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沙衣 蜜哉
義母
仏壇を見たまま蜜哉が固まっていたからか、後ろから義母が心配そうに声を掛けてきた。蜜哉にとって、義兄は義理の兄ーーつまり血は繋がっていない。しかし、義母にとって、義兄は実の息子だ。何故、それを悲しまずによそ者を心配するのか。
沙衣 蜜哉
沙衣 蜜哉
何を言いかけたのか、それは蜜哉自身にも分からない。しかし、黒く濁ったナニカが心の奥深くに沈殿していった。
義父
義母
義母の興味が、帰宅したばかりの義父に移ったのを見て、蜜哉は再び逃げるように自室へ向かおうと義父の横を通り過ぎる。
義父
沙衣 蜜哉
それだけ返すと、蜜哉は自室に滑り込み、鍵を勢いよく閉めた。外から『どうしたのかしら。』『反抗期かもな』という声が聞こえた気がしたが、聞こえなかったフリをした。
19時過ぎ。勉強や、現実逃避に時間をさいていたため既に数時間が経過していた。参考書を閉じ、暗がりの部屋の窓から見える夕暮れ色の光をぼっと見つめる。
あの人は、オレンジ色が好きだった。あの人が好きだったから、僕もオレンジ色が好きになった。
沙衣 蜜哉
沙衣 蜜哉
立ち上がり、鍵を開けて廊下に出る。義両親は会話一つせず、義母は料理、義父はスマホをじっと見つめていた。にんじんか大根か、何かをザクッと迷いなく切る音だけがこの家唯一の音だった。
沙衣 蜜哉
料理中の義母に告げると、義母は何も言わずにカバンから財布を取り出し、中から1000円を抜き取ると、蜜哉の手のひらにぽんと乗せた。
沙衣 蜜哉
義母
そう言って笑う義母も、何も反応を返さずにスマホをじっと見つめる義父も不気味で、蜜哉はすぐにお礼を告げて、玄関に向かった。
沙衣 蜜哉
沙衣 蜜哉
体力のなさを自覚しながら、扉を開けた。
地響きが鳴っていることに気付いたのは、家の外に出てからだった。
ドン、…ドン、…ドン、……と一定のリズムで地面が揺れ、その度に体が浮きそうになる。地震だろうと推測した蜜哉は、家の柱に掴まって、そっと辺りを見渡した。
蜜哉の目の前にあったのは、テクスチャーバグのように虹色の光を放つ黒いもやだった。高さはゆうに一軒家を超えるほど。霧に色が付いたかのように不特定な形だった。
『第壱位』
黒いもやは何か目的を持ったように蜜哉を無視して、半開きの扉から家の中へ入っていった。ひやりとした寒気が背を走る。幽霊と似た存在であればいいが、何せこんな世界のため虚位の可能性を第一に疑ってしまう。
沙衣 蜜哉
特に焦りもせず、リビングへ戻る。黒いもやーーこと第壱位と推測される幽霊は、義両親を気取る人達の首を、自分の体の一部分を縄のようにしてぎゅうぎゅうと締め上げていた。
義父
熟れた木苺のような顔色の義父を気取る人が、蜜哉に向かって手を伸ばしてきた。段々と顔色が凍てついていく。それはどこか夕暮れから夜になっていく時の流れのようで、汚い人間でさえもこのように生命は輝くのだという平等性が現れていた。
沙衣 蜜哉
蜜哉は、その義父が伸ばしてきた手を掴んで引き上げようとも、押し返そうともせず、その場に立ち止まっていた。
沙衣 蜜哉
蜜哉は、いつもより驚くほど軽い体を全く動かさずに、第壱位からの一方的な殺戮を、ただ怖がりながら見守っていた。
【続】
#オリキャラ
音羽
202
コメント
5件
続きが気になります 頑張ってください
うわ…第2話、めちゃくちゃ重くて苦しい空気が伝わってきたよ🥀 蜜哉くんの、あの「動けない」って台詞が怖すぎる…。恐怖心で体が動かないって言い訳にしてるのか、本当に動けないのか、どっちとも取れる感じがゾッとした。義両親が♡♡♡れてるのを、ただ見てるだけって選択、すごく蜜哉くんっぽいなって思った。 あと仏壇の描写とか、義母の異常な優しさとか、じわじわ来る不気味さが本当に上手い…。続き、気になるよ🌙