん
女将
お仕事ご苦労さん
笠売り
あぁ、ありがとう
女将
あんた聞いたかい？
笠売り
何の話だ？
女将
なんだい、知らないのかい？
女将
笠売りさんは知っているのかと思っていたよ
女将
昨日古着を売っていたおじいさんがおったじゃろ？
笠売り
あぁ、笠と交換したんだよ
笠売り
着る服もやっとで...助かったよ
笠売り
まぁあのおじいさんも笠を貰ったところでだがな
笠売り
はっはははは！
女将
それがねぇ.......
笠売り
なんだい？
女将
あの爺さんの家路にお地蔵様がおるじゃろ？
笠売り
あぁ、居るな
女将
爺さんは地蔵様に笠を被せたそうだよ
笠売り
それがどうしたって言うんだよ
女将
その夜に地蔵様から米屋野菜を貰ったそうだよ
笠売り
なんだって！？
笠売り
あれは俺の笠だってのに...！
女将
まぁ、笠売りさんは笠をやったんじゃろ？
女将
それならしょうがないねぇ
女将
しかし羨ましいことだよ
女将
やはりいいことをすれば帰ってくるんだねぇ
笠売り
女将
そういえば笠売りさんの家路にもそのお地蔵様があったねぇ...
笠売り
女将
あんた...憎んじゃいかんよ
女将
お地蔵様は平等なんだよ
笠売り
あぁ............
ー外ー
笠売り
ちっ、もう夜かよ
笠売り
ヒック......
笠売り
さっさと帰んねぇとなぁ......
笠売り
ヒッグ
笠売り
うおっ！
ドサッ
笠売り
ちっ......冷てぇなぁ
笠売り
雪で服が濡れちまうじゃねぇか....
笠売り
....なんだ...？何に転げて...
笠売り
笠売り
地蔵か......
笠売り
くそっ！
ガン
ゴン！
ドン！
笠売り
笠売り
クソッ....クソッ！
笠売り
俺の笠なんだ...
笠売り
俺の笠なんだよ！！
笠売り
なんであの爺さんだけなんだよ！！
ドン！！
笠売り
クソっ！！！！！
蹴られ続けた地蔵の石の一部がポロポロと音を立て崩れていく
笠売り
ふん！いい気味だぜ！！
笠売りの悔しさと復讐心は燃え上がらんばかりだった
おじいさん
何をやっておるんじゃ
笠売り
よぉ爺さん
おじいさん
昨日の笠売り様ではありませんか
笠売り
お前に......
笠売り
お前に笠さえ....！
笠売り
ぐうぅぅっ.......
笠売り
俺は....何を....
笠売り
（そうだ...爺さんと喧嘩になって....）
隣を見ると血みどろになり息絶えた爺さん が居た
笠売り
は、はは！
笠売り
俺の勝ちだあぁぁぁあ！！
ゴッ！！！
暗闇から声が聞こえる────
ば.....やツ...........な....
馬鹿ナ ...傘売リだ...人を憎ムとどウなるカ...地獄デ知るンだな...
暗闇の中には4体の血みどろなお地蔵様が座っていた
死体の手前の三体と....
1番奥の体の欠けた地蔵だった
体のかけた地蔵の拳には
真っ赤な血がこびりついていた
電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
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