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最近は天気が直ぐに 気分を変化させる 。
其の所為か頭を 打たれたかのような感覚を覚える 。
此れだから雨も嫌い 。
頭を成る可く動かしたく無くて 、 机に顔を突っ伏す 。
発言で呼ばれぬよう存在を 出来る限り消す 。
其れでも教師が増やしてゆく 文字は目で追う 。
数字も平仮名も片仮名も漢字も 使用されている文字達は
余計に頭痛を強くさせる 。
文字を見るのはもう止めて 重い瞼と睫毛を下ろす 。
視界には何も映らず 、 外にある蛍光灯の白さだけだ 。
そして脳が忘れられない あの場面を引き出す 。
あの日 、あの天気 、あの時間
総てが未だ鮮明に憶えてる 。
あの後だって忘れ無い 。
記憶を消しても 忘れたくないあの場面 。
走馬灯にだって 写って欲しいと願う 。
茉 陽
晴 哉
此処で会話が終了してしまった 。
でもあの時 、何故か 嫌では無かった 。
静音を壊す 雨音の所為だったかな 。
其処は憶えちゃいなかった 。
でも傘を握り返して 空を見上げた事は覚えている 。
あれが何よりも記憶に居るから 。
茉 陽
私のほんの一言で 晴哉くんも空へ目をやった 。
2人の目線が同じ所になっていた 気がしたのは何だか嬉しかった 。
ただ只管に2人で見上げた虹 。
雨はまだ降り続いているのに 空は晴れて虹が架かる 。
晴れて出てくる陽の光が 私達を照らし 、虹を創る 。
どうしようもなくて 微笑ってしまった 。
晴 哉
茉 陽
バレて突かれて咄嗟に 謝罪が出たのを晴哉くんは否定した 。
‘ 直ぐ謝るな ’
と何にも包まれずに 言われた言葉は 、
私に強く残った 。
私が謝ってしまわないと 相手の目は不機嫌を表すから
癖にしていた謝罪は 晴哉くんがいれば癖が解れてゆく 。
逆に否定をしてくれた 。
茉 陽
晴 哉
私はまた御免と 言っていたらしい 。
あの時気付けなかったなあ 。
晴哉くんが笑ってくれて 名前を呼んでくれて
嬉しさに浸ってた 。
其れもまた走馬灯に 残って欲しい記憶だった 。
チャイムが校舎に響き 瞼を持ち上げる 。
文字は私が知っている数倍増えていて ノートに取るのが面倒臭い 。
でも記憶に浸った時間は 無駄だと屹度思わない 。
また逢いたいと祈りつつ
ノートに書かれた文字を写し 増やしてゆく 。