今日も又雨が降っていた 。
ちゃんと傘を差して 唯歩く 。
私の家の近所である 此の道はよく通る所 。
雨で 、此の道で 同じような時間帯
そして君に逢えたら 、 と運命を願っていた 。
運命なんて所詮偶然 。
其の偶然が生まれるのは 何千分の一に過ぎないのに 、
私含めた人々は何故 願って祈ってしまうのか 。
私では答えに辿り着けない 。
茉 陽
私の視界に映ったのは ____
____ 探していた君だった 。
今度は君が傘を差しておらず 、
恐らく鞄であるものを 頭の上に乗せて走っていた 。
5秒も経てば 私から遠退いてゆく 、
そんな気がした 。 そんな速さだった 。
だから後悔したくなかった 。
茉 陽
私の精いっぱいの声掛け 。
届くか解らない位 小さかった声が嫌だった 。
届いたのか 、 振り向いた君が足を止めた。
此れを掴んで離すまい 、と 息をめいいっぱい吸う 。
茉 陽
茉 陽
私にしては頑張ったと思う 。
名前も知らない人に話し掛ける なんてしたこと無かったのだから 。
必死になって声を掛けたのに 今はもう手を振って
どんどん足を進めていた 。
違う 、君と唯話したいだけ 。 御礼なんて言い訳でしか無いの 。
茉 陽
気が付いたら手首を 引っ張ってしまっていた 。
我に返った時 、 君は不機嫌を全面に出していた 。
嗚呼そんな顔しないで 、
茉 陽
茉 陽
知りたいだけなの
其れを言葉にした時 、 迷惑だと気づいてしまった 。
君の顔と仕草と雰囲気で
でもそうしたいと思ったら 後悔という言葉は私から消え去る 。
其れが私の悪い癖だ 。
此の言葉を本当は恐れていた 。
1人でも嫌われぬよう 生きていた私にとって 、
最悪の雰囲気と言葉だった 。
思った言葉と違う雰囲気を魅せた 。
私の短所を認められた気がして 気分が高揚する 。
調子に乗って話したくなる 。
茉 陽
晴 哉
茉 陽
茉 陽
気を抜いたら声が裏返りそうで 少しハラハラした 。
でも君の名前を知れただけで 嬉しさが込み上がってゆく 。
茉 陽
晴 哉
茉 陽
晴 哉
頭の中で ‘ せいやくん ’ と 呼んでみる 。
ただ只管に嬉しくて嬉しくて 笑ってしまいそうだった 。
そして無意識に傘は 2人へと傾いていた 。